第174話 5ヶ月と19日目 11月13日(金)

文字数 1,314文字

 事務仕事とは言え派遣バイトの有った今日。
 何故か転生小説を書き上げ脱稿する事に成功した。
 やはり規則正しい生活が幸いしたか。
 短時間の仕事で余り稼ぎが無いのでお鉢が回って来たのだが、派遣先が蒲田だったので引き受けたのである。
 どうしてもトンカツが食べたかったのだ。
 B級グルメとしては久しぶりに蒲田の或るトンカツ屋のヒレカツが食べたかったのである。
 充実のヒレカツを楽しんだせいか、絶好調のうちに小説を書き終えたのだ。
 後は編集と校閲作業のみとなるし、明日以降は並行して書評も書かなければ。
 と、ここ迄なら今日も平凡な1日だったみたいだな、何だ詰まらない、と、言う事にもなろうが、それが派遣バイトに向かう往路の事新宿で凄い逸材に出会ったのである。
 読者諸兄には40代後半〜60代の母上様をお持ちの方も多く居られるかと思う。
 仮にではあるが、普段はエレガント、で、なくとも普通に良識有る身なりを身上とする母上様だとして、或る日突然ゴスロリでキラキラメークをして家を出ようとした所を見掛けたとしたら、貴方ならどうする。

 1・「お母さん何考えてんの。お願いだからそんな格好止めて。ご近所に見られたらどうすんの!」、と、ストレートに怒り服を脱がす。

 2・「お母さん何があったの。相談に乗るからさ。一先ず話しようよ」、と、リビングに押し戻し、頃合いを見計らい病院に連れて行く。

 3・「お母さん超イケてる。ゴスロリ最高ーッ。私(または俺)もゴスロリに着替えるから待ってて、一緒にお出掛けしようよ」、と、自分もゴスロリになって二人で一緒に出掛ける。

 恐らく大半の方は1もしくは2の対応をなさることだろう。
 まあ、3の対応をする方はレアだと思う。
 今日新宿でガチの40代後半〜60代のゴスロリ女性を見掛けたのだ。
 恐らくその人はシングルだと思うが、もしも息子や娘が居るとすれば3と言う事になる。
 しかしまだそれなら仮装と言うか、娘に付き合っていると言う事で理解は出来る。
 但しその人は一人ゴスロリのキラキラメークだったのである。
 もし息子や娘が居なくとも結婚していたとしたら、旦那が止めるだろう。
 否、旦那が仕事で留守の時を見計らってか。
 何れにしても私はその人とすれ違う時小さくではあるが、「マジかよ」、と、独りごちたほどだ。
 以降これからその女性をゴスロリ姐さんと呼ぶ事にする。
 ゴスロリオバサンと言うのも何だし、ゴスロリ姉さんでは上手くないし、やはりゴスロリ姐さんで行く。
 とか、考えているうちに、今日も競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間も過ぎた。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は、派遣バイトのお蔭だろう。
 それにゴスロリ姐さんに会えたのも、派遣バイトに行ったからこそだ。
 そして明日の無事は小説と書評が、と、書き掛けた処で、凄いファンタジーなシーンが脳裏を過ぎった。
 変態プリキュア女装オジサンこと18Rと、ゴスロリ姐さんが手を繋いで歩いているシーンである。
 否、絶対に無い。
 と、首を左右に振って抗い、明日の競馬とパチでの無事は、やっぱり小説と書評で確実だと祈念する私であった。
 
 追伸・水槽の底の方が大好きな日向君です。



 
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