第70話 2ヶ月と7日目 8月1日(土)

文字数 940文字

 ホラー映画作戦実行中。
 今日も観たのだが途中で余りにも恐くなり、
こんなもんを観続けるくらいなら、競馬もパチンコもやらないから許してくれ、と、言うことになり途中でホラー映画を観るのを止めたが、結果競馬もパチンコもしなかった。
 うーん、これからは、競馬やパチンコをするつもりならホラー映画を観ないといけない、と、言う罰則を新たに加えてみよう。
 それから今日は実験的に競馬番組を見ることにした。
 大丈夫。
 幾ら競馬をしたくとも口座には一銭も入っていないのだから。
 しかし今日はまたまた変化があった。
 競馬番組を見ていても何ら興奮はなく、それよりテレビ東京の解説をしているお笑い芸人やスポーツ新聞の記者、或いは元調教師などが悉く予想を外したことを情けなく思い。
 馬鹿じゃねえのこいつら、何で競馬なんかやる訳、外れるんだから予想したり馬券買ったりするなよ。
 こんなコロナの真っ最中に。
 今日の東京都の感染者は400人越えだぞ。
 競馬なんかやってる場合か。
 不謹慎だぞ。
 なんて思ってしまったのだが、つい二ヶ月前まで自分もそうだったのだから、一番馬鹿なのは自分だ。
 依存症真っ只中の間は、そんな当たり前のことにさえ気付かなかったのである。
 競馬依存症とは何とも恐ろしい病である。
 しかし今日は確実に自主治療の効果が現れたことが喜ばしい。
 何となれば競馬番組の出演者が全員哀れでならなかったからだ。
 馬鹿にする気持ちを通り越して、可哀想で仕方がなかった。
 何故なら彼等もまた競馬依存症なのだから。
 日本から競馬は失くならないだろうし、農水省が失くさせないだろう。
 しかしこの国から競馬依存症がなくなり競馬に金を賭ける人がいなくなれば、放っておいてもJRAは破綻する。
 多くのJRAに苦しめられて来た人達の為にも、競馬依存症を絶滅させなければ。
 農水省がJRAを失くすことを許さなくとも、競馬依存性の絶滅は倫理上阻めない筈だ。
 何時の日にか日本から競馬依存症がなくなり、JRAが日本から失くなる日を夢見て、私は自主治療を続けるのみである。
 今日の無事に感謝しつつ明日の無事を確信し、明日に備えよう。
 明日はバイトを入れてあるので安心だ。
 
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