第148話 4ヶ月と23日目 10月18日(日)

文字数 1,617文字

 やはり朝から出掛けると気持が良い。
 考えれば派遣バイトの仕事をしなくなって早や2週間。
 長期の有給休暇にしてもそこ迄取れない筈。
 依存症の再発も仕方のないところか。
 嗚呼、折角治療を続け何とか競馬を止めれていたのに、この始末。
 兎に角依存症の私には身体に言い聞かせないと分からない。
 確かに怠惰な生活を送っていた私には、罰則が必要だ。
 今日の肉体労働に加え心を入れ替えて健全な生活をしなければ、と、昨日の夜「愛されなくても別に」の書評を書いてみたが、かなり他の人とズレてしまっていた。
 先日読んだのだが、自分の感じたことと他の人の書評に書かれている内容が余りにも違う。
 読み返せば武田綾乃の小説の書評にポツダム宣言の受諾だの、国体護持だの、剰え鈴木貫太郎内閣に迄言及していた。
 自分の書評は絶対に選ばれないだろう。
 編集者も筆者もそんな書評は望んでない筈。
 然しそれこそが今回の罰則になる。
 本来なら掲載さえしたくないこのズレた書評をこそ人目に晒し、そのことの意味を自身に問う必要がある。
 一瞬で霧散する3万円を肉体労働で稼ぐ辛さを味わい、またズレた書評を掲載しなければならない辛さを味わい、唯、罰則に身を委ねる。
 依存症の自主治療をしている私に取って、馬券を買いたいと思った私は裏切者ユダなのだ。
 ところで昨日神様と読者に約束した通り、今日は何か面白いことを書かなければならない。
 通勤の往路や派遣の勤務先ではこれと言った面白いことがある訳もなく、復路私はそれを求めて新宿三丁目駅で降りた。
 すると流石は新宿である。
 網タイツにショートパンツの凄く可愛い女の娘、否、えっ、男? 女? どっちって言う感じの子とすれ違った。
 とにかく可愛いかったから、彼か彼女かは釈然としないが、許せるし全然有りだった。
 場所が場所だしそうなのであろう。
 そしてその子は私とは反対の2丁目方面に向かって、地下街を颯爽と去って行った。
 と、ここで、彼か彼女か分からないあの子には女装をする権利がある、と、言いたい。
 しかし「奴」にはその権利がない。
 この日誌を何日かお読み戴いている方には、「奴」と言うのが誰かお分かりのことと思う。
 そう、あの18®️こと変態プリキュア女装オジサンのことである。
 あれを女装と呼び今日擦れ違った子も女装とすな呼ぶならば、それは余りにも今日の子に対して失礼だ。
 今日出合ったあの子は性別に関係なくとにかく綺麗だった。
 それに反してあの18®️だけは本当に、まあ、何と言うか、世の中の汚いを総て集めて詰め込んだようなあれは、やはり変態が装うと書いて、「変装」と言うべきではないのか。 
 とか、考えているうちに、自主治療上最良にして自分に取って最悪の罰則を思い付いた。
 もしこの罰則を受けなければならないなら、絶対に競馬やパチンコはしないだろう。
 奴18®️に会うとか、話をするとかの軽い罰則ではなく、次に馬券を買ったりパチンコをしたりしたら、奴18®️になる、と、言う、史上最悪の罰則。
 そうなるなら競馬やパチンコは絶対にしたくない。
 否、競馬やパチンコをして18®️にならないといけないなら、死んでやるぅ。
 とか、阿保なことを考えているうちに、今日は競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間も過ぎてくれた。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は派遣バイトに感謝であるが、明日の競馬やパチンコでの無事は18®️が証明してくれるだろう。
 恐るべし18®️。
 それより明日はFM放送を聴きたいのたが、全く家にFMラジオがないことが判明。
 なので明日はFMラジオを買いにいくことで、競馬やパチンコの無事は確実なのだ。
 明日は皆で聴こう深夜24時からのFM81.3を、きっと良いことがある。
 不確実な依存症自主治療と違い、それだけは約束出来る。
 
 
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