第11話 エキゾチック
文字数 1,752文字
イルベ連合の諸国には城がない。だが庁舎のある街は城下と呼ばれているらしい。
らしい というのは、アイリ・ライハラもヘルカ・ホスティラもイルベ連合に足を運んだことがなかったからだった。
「アイリ、城下街が見えてきましたよ」
女騎士が地平線にポツリと見えてきた建物の集まりを指さした。
「検問所はどこだ?」
「我 に聞かれてもなぁ」
「あっ、馬が来るぞ。あいつらに聞いてみよう」
アイリが指さした先へヘルカが視線向けると小さく馬列が見えた。その馬列の方へ歩いているとしばらくしてアイリがいきなり脚を止め呟 いた。
「まずいな。あいつら兵士だぞ」
「我々は衣類商人ですよ、ていうか40騎までなら潰 すんですよね」
そうヘルカが念押しするとアイリが言い返した。
「潰 すの簡単だけどさぁ、こんなにイルベ連合の都市近くで問題起こしたら後が大変だろうよ」
確かにそうだがヘルカは活躍できないと消沈した。
それから半時 (今の1時間)かからずアイリとヘルカは兵士の顔が確認できるほどに近づいた。
馬上の兵らは皆 アイリらに視線を向け下ろながら通り過ぎてゆく。誰何 もされず眼だけを振り向けていたアイリは最後尾の兵と視線が合って顎 を落とした。
お前、なにやっているんだ!
そうアイリは声を出さずに口だけを動かした。
成り行きだよ────。
そうノッチが無言で言い返した。
それ以上は会話できずノッチたちの兵列は通り過ぎていった。
「イルベ連合のパトロール大したことないですね」
そうヘルカが言いだしアイリが言い返した。
「あいつら定時警備じゃねぇよ。斥候 だ」
「斥候 って──北東に────えぇ、イモルキへ!? アイリ、追いかけて潰 しましょう」
「最後尾にノッチがいた」
それを聞いて女騎士が両腕振り上げ驚いた。
「えぇえええっ!? なんでぇ!?」
「成り行きだとさ。いざとなったらあいつが斥候 全員を潰 すさ」
少女があっさりと言うとヘルカがねじ込んだ。
「ですがイモルキへ斥候 出すということは情報見積次第で本隊を出すということですよ。そんなに戦争したいんですか!」
「隣国が浮ついていたら隙 をみて領土を広げたがるのが国だ。連合や共和国でも同じだよイルベ連合が浮つき安定しないならノーブルかイモルキ、イルブイが逆に攻め込む。平和の理念なんて絵空事だ」
「アイリ、イルベ連合に乗り込むのは戦争回避が狙いだと」
「ああ、言ったよ。イモルキやノーブルに手を出したいと思わせないほどに脅しに行くんだ。相談しに行くわけじゃない」
城下街の外に大隊を準備してるならやる気満々。いよいよ本陣を潰 す必要がでてくるとアイリは思った。陣営を撹乱 したとてヒュドラのように頭はえ代えてくるだろう。
それから一時 (今の2時間)歩くと街が眼の前に迫った。
「アイリ、兵を準備してない。戦争する気はないんだ」
「ヘルカ、隊編成と出陣って数時間でできるよ。今はその前にすぎない」
それが正解だとヘルカは思った。アイリ・ライハラは鋭い勘 をしている。少女がそうだと言うのならそれが正解なのだ。
「検問所はないなヘルカ。街に出入り自由だ。ちょっと驚いたよ」
「イルベ連合の交易は大陸1ですから。合い札はいらないでしょうアイリ」
2人は止められることもなく街に歩き入った。
「ヘルカ、衣料品屋で反物 を処分して剣 を買おう」
「了解す」
アイリと女騎士は商店街を歩き回り数反 の反物 を処分し、金を付け足し丈夫な剣 を二口 買った。
「ヘルカ、統括官を探す前に腹ごしらえしよう」
どこで食べようかと歩き回っていて良い香りに誘われてアイリとヘルカはふらりと飲食店に入った。
好き嫌いはない。味も香りもその国々独特の楽しみようがある。入った飲食店は中華という分類だと後に知った。
四川 麻婆豆腐なるものを他の客が注文していてアイリとヘルカは同じものを頼んだ。
出てきた挽き肉と豆腐がゴロゴロ入った料理をがっついた。
火を吐きそうだ。
辛いのを通り越して痛い!
水をがぶ飲みしても火炎が広がるばかりで痛みが刺さってくる。
「くっ、くそう! こいつは毒なのかぁ!」
「毒なぁわけないじゃん! ひぃいい」
ヘルカに言い返しアイリはグラスについだ水をがぶ飲みしながら先に同じものを頼んだ男が平気な顔で食べているのを見て自分らの舌がおかしいのかと顔を歪 めた。
「アイリ、城下街が見えてきましたよ」
女騎士が地平線にポツリと見えてきた建物の集まりを指さした。
「検問所はどこだ?」
「
「あっ、馬が来るぞ。あいつらに聞いてみよう」
アイリが指さした先へヘルカが視線向けると小さく馬列が見えた。その馬列の方へ歩いているとしばらくしてアイリがいきなり脚を止め
「まずいな。あいつら兵士だぞ」
「我々は衣類商人ですよ、ていうか40騎までなら
そうヘルカが念押しするとアイリが言い返した。
「
確かにそうだがヘルカは活躍できないと消沈した。
それから
馬上の兵らは
お前、なにやっているんだ!
そうアイリは声を出さずに口だけを動かした。
成り行きだよ────。
そうノッチが無言で言い返した。
それ以上は会話できずノッチたちの兵列は通り過ぎていった。
「イルベ連合のパトロール大したことないですね」
そうヘルカが言いだしアイリが言い返した。
「あいつら定時警備じゃねぇよ。
「
「最後尾にノッチがいた」
それを聞いて女騎士が両腕振り上げ驚いた。
「えぇえええっ!? なんでぇ!?」
「成り行きだとさ。いざとなったらあいつが
少女があっさりと言うとヘルカがねじ込んだ。
「ですがイモルキへ
「隣国が浮ついていたら
「アイリ、イルベ連合に乗り込むのは戦争回避が狙いだと」
「ああ、言ったよ。イモルキやノーブルに手を出したいと思わせないほどに脅しに行くんだ。相談しに行くわけじゃない」
城下街の外に大隊を準備してるならやる気満々。いよいよ本陣を
それから
「アイリ、兵を準備してない。戦争する気はないんだ」
「ヘルカ、隊編成と出陣って数時間でできるよ。今はその前にすぎない」
それが正解だとヘルカは思った。アイリ・ライハラは鋭い
「検問所はないなヘルカ。街に出入り自由だ。ちょっと驚いたよ」
「イルベ連合の交易は大陸1ですから。合い札はいらないでしょうアイリ」
2人は止められることもなく街に歩き入った。
「ヘルカ、衣料品屋で
「了解す」
アイリと女騎士は商店街を歩き回り
「ヘルカ、統括官を探す前に腹ごしらえしよう」
どこで食べようかと歩き回っていて良い香りに誘われてアイリとヘルカはふらりと飲食店に入った。
好き嫌いはない。味も香りもその国々独特の楽しみようがある。入った飲食店は中華という分類だと後に知った。
出てきた挽き肉と豆腐がゴロゴロ入った料理をがっついた。
火を吐きそうだ。
辛いのを通り越して痛い!
水をがぶ飲みしても火炎が広がるばかりで痛みが刺さってくる。
「くっ、くそう! こいつは毒なのかぁ!」
「毒なぁわけないじゃん! ひぃいい」
ヘルカに言い返しアイリはグラスについだ水をがぶ飲みしながら先に同じものを頼んだ男が平気な顔で食べているのを見て自分らの舌がおかしいのかと顔を