2023/01/02 20:37 反出生主義について

文字数 1,880文字

反出生主義について。
*この文章はしゃべログ界隈(?)でホットな話題になっていた『十二人の死にたい子どもたち』に関して、〈自分に引きつけて〉、自分の問題に変奏して書いたような結果になった。見当違いなことを書いていたらすみません。



うちの母親は若干「ついふぇみ」みたいな論理思考をする(つまり、子供の頃から僕はすごく抑圧を受けていたわけだ。詳しくは『密室灯籠』を読まれたし)。まあ、自衛も含まれているから仕方ないのだろう、そうでもなければ女性ひとりで生きていくのは大変だ。僕は「学がない」し「職歴」もたいしたことがない。だから、僕の意見は一笑に付すひとだ。そのうえ「かわいそうな病気であたまがイカレている子供を持った哀れなわたし」に酔うことで自分をたもっているので、まあ、かわいそうなひとだし、飯を食わせてくれるし、今日は母の家に来ている。そういう僕の方だって、病気で酷いのは確かだし、生活の「知恵」に関してリソースを割けないことがとても多い。近隣のひとびとが言うように、僕は「知恵遅れ」なのだろう(これは差別用語だが、もちろん僕には差別している意図はなく、差別されているのは僕である)。ていうか、自分が国が定める「基礎疾患」に罹患していて一生治らないって知るまでには、長い時間がかかった。僕に関して言うなら、そんな感じである。

暗い話をしてしまった。なんか楽しい話をしよう。楽しい話? いや、特になにもねぇな……。あー、そうだった。四日間くらい、まともにNOVEL DAYSは更新出来ないかもしれない。その間に、仕込みを出来たらしておきたい。珈琲フロート・ダークリーは、初稿はオフラインで作業するので、まあ、こうやって書くことも出来る。あー、この文章、いつアップロードしようかな。それなりの文章量を書いてからアップしよう。 

しかし、だ。自分の病気が基礎疾患だ、というのは、ぞっとしない話である。どうしてこうなった、って、防ぎようがなかった、と言える。世の中には「反出生主義」というのが存在する。「生まれてこなければよかったんだ」という奴や「親ガチャに失敗」、などと言われる奴だ。これ、もう、なんともコメントしづらいところがある。複雑な要因が絡まっているからだ。個々人に対して、つまり、ひとりひとりと向き合って、反出生主義について話し合い、考えることは出来るとは思うが、「一般論にすることはしちゃいけない」事柄だな、ということだ。僕にしたって、「親ガチャ、成育環境ガチャは失敗だな」と思うことしきりだし、僕自身だけでなくあきらかに親も悪いと思うのだが、このひともこのひとでかわいそうだな、と思うので、逃げることはしていない(おまえなんかに逃げられる知恵なんかない。戻ってきて泣きつくに決まっている、と母は言うが、僕は失敗経験を活かして、次はミスしないようにするだろう。だから、逃げる術がないわけではないし、失敗を何度もしながら逃げるのを試し続ける人生ってのもアリだと思う。脱獄するのを試すのをやめない囚人のような生き方)。いろんな人生があるってことだ。が、「自分の人生を生きているか?」という問いを聞くのはつらい。僕は僕の人生を生きているとは言い難いからだ。この軛から離れられればどうなるかなんて考えたりもするけど、とうぶんは棚上げにして、進むしかない。

いきなりだが、哲学とは「対話」である。ディアローグ。それはソクラテスの頃からそうだし、哲学とはそういうものだった。「反出生主義」について、つまり、「生きづらさを、そもそも生まれてきてしまった、ということに還元すること」については普通は対話が必要だし(そうすると「自分自身」が浮かび上がってくるからだ)、その子がのちにクリエイターになってしまうなら、それはプラスに働くことすらあるのだ。善が悪を生むように、悪が善を生むこともある、ということに話が近い。人生の修羅場や地獄をくぐってきたクリエイターは強い。生と死の問題は、人間が「現存在」(byハイデガー)である以上つきまとう。だから、死にたいと表明する子どもがいたら、ひとりの人間として向き合うしかなく、また、そのための人材が不足しているのもわかる。だが、それでも、近くに生きていることに悩むひとがいるなら、手を差し伸べることくらいしたいなぁ、って思う。あ、ここで言う対話とは、全く意見が違ったり話が咬み合わないなかで対話する、っていう、ミハイル・バフチンの考える対話を念頭に置いていることも付け加えたい。

2023/01/02 20:37 コメント(-)| 随想遊戯
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