第1話 壊れた玩具
文字数 1,466文字
デアチ国に異端審問司祭ヘッレヴィ・キュトラが馬を飛ばし戻ってきた。
旅の話をアイリ・ライハラから聞けると期待した王妃 イルミ・ランタサルは謁見 の間 で玉座の肘掛 けをきつく握りしめ通された3人をじ────っと見つめた。
面通しされた片膝 をついてしゃがみ込んでいる異端審問司祭と並び胡座 かいて座り込んで俯 きぶつぶつと呟 き続ける青髪の女と頭に包帯を巻いたロングの黒髪をした正座し俯 く小娘。
アイリはどこなのだと王妃 は謁見 の間 に眼を游 がせ、もしや溺愛する娘と瓜二つの宝石の如 き青髪をした女がアイリ・ライハラの母──いや若すぎる──じゃあ、姉──それならありえる──と、だが何を廃人のようにぶつぶつ呟 き続けている、と王妃 は見下ろして尋 ねた。
「青髪のそなた、アイリのご家族か?」
「猿が母親、猿が母親、猿が──」
はぁ!?呟 きが聞こえイルミは眉根しかめた。
確かに猿が母と言っている──ようだわ。
そんな馬鹿な、とイルミは思いお気に入りの少女のことをヘッレヴィ・キュトラに尋 ねた。
「アイリ、アイリ・ライハラはどうしたの? 里に残してきたの?」
女異端審問司祭が隣で胡座 かいてる年増 を恐るおそる指さした。
はぁ!? その年増 が知ってると? と王妃 は眉根を寄せた。
「青髪の女よ、アイリ・ライハラは────」
いきなりガバッと顔を上げた年増 女が叫んだ。
「俺は猿から産まれたんだ! 俺は猿から産まれたんだ!!!」
問いかけている途中のイルミ・ランタサルは玉座に腰掛けたまま両腕振り上げ驚いた。
こ、こいつ、眼がイっちゃってるわ!
だ、だけど、顔立ちまでアイリ・ライハラにそっくりではないか!? 小娘が女騎士ヘルカ・ホスティラぐらいになったらきっとこんな顔立ちになるかもしれぬ。
アイリは気が触れた身内を寄越して王宮で治療させようと考えたのかしら。
しかし、キュトラ────なぜにアイリの所在を聞かれ年増 を指さす!? ここは聡明な王妃 であるアピールが必要だわ、とイルミは咳払いして女異端審問司祭に尋 ねた。
「おほん! このものがアイリ・ライハラの身内であるとわかった。して、アイリ・ライハラはなぜ王宮に戻らぬ? これは小娘のサプライズか?」
問われまたしてもヘッレヴィ・キュトラは隣りの年増 を指さした。
ええい、焦れったい! だからその年増 がアイリの家のものだと分かったというのに!
王妃 イルミ・ランタサルは苛つき高じて右足のハイヒールをカツカツいわせ始めた。
「ねえ、キュトラ。もしかしてアイリはまた何かやらかして、私 の前に顔を見せられぬ、と?」
女異端審問司祭が激しく頭 振った。
そうしてイルミ・ランタサルの顔色を窺 いながらまたしても隣りの年増 を指さす。
ついにイルミ・ランタサルはひらめいた。
「まさか、そのものが本当にアイリ・ライハラの母で、私 よりも若い時に小娘を産んだというの!?」
イルミ・ランタサルは問いながら、胡座 かく青髪の女が年増 と言っても自分より4、5歳上ぐらいにしか思えず、アイリの歳を自分の歳から差し引きし、どう考えても年増 が子供の時に出産したことを受け入れられずにいた。
「キュトラ、私 をからかうのも────」
いきなり女異端審問司祭ヘッレヴィ・キュトラが腕まくりして隣りの青髪の女の腕をつかみ王妃 に訴えた。
「だからこのものがアイリ・ライハラだと、何度も言ってるだろうが!!!」
「あはははぁ! 猿が母だぁ!」
見下ろす玉座にいる王冠載せた女が眼を点にして唇ねじ曲げた前で女異端審問司祭がキレて横で喚 く青髪の女を拳 握りしめ思いっきり殴った。
旅の話をアイリ・ライハラから聞けると期待した
面通しされた
アイリはどこなのだと
「青髪のそなた、アイリのご家族か?」
「猿が母親、猿が母親、猿が──」
はぁ!?
確かに猿が母と言っている──ようだわ。
そんな馬鹿な、とイルミは思いお気に入りの少女のことをヘッレヴィ・キュトラに
「アイリ、アイリ・ライハラはどうしたの? 里に残してきたの?」
女異端審問司祭が隣で
はぁ!? その
「青髪の女よ、アイリ・ライハラは────」
いきなりガバッと顔を上げた
「俺は猿から産まれたんだ! 俺は猿から産まれたんだ!!!」
問いかけている途中のイルミ・ランタサルは玉座に腰掛けたまま両腕振り上げ驚いた。
こ、こいつ、眼がイっちゃってるわ!
だ、だけど、顔立ちまでアイリ・ライハラにそっくりではないか!? 小娘が女騎士ヘルカ・ホスティラぐらいになったらきっとこんな顔立ちになるかもしれぬ。
アイリは気が触れた身内を寄越して王宮で治療させようと考えたのかしら。
しかし、キュトラ────なぜにアイリの所在を聞かれ
「おほん! このものがアイリ・ライハラの身内であるとわかった。して、アイリ・ライハラはなぜ王宮に戻らぬ? これは小娘のサプライズか?」
問われまたしてもヘッレヴィ・キュトラは隣りの
ええい、焦れったい! だからその
「ねえ、キュトラ。もしかしてアイリはまた何かやらかして、
女異端審問司祭が激しく
そうしてイルミ・ランタサルの顔色を
ついにイルミ・ランタサルはひらめいた。
「まさか、そのものが本当にアイリ・ライハラの母で、
イルミ・ランタサルは問いながら、
「キュトラ、
いきなり女異端審問司祭ヘッレヴィ・キュトラが腕まくりして隣りの青髪の女の腕をつかみ
「だからこのものがアイリ・ライハラだと、何度も言ってるだろうが!!!」
「あはははぁ! 猿が母だぁ!」
見下ろす玉座にいる王冠載せた女が眼を点にして唇ねじ曲げた前で女異端審問司祭がキレて横で