第9話 魔導比べ
文字数 2,167文字
土砂と共に飛ばされる。
「◆◎▲☆■△□▼○◎!!!」
くるくると回りアイリ・ライハラは逆さまになって
十数万は押し寄せると聞いていたのに4千ぐらいしかいないじゃん!?
誰だぁ! イルブイの兵が十数万もいるなんて嘘こいた奴は!
これならノーブル国の兵だけでも楽勝で勝てるじゃん!
そう思った瞬間アイリは投げあげられた頂点から落ち始めてヘルカ・ホスティラとテレーゼ・マカイを心配し見回した寸秒、
見てくれの19歳の小娘はくらくらしながら地面に激しくぶつかり肺の空気を絞りだし内臓が口から飛びだすかと思った。
「ぺっぺっ、いてててっ────」
腰をさすりながら顔を振って口に入った土を吐き出し女騎士と剣士の姿を探すために頭を起こし眼の前にあるものに驚いた。
裏の魔女キルシじゃん!!!
空中のベッドに乗っていた魔女にぶつかったんだとアイリはやっと理解し、落ちどころが悪かったのか魔女は気を失って仰向けになって手足を広げている。
むっくり起き上がったアイリは帯剣用のベルトを腰から1本引き抜くとキルシの
ああ、そうだ! ヘルカとテレーゼは──?
そう思い出して辺りを見回すと2人とも戻ってきた兵らに助け起こされていた。頑丈な女騎士はしっかりと意識があるみたいだが、2度も落ちたテレーゼは意識を失っていた。
「だ、大丈夫ですか、騎士団長どの?」
声をかけられ地面に
「口の中がじゃりじゃりするけど大丈夫だよ」
「その黒髪の小娘、空を飛んで襲いかかった魔女じゃないですか!?」
「ああ、飛び上がって倒した」
とっさにアイリが適当なことを並べると騎士が感心した。
「それでは騎士団長は飛び上がるためにわざと爆裂魔法をお受けになったんですね」
「え!? あ、そうそう。わざと────」
なんだか嘘の上塗りになってきたぞ。いいや、のんびりと話してる暇はない。蛮族が4千迫っている。だけどあいつら
「お前ら、他の味方に報せろ。蛮族らは4千足らず。馬に乗ってるのは騎士クラスだけだ。後は機動力のない歩兵ばかりだ」
「ですがどうするんです。こちらも馬がなく、兵も50騎ほど。80対1では勝ち目がありませぬ」
騎士が問い返していると話し声に気がついたのかキルシが
「な、なんだぁ!?
うつ伏せのまま身をよじり
「蛮族らを撃破できるぞ!」
領地を広げよとイルブイのトピアス・カンナス・サロコルピ4世に命じられた大将──ヒルダ・ヌルメラは、足の遅い兵らに苛つきながら噴石が舞い上がっていた方角へ向かっていた。
「ヌルメラ様、爆発が止んだようです」
いいや、それは
なけなしの本隊を危険に
「ウリヤス、騎士30騎を偵察へ出せ。戦わさせずに全員が戻るようにと厳命しろ」
「御意!」
そう返答し騎士団長が下がると行軍している中で1番目の良い兵を大声で呼んだ。
「タハティ!──ラムサ・タハティ!」
騎馬隊の後ろに行軍している兵の中から痩せた1人が抜け出し大将の横へ
「タハティでござりまする」
「うむ。タハティ、お前が見えるデアチ国兵らの布陣を述べよ」
「将軍様、布陣とは呼べぬお粗末な状況にございます。デアチ国兵らは少数がバラバラで何か走り回って────」
その途端、
「──何か──何かはわかりかねますが、角張った馬ほどの長さのものがバラバラの兵ら頭上を飛び回っております」
飛び回っているだと!? なら待ち構える敵に魔導師がいることになるとヒルダ・ヌルメラは顔を強ばらせ部隊唯一の魔導師を呼んだ。
「ティモ! ティモ・ヴェストラ!」
1騎の騎馬が隊列から抜け進み出てくると女大将の
「ティモでございます閣下」
「ティモ、お前、敵の魔導師の力量がわかるか?」
「デアチにはろくな宮廷魔導師がいないと聞き及んでおります。杞憂でござりますよ」
「よいから見よ」
ヒルダ・ヌルメラに命じられ魔導師は
「心眼の
いきなり