第118話 3ヶ月と24日目 9月18日(金)

文字数 1,345文字

 貧乏したからこそ身に付くこともある。
 もう6年前になるが、以前働いていた職場で貰ったDVDプレーヤーがぶっ壊れたのだが、
僅か120円程の部品を買って来て修理してしまった。
 こんなことは以前貧乏をする前なら絶対にしていない。
 恐らく次の新しいDVDプレーヤーを買うことしか考えなかったろう。
 コンセントの接触が悪くその先に付いているキャップさえ交換すれば、まだまだ使えると踏んだのだ。
 その方法で30年近く使っている電子レンジも修理し、今日またDVDプレーヤーを修理することに成功した。
 つまり今日は貧乏をして得をしたと言う極々稀な日だったのである。
 しかし反面急にパチンコに行きたくなり、やり過ごす為に保存していたスクラッチくじを削ってしまった。
 尚且つ再度反動の可能性もあるので、もう10枚保存用にスクラッチくじを買った。
 但しキャンペーン中で通常戻り当たりが10%から30%にアップしているのと、それとは別に1000円の当たりと宝くじポイントがあり、8000円買っても3500円のバックがある。
 それ等を差し引くと4500円でこの4日間をやり過ごせたことになる。
 1日1125円の出費だが、競馬やパチンコであれば1日軽く1万はすっていた筈だ。
 その上今日は10枚の予備スクラッチを保存しているので、パチンコや競馬を4日間するよりはずっと良かったと言えよう。
 しかしこの病気はこうした再発が一番怖い。
 予測もしないときに、ふいにやりたいと思ってしまうのだ。
 完治しないのだから当り前と言えば当り前ではあるが。
 そんな風にして再発と言う言葉に脳内を占拠されながら、DVDプレーヤー修理用の部品とスクラッチくじを買いに街へと向かう道中、昔の彼女に会った。
 と、思ってドキっとしたが、元カノにそっくりな別人だった。
 競馬やパチンコの再発はあるが、恋の再発はないのである。
 しかしその元カノそっくりの別人にあった直後、私の今推している恋愛小説を書く女性に、復縁をテーマに恋愛小説を書いて貰うことは出来ないかなぁ、と、思ったのだ。
 自分で恋愛小説は書けないし、何となくその小説を読んで妄想に浸りたいのである。
 しかし復縁を考えるのは圧倒的に男性の方だけで、女性の方はそんなことを考えない人の方が多いと言うことを以前に聴いたことがある。
 やはりそれは種の存続と拡大を図りたいと言う、雄特有の生物学的要因から来るものなのだろうか、それとも遺伝子的に自分とは合わないと判断した雌は、二度とその雄を受け入れないからなのだろうか。
 何れにしても女性が復縁したいと思う場合はレアケースであると共に、余程相手を気に入っていると言うことなのだろう。
 そんな男になってみたいものだ。
 と、言うことで、今日の競馬とパチンコでの無事はDVDプレーヤーの修理とスクラッチくじに感謝である。
 しかし明日の無事は元カノとの復縁で確実、と、言うことにはならないだろうか。
 まぁ、恋愛小説を書けない私には、それが妄想であれ復縁は難題だと言えよう。
 なのでそんな私を可哀想だと思う誰かが、復縁をテーマに恋愛小説を書いてくれることを祈るばかりだ。
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