第223話 北陸平定戦(15)赤と青の炎⑨

文字数 448文字

 東濃 岩村城攻めの信忠軍を除いた、
ほぼすべての織田軍が参戦した北陸平定戦は
越前での勝利を経て、加賀へ進んだ。

 信長は赦す者は赦し、
成敗すべきは成敗し、
総攻撃開始の葉月十五日から翌月二日までの間に、
越前・加賀の本願寺勢力を鎮圧した。

 その長月二日は、
信長が鬱憤を晴らした日でもあった。
 加賀へ進攻中の部隊と別働で、
豊原から北庄(きたのしょう)へ移った信長は、
図面を引き、当地に築城を命じた。
 そこでは城の普請場に於いて、
近江は高島打下(うちおろし)の豪族で、
四年前から臣従していた林員清(かずきよ)を切腹させた。
 高島は坂本城に程近く、
比叡山攻めに功績のあった明智光秀が
一帯の支配を許されると、
浅井長政に属していた員清は生き残りをかけ、
光秀の与力となった。

 以降、
織田軍の勢力下にあった員清ではあるが、
長秀、光秀、秀吉が湖畔に領国を持ち、
水運を信長家臣が牛耳るようになると、
一部握っていた湖の権益を取り上げられた格好となり、
不穏な動きを時に垣間見せた。
 信長は長秀から逐次それを耳に入れており、
員清を身中の虫であるとして警戒していた。
 
 
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