第96話 3ヶ月と2日目 8月27日(木)

文字数 890文字

 やはり自分は阿保な男だなあと思った。
 今日で派遣バイトが一応一区切り。
 解放感で街に繰り出そうとしたが、競馬やパチンコが怖くて大した現金は持ち歩いてない。
 しかし宝くじを買う金はあったのだ。
 美人くじと銘打たれた浴衣の美女がプリントされた宝くじである。
 バイト先では意地悪婆さんを始め、性格の悪い汚なめの婆さんがウヨウヨ居て、ついつい「当たらなくても美人観てるだけでいいや。婆さんから解放されたし、それに競馬やパチンコをやらない為だから。美人で癒されよ」、と、言う言い訳と、「それに外れても取っておいて眺めたら目の保養に」、と、言う言い訳までプラスして買ってしまったのだ。
 よくよく見ると大して可愛くなかった。
 でもそれもバイト先の婆さんのせいだ。
 しかも残りの金で何も後のことを考えずに、ステーキまで食ってしまった。
 やはりそれもバイト先の婆さんのせいだ。
 その上競馬やパチンコで金を失うよりは、と言う大義名分もある。
 これで次の給料日まで約二週間、10000円あるかないかの予算で貧乏生活決定。
 これなら銀座シックスで5000円のランチ食えば良かった。
 せめてもの救いは競馬とパチンコに手を出していないことだが、果たして競馬とパチンコをしない為に宝くじとステーキで結果浪費しても良いのか。
 うーん。競馬やパチンコするよりまし、と、言ってるくれるかどうか、明日カウンセラーに訊いてみよう。
 それと汚なめの意地悪婆さんに受けたハラスメントがストレスになり、競馬依存症治療の妨げになるのかどうかもだ。
 今日の無事は宝くじとステーキに感謝。
 明日の無事も確実だ。
 何となれば婆さんとは会わないからだ。
 ん、否、しかし待てよ。
 婆さんのストレスから宝くじとステーキ食ったんだから、今日の無事は婆さんのお蔭か。
 否違う、婆さんのせいでストレスが溜まって・・・・・。
 て、どっちでもいいか。
 とにかく今日1日は婆さんに振り回された1日であった。
 ん、否しかし、明日婆さんに会ったらどうしよう。
 よし。明日は1日部屋に居ようっと。
 決定。
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