第21話 雷神の舞
文字数 1,446文字
次から次にやって来るガーゴイルの様な魔物に押され気味になり、アイリ・ライハラは女騎士ヘルカ・ホスティラと若い男騎士を助けに行ったイラ・ヤルヴァに気遣っている余裕はなかった。
腕をぶんぶん動かし長剣 を右に左に振り回し切って切って倒しているのに、押し寄せてくる魔物の数が減るどころか、最初よりも増えていた。
何で減らない!? もう十や二十はとっくに倒した。
それなのにこいつら湧き水の様に出てきやがる。
よく見るとこの洞穴の壁の際に小さな穴が幾つか開いていてそこから魔物が潜り抜け出てきていた。
「イラ! イラ・ヤルヴァ!」
「何ですか御師匠!?」
「2人は助けたのか!?」
「む、無理です。私も今、戦ってます!」
まずい、まずい。時間がかかるほど追い込まれる!
どうすんの!?
アイリはまごついてこれ以上状況が悪くなるのを避けた。
「イラ! 伏せろ! こいつらを一気に倒す!!」
「どうやるんですか、御師匠!?」
「伏せろ、イラ!」
「伏せました!」
その返事を待ってたと、アイリ・ライハラは魔物らに宣言した。
「セヴン・ステップ!!」
少女の群青の髪が激しく踊り流れ旋風が洞穴に吹き抜けたその瞬間、アイリの胸の高さに洞穴の壁が派手に割れ崩れた。
その洞穴のいたる所に百以上の魔石がバラバラと雹 のごとく落ち跳ねた。
それを見上げていたイラ・ヤルヴァは眼を丸くし立ち上がると、急いでまずヘルカ・ホスティラの身体に巻かれた蔓 を切り落とし、直後彼女の頬 を叩 いて気を取り戻させると、次に若い男騎士の蔓 も一気に切り頬 を数回平手打ちし気を取り戻させた。
壁面に開いた幾つもの穴も塞がり、4人はアイリ達が入ってきた側道に逃げ込み元歩いていた洞窟 へ急いだ。
「御師匠、さっきの剣技なんだったんですか?」
「あれか? ライトニングソード──雷神の舞 」
「超絶技巧じゃないすか」
「でもないさ」
2人の会話にヘルカ・ホスティラが割って入り礼を述べた。
「アイリ、イラ、我とヨーナスを助け出してくれてありがとう。不覚をとった」
急にアイリが笑い声を上げた。
「その言い回し頂き」
急ぎ足で進みながら女騎士が問い返した。
「変な言い方だったか、アイリ?」
「不覚をとった──やっぱりヘルカは騎士だな。迂闊 だったとか言わない。いつか使うよ」
「お前が使うとき状況がかなり大変そうだ」
そう言ってヘルカがクスクスと笑うと他のもの達も笑い声を上げた。
アイリが足を繰り出す度 に腰袋がじゃらじゃらと音を立てている事に若い男騎士ヨーナス・オヤラが尋ねた。
「アイリ殿、いったい魔石を何個集めたんですか?」
「うーん、150個ぐらい。かき集めたんで数えていないよ」
「アイリ、お前1体1体全部倒したのか?」
「いいや、イラが倒した分も入ってる」
すぐにイラが否定した。
「いやぁ、私なんか10匹ちょっとです」
その差し引きの数にヘルカ・ホスティラは前を急ぐ少女の姿を見て思った。
この娘、近衛兵副長にしておくには惜しい逸材だ。
このダンジョンから抜けだしたら、騎士団長に持ちかけてみよう。
先に側道から抜け出たアイリ・ライハラがいきなり長剣 を抜き頭上に振り上げ構え硬質な音が響いた。
残りの3人も洞窟 へ抜け出すと、アイリ・ライハラがヘルカ・ホスティラの身長の倍以上もある大きなサイクロプスの振り下ろした石の棍棒 を受けていた。
「こいつ、私らを待ち構えていやがった!」
「本当にここは第2階層なんですよね」
女暗殺者 の言葉を合図に3人はもっと深い階層の様な気がして剣 を引き抜いた。
腕をぶんぶん動かし
何で減らない!? もう十や二十はとっくに倒した。
それなのにこいつら湧き水の様に出てきやがる。
よく見るとこの洞穴の壁の際に小さな穴が幾つか開いていてそこから魔物が潜り抜け出てきていた。
「イラ! イラ・ヤルヴァ!」
「何ですか御師匠!?」
「2人は助けたのか!?」
「む、無理です。私も今、戦ってます!」
まずい、まずい。時間がかかるほど追い込まれる!
どうすんの!?
アイリはまごついてこれ以上状況が悪くなるのを避けた。
「イラ! 伏せろ! こいつらを一気に倒す!!」
「どうやるんですか、御師匠!?」
「伏せろ、イラ!」
「伏せました!」
その返事を待ってたと、アイリ・ライハラは魔物らに宣言した。
「セヴン・ステップ!!」
少女の群青の髪が激しく踊り流れ旋風が洞穴に吹き抜けたその瞬間、アイリの胸の高さに洞穴の壁が派手に割れ崩れた。
その洞穴のいたる所に百以上の魔石がバラバラと
それを見上げていたイラ・ヤルヴァは眼を丸くし立ち上がると、急いでまずヘルカ・ホスティラの身体に巻かれた
壁面に開いた幾つもの穴も塞がり、4人はアイリ達が入ってきた側道に逃げ込み元歩いていた
「御師匠、さっきの剣技なんだったんですか?」
「あれか? ライトニングソード──雷神の
「超絶技巧じゃないすか」
「でもないさ」
2人の会話にヘルカ・ホスティラが割って入り礼を述べた。
「アイリ、イラ、我とヨーナスを助け出してくれてありがとう。不覚をとった」
急にアイリが笑い声を上げた。
「その言い回し頂き」
急ぎ足で進みながら女騎士が問い返した。
「変な言い方だったか、アイリ?」
「不覚をとった──やっぱりヘルカは騎士だな。
「お前が使うとき状況がかなり大変そうだ」
そう言ってヘルカがクスクスと笑うと他のもの達も笑い声を上げた。
アイリが足を繰り出す
「アイリ殿、いったい魔石を何個集めたんですか?」
「うーん、150個ぐらい。かき集めたんで数えていないよ」
「アイリ、お前1体1体全部倒したのか?」
「いいや、イラが倒した分も入ってる」
すぐにイラが否定した。
「いやぁ、私なんか10匹ちょっとです」
その差し引きの数にヘルカ・ホスティラは前を急ぐ少女の姿を見て思った。
この娘、近衛兵副長にしておくには惜しい逸材だ。
このダンジョンから抜けだしたら、騎士団長に持ちかけてみよう。
先に側道から抜け出たアイリ・ライハラがいきなり
残りの3人も
「こいつ、私らを待ち構えていやがった!」
「本当にここは第2階層なんですよね」
女