第4話 群青の人
文字数 1,977文字
はぁはぁはぁ。
道端 で両膝 に手をついて腰折り息を切らす。
ヘッレヴィ・キュトラと並びアイリ・ライハラは同じく荒い呼吸で空気求めた。
空気喰ってる場合じゃねぇ!
この街どうなってんだぁ!?
元異端審問官と宿屋から出て入った飯屋7軒で入信書に出くわし逃げてきた。
金はあるのに、街で飢え死にしそうだと少女は思った。
「はぁはぁはぁ──ヘッレヴィ────ここおかしいぞ────はぁはぁ」
「はぁはぁ──だから────言ったではないか──特別司教区の街の1つでヴィツキンに近いため熱烈な信者が多い、と────はぁはぁ」
こ、こいつ、まだ自分は大丈夫とか思ってんじゃねぇのか!? とアイリは横目で駆け足で息上がった上から目線女を睨 んだ。
最後の食いもん屋では、入信書見つけて、悲鳴上げやがったくせに!
「ど、どうすんだよ!? はぁはぁ、この辺りの飯屋がぜんぶあんな調子なら、はぁはぁ、飢え死にするぞ」
「わ、我 ばかりが飢え死にするような、口振りではないか、はぁはぁ、貴君は一言もまだ住人に言い逃れてないぞ、はぁはぁはぁはぁ────はぁああああ」
ヘッレヴィ・キュトラの方が息上がってるみたいで少女は少し気が落ち着いた。
アイリは両膝 から手を放し身体伸ばすと荒い呼吸を沈めながら周りを見回し3人の男女が歩いて来るのが見え、元異端審問官の右腕をつかみ強引に走り始めた。
「や、やめぇろぉぉ────ひゅ──はぁはぁ、息が続かん! ぜぇぜぇぜぇぜぇ」
「3人来てただろうがぁ! とりかこまれるぞぉ! はぁはぁはぁ」
懸命に少女が走ろうとするがヘッレヴィが足をもつれさせ遅れだした。
「お前ぇ、もっと真剣に逃げないと、はぁはぁはぁはぁ──今度こそ折れて入信書書かされるぞ──」
振り向き元異端審問官へ喚 いたアイリはふと気づいた。
おかしくねぇ!?
ヘッレヴィも自分もれっきとしたカラサテ教者だぁ。最近は教会に足運ばず信仰心があるか怪しいが。
それなのになぜ入信を迫られる!?
「もしかして────ヘッレヴィ──この街────カラサテ教区じゃねえんじゃないのかぁ!?」
「い、今ごろ、な、な、何を言ってる!? ぜぇぜぇぜぇぜぇ、ここはヤドヨ教の地区だ。誰がカラサテ教区と言ったかぁ!」
アイリは立ち止まりその腕にヘッレヴィはぶつかり顔をしかめ喚 いた。
「き、貴君は、立ち止まるならそう言え」
「お前ぇ、我 はデアチ国異端審問官ヘッレヴィ・キュトラなる! って何人にも言い張ってたよなぁ!?」
「あぁ、あれかぁ、デアチ国は宗教が2分してる。カラサテ教とヤドヨ教者が半々なんだ。異端審問官を名乗っても────ひぃいいい」
言い返すいい加減な女の背後に先の男女3人が走って来るのが見えたアイリは顔が青ざめいきなりまた元異端審問官の手首つかんで走り始めた。
「や、やめぇろ────ぉ、ぜぇぜぇぜぇぜぇ、こ、これ以上、は、走れるかぁ!」
「走んね──と、ヤドヨ教徒にされちまうぞぉ」
アイリはいきなり店じまいしかかっている雑貨屋と衣服屋の建物の間に走り込みヘッレヴィ・キュトラが左右の壁に両肩をぶつけ挟 まれた。
「む、無理だぁ、こ、こんなに狭い場所ぉ!」
「ば、バカかぁ!? 身体を斜めに向けたら奥へ行けるだろぉ!」
ヘッレヴィが眼を寄せ身体を斜めにして少女に引っ張られるに任せた。
足音が迫り、少女は急いで建物の裏に回り込んで元異端審問官と狭い裏路地を歩き始めた。
「なぜ走らん? 今なら走れるぞ──すうすうすうすう」
少女が振り向くと鼻の穴を膨らませた女が無理やり息を殺そうとして青ざめ始めた。
「バカかぁ!? 見栄張ってどうすんだぁ! 口で息しろよぉ! 走ってると目立つだろうがぁ!」
イライラするアイリに言われヘッレヴィ・キュトラは口を開き眉根を寄せた。
「き、貴君は、我 を、2度も馬鹿呼ばわりして、我 は馬鹿じゃ────ないぞ」
アイリはやっとわかってきた。異端審問官やってたんで相当頭回る女だと思っていたが、こいつ、プライドバカだぁ。なんだか女騎士ヘルカ・ホスティラに似てると思ったが、あいつは大見得張るのは騎士道に限っていた。でも、こいつの方が始末悪いぞぉ、と暗くなり始めた裏路地で思った。
「あ、アイリ────晩御飯はどうするんだ?」
せ、迫るなぁ! 顔を寄せてきたヘッレヴィから離れ少女は言い切った。
「覆面して押し入り、食い物を奪う」
「そ、それって──盗賊では────ないのか!?」
こいつ本物のバカじゃん!
「盗賊だよ! やらないと、まともに食えねぇぞ!」
声を荒げた少女と元異端審問官が物音に顔を上げると2階の窓から叔母 さんが顔を出して固まったていた。
「きゃぁあああああ、強盗です! 強盗が2人います!」
叫び声に次々と裏路地の窓や勝手口が開き街人 が姿を見せアイリ・ライハラとヘッレヴィ・キュトラは青ざめた。
ヘッレヴィ・キュトラと並びアイリ・ライハラは同じく荒い呼吸で空気求めた。
空気喰ってる場合じゃねぇ!
この街どうなってんだぁ!?
元異端審問官と宿屋から出て入った飯屋7軒で入信書に出くわし逃げてきた。
金はあるのに、街で飢え死にしそうだと少女は思った。
「はぁはぁはぁ──ヘッレヴィ────ここおかしいぞ────はぁはぁ」
「はぁはぁ──だから────言ったではないか──特別司教区の街の1つでヴィツキンに近いため熱烈な信者が多い、と────はぁはぁ」
こ、こいつ、まだ自分は大丈夫とか思ってんじゃねぇのか!? とアイリは横目で駆け足で息上がった上から目線女を
最後の食いもん屋では、入信書見つけて、悲鳴上げやがったくせに!
「ど、どうすんだよ!? はぁはぁ、この辺りの飯屋がぜんぶあんな調子なら、はぁはぁ、飢え死にするぞ」
「わ、
ヘッレヴィ・キュトラの方が息上がってるみたいで少女は少し気が落ち着いた。
アイリは
「や、やめぇろぉぉ────ひゅ──はぁはぁ、息が続かん! ぜぇぜぇぜぇぜぇ」
「3人来てただろうがぁ! とりかこまれるぞぉ! はぁはぁはぁ」
懸命に少女が走ろうとするがヘッレヴィが足をもつれさせ遅れだした。
「お前ぇ、もっと真剣に逃げないと、はぁはぁはぁはぁ──今度こそ折れて入信書書かされるぞ──」
振り向き元異端審問官へ
おかしくねぇ!?
ヘッレヴィも自分もれっきとしたカラサテ教者だぁ。最近は教会に足運ばず信仰心があるか怪しいが。
それなのになぜ入信を迫られる!?
「もしかして────ヘッレヴィ──この街────カラサテ教区じゃねえんじゃないのかぁ!?」
「い、今ごろ、な、な、何を言ってる!? ぜぇぜぇぜぇぜぇ、ここはヤドヨ教の地区だ。誰がカラサテ教区と言ったかぁ!」
アイリは立ち止まりその腕にヘッレヴィはぶつかり顔をしかめ
「き、貴君は、立ち止まるならそう言え」
「お前ぇ、
「あぁ、あれかぁ、デアチ国は宗教が2分してる。カラサテ教とヤドヨ教者が半々なんだ。異端審問官を名乗っても────ひぃいいい」
言い返すいい加減な女の背後に先の男女3人が走って来るのが見えたアイリは顔が青ざめいきなりまた元異端審問官の手首つかんで走り始めた。
「や、やめぇろ────ぉ、ぜぇぜぇぜぇぜぇ、こ、これ以上、は、走れるかぁ!」
「走んね──と、ヤドヨ教徒にされちまうぞぉ」
アイリはいきなり店じまいしかかっている雑貨屋と衣服屋の建物の間に走り込みヘッレヴィ・キュトラが左右の壁に両肩をぶつけ
「む、無理だぁ、こ、こんなに狭い場所ぉ!」
「ば、バカかぁ!? 身体を斜めに向けたら奥へ行けるだろぉ!」
ヘッレヴィが眼を寄せ身体を斜めにして少女に引っ張られるに任せた。
足音が迫り、少女は急いで建物の裏に回り込んで元異端審問官と狭い裏路地を歩き始めた。
「なぜ走らん? 今なら走れるぞ──すうすうすうすう」
少女が振り向くと鼻の穴を膨らませた女が無理やり息を殺そうとして青ざめ始めた。
「バカかぁ!? 見栄張ってどうすんだぁ! 口で息しろよぉ! 走ってると目立つだろうがぁ!」
イライラするアイリに言われヘッレヴィ・キュトラは口を開き眉根を寄せた。
「き、貴君は、
アイリはやっとわかってきた。異端審問官やってたんで相当頭回る女だと思っていたが、こいつ、プライドバカだぁ。なんだか女騎士ヘルカ・ホスティラに似てると思ったが、あいつは大見得張るのは騎士道に限っていた。でも、こいつの方が始末悪いぞぉ、と暗くなり始めた裏路地で思った。
「あ、アイリ────晩御飯はどうするんだ?」
せ、迫るなぁ! 顔を寄せてきたヘッレヴィから離れ少女は言い切った。
「覆面して押し入り、食い物を奪う」
「そ、それって──盗賊では────ないのか!?」
こいつ本物のバカじゃん!
「盗賊だよ! やらないと、まともに食えねぇぞ!」
声を荒げた少女と元異端審問官が物音に顔を上げると2階の窓から
「きゃぁあああああ、強盗です! 強盗が2人います!」
叫び声に次々と裏路地の窓や勝手口が開き