第4話 どんぶりこどんぶりこ
文字数 1,453文字
見たこともないほどの綺麗なお花畑に立っていた。
訳が分かんないと頭 振って頭をはっきりさせた。
確か実家に帰る途中、放浪してる女の子を拾った。その子があまりにも魔女キルシに似てると思っていたら呪文を口走りやがった。
ヤバいと思ってヘッレヴィを抱き上げて必死で────。
そうだ。後ろで凄まじく大きな音が響き渡り────ここどこだ? 馬で越えていた草原とは違うんだけど。
耳をすましていると小川のせせらぎのような音が聞こえアイリはヘッレヴィを探しに丘を登った。
丘向こうに見えたのは小さな川でなくとても泳いで渡れそうにない河だった。だけど川向こうの岸は見えている。
その反対岸をよく見ると人影が数人見えた。
よく見ると5人が手を振っている。
知ってる奴かとアイリは眼を凝らしたが遠すぎて誰だかわからない。こっちがわからないのになんで向こうからわかるんだと苛々し少女は近くの岸に小舟が繋 がれているのを見つけた。
いやいやそんなことをしてる場合じゃない、とアイリはヘッレヴィを探し辺りを見回したが、またもや岸向こうで手を振っているなんだか見覚えがある連中が気になりすぎて少女は小舟に行くと辺りに人影がなかった。覗 くと中に座るための板が渡してあるのと艪 が後ろに付いている以外は何もない古びた小舟だった。
アイリは周囲を見回し持ち主がいそうにないので岩に舫 ってある縄 を解いて乗り込んだ。
艪 の扱いは渡し舟に乗ったことがあったので小舟の後ろに立ち横を向いて見よう見まねでやってみるとぎぃぎぃと小舟が進みだした。
川面を進みながら確かヘッレヴィ・キュトラを抱きかかえ全力で走っていたのだと思いだした。
後ろで何かが爆発して飛んできた何かが頭に当たったような当たらないような、そこで記憶が途切れていた。
片手で艪 を操りながらもう片方の手で後頭部に触れたがたんこぶや切り傷の類 はない。
納得いかない思いでぎぃぎぃと小舟を進めていると向こう岸が少し近づいた。
手を振ってる連中は同じ格好ではない。
細身の2人が身体に密着した紫の何かを着ている金髪らしい女で、もう1人は白いローブのようなゆったりとしたものを着た男、もう1人が黒のケープのようなものを着た男、端にいる上背のある男は黒の甲冑 を身につけている。
黒の甲冑 !?
少女は顔を引き攣 らせた。
いやいや黒の甲冑 ぐらい大陸諸国の数多 いる騎士の中に何人もいるだろ。
うんにゃ! 上背のある黒騎士なんかどうでもいい。
あの金髪の2人はマカイの何とかいう叫び声上げる女騎士じゃねぇのかぁ!?
あの2人はこの手でバラバラにしたんだ。
残りの1人はやけにイルミ・ランタサルの配下で謀叛 を企 てたヴィルホ・カンニストに似てるし、もう1人は闘技場 で刺し貫いた元老院長サロモン・ラリ・サルコマーにそっくりだぁ!
あいつら死人ばかりじゃん!
アイリはふと艪 を漕ぐ手を止めてしまい思った。
ここって────苦悩の河 !?
慌 てて舟を引き返そうと狂ったように艪 を漕ぎ始めた。
だがどう操っても一向に向きが変わらず、開き直って泳いで戻るかと少女が縁に足をかけた寸秒、小舟が前の方へ大きく傾いた。
冷や汗を流し苦笑いしながらアイリが振り向くと舳先 に手をかけ1人の年老いた素っ裸の男が這 い上がろうとしていた。その濡れそぼった男が少女に警告した。
「ここは黄泉の河だ。飛び込めば永劫 に魂が河底をさ迷うことになるぞ。ところでお前────渡し銭は持ってるのか?」
少女はポケットに手を突っ込み必死で小銭を探し始めた。
訳が分かんないと
確か実家に帰る途中、放浪してる女の子を拾った。その子があまりにも魔女キルシに似てると思っていたら呪文を口走りやがった。
ヤバいと思ってヘッレヴィを抱き上げて必死で────。
そうだ。後ろで凄まじく大きな音が響き渡り────ここどこだ? 馬で越えていた草原とは違うんだけど。
耳をすましていると小川のせせらぎのような音が聞こえアイリはヘッレヴィを探しに丘を登った。
丘向こうに見えたのは小さな川でなくとても泳いで渡れそうにない河だった。だけど川向こうの岸は見えている。
その反対岸をよく見ると人影が数人見えた。
よく見ると5人が手を振っている。
知ってる奴かとアイリは眼を凝らしたが遠すぎて誰だかわからない。こっちがわからないのになんで向こうからわかるんだと苛々し少女は近くの岸に小舟が
いやいやそんなことをしてる場合じゃない、とアイリはヘッレヴィを探し辺りを見回したが、またもや岸向こうで手を振っているなんだか見覚えがある連中が気になりすぎて少女は小舟に行くと辺りに人影がなかった。
アイリは周囲を見回し持ち主がいそうにないので岩に
川面を進みながら確かヘッレヴィ・キュトラを抱きかかえ全力で走っていたのだと思いだした。
後ろで何かが爆発して飛んできた何かが頭に当たったような当たらないような、そこで記憶が途切れていた。
片手で
納得いかない思いでぎぃぎぃと小舟を進めていると向こう岸が少し近づいた。
手を振ってる連中は同じ格好ではない。
細身の2人が身体に密着した紫の何かを着ている金髪らしい女で、もう1人は白いローブのようなゆったりとしたものを着た男、もう1人が黒のケープのようなものを着た男、端にいる上背のある男は黒の
黒の
少女は顔を引き
いやいや黒の
うんにゃ! 上背のある黒騎士なんかどうでもいい。
あの金髪の2人はマカイの何とかいう叫び声上げる女騎士じゃねぇのかぁ!?
あの2人はこの手でバラバラにしたんだ。
残りの1人はやけにイルミ・ランタサルの配下で
あいつら死人ばかりじゃん!
アイリはふと
ここって────
だがどう操っても一向に向きが変わらず、開き直って泳いで戻るかと少女が縁に足をかけた寸秒、小舟が前の方へ大きく傾いた。
冷や汗を流し苦笑いしながらアイリが振り向くと
「ここは黄泉の河だ。飛び込めば
少女はポケットに手を突っ込み必死で小銭を探し始めた。