第８４話　２ヶ月と２１日目　８月１５日（土）

　さすがに今日は可もなく不可もなく。
　何事も無かった。
　否、競馬依存症治療中の身としては、その何も無かったことをこそ喜ぶべきである。
　それに今日は日本人に取って最も感慨深い日でもある。
　終戦記念日である今日８月１５日は、競馬なんぞ絶対にしてはならん。
　と、言うより終戦記念日に競馬を開催する方が悪い。
　しかしそんな正論も今だから言えるのだ。
　実のところ以前自主治療を始める前はその年の曜日の巡り会わせで、確かに８月１５日に土日が当たった年は競馬をしていたように思う。
　恥ずべき行為だ。
　たとえJRAが８月１５日に開催しても、馬券なんか買うべきではない、と、分かっていても依存症に冒された脳は我慢が出来ないのだから、主催者側が開催を止めれば良いのだ。　
　せめて終戦記念日当日の８月１５日と、広島と長崎に原子爆弾を投下された８月６日と８月９日の三日間は、日本国内での競馬開催は遠慮すべきだと思うのだが、如何か。
　最低限国営のJRAはそうする義務があると思うのだが、しかし先ずは依存症を治さないと競馬依存症真っ只中に居ると、そんなことを訴える余裕さえないのだ。
　競馬中毒患者だった頃の私も、１日でも多く開催して欲しいと願うばかりだった。
　とは言え自分は今日自室にあって終戦関連のドキュメンタリー番組、或いは太平洋戦争関連のドラマを観たりして有意義に過ごせた。
　それも自主治療を始めたお蔭で、現在は馬券を買っていないからこそ出来たのだ。
　読書諸兄も競馬依存症の方は是非とも自主治療を始めて、自分を取り戻して戴きたい。
　今日の無事に感謝しつつ明日の無事も確実だ、と、思えるようになった自身に今日は感謝することにしよう。
　競馬を止めている私にである。