第17話 ぼっち
文字数 1,606文字
まあ十字軍の総大将っていうのはまだ眉唾ものでしかなかったが、とヘルカはアイリの元へ人が集まるのも小娘の宿命なのだと思った。
かく言う自分も参謀長などという役職などまだ歳早いとヘルカは控え目に思うのだが、アイリ・ライハラが
とばっちり──とばっちり。
イジメてみたくもなろうて。
「やい! ヘルカ! 首洗って待ってろよ!」
どこで覚えるのか口ばかり汚くなりやがってとヘルカは思った。
振り向くと萌え萌えきゅん──じゃなかった。
「貴君、意味がわかって首洗ってろなどと言ってるのか?」
騎士らに束でしがみつかれアイリ・ライハラはじたばたも出来ずにいた。だがいつになくブチ切れている
ヘルカ・ホスティラは身動きの取れない上官の方へ行くと他の騎士らに命じた。
「動かない様にしっかりと押さえておけよ」
ぶん! ヘルカ・ホスティラの
アイリは泡を吹きがっくりと頭を落とすと静かになった。
「頭の下に石の
寒気と静かさに意識が戻り眼が覚めた。
アイリ・ライハラは広い
手をついて上半身を起こし周りを見まわした。
誰もいない。
十数名の騎士がいなくなっていた。
「俺をおいて引き上げやがったか──」
置いてきぼりは悔しくなかったが、1人は
アイリは立ち上がり
「しゃあない。1人で行くか──」
ぶつぶつと
「あいつら騎士団長を置いてきぼりにして──
43階層への坑道を歩みながらアイリはふと下の階層で騎士らが待っているかもと思った。竜のユランに手こずって途方に暮れて真打ちの登場を待ってる。
下りてみたらユランしかいなかったが、がっつりと竜退治をした。
やっぱり
44階層は魔物もおらず、座るに良い大きさの岩があったのでアイリは座り込んで腕組みをした。
ふと、ここで帰ろうかと思って
「お前ら! 帰ったんじゃなかったのか!?」
「1人になった貴君が
ヘルカ・ホスティラが出てきて説明した。
「ひでぇ────ぇ、お前ら」
「アイリ・ライハラは
大笑いするヘルカ・ホスティラにアイリ・ライハラは下唇を突き出した。
「45階層の魔物はなんだ」
参謀長に問われアイリはぶっきらぼうに教えた。
「不純の二角獣──バイコーン」
「馬か、馬はなぁ」
ディオメーデースの人喰い馬を思いだしてヘルカは苦笑いを浮かべた。
「大丈夫だよ。俺が倒す」
言い切りアイリ・ライハラは先折れの
「
「おぉう!」
騎士らの気勢にアイリ・ライハラは笑って駆けだした。