第73話 2ヶ月と10日目 8月4日(火)

文字数 755文字

 昨日借りたDVDを見ていたのだが、ホラー映画と違って観たくて借りたものだから楽しかった。
 とは言え依存症の自主治療にはホラー映画が一番効果あるように思う。
 やはり楽しいから競馬やパチンコを止めようとはならないし、楽しいでは競馬やパチンコの興奮を抑えられないような気がする。
 最近でこそ「競馬やパチンコをしても必ず負ける。金を損するから止めよう」などと、まともなことを考えるようになったが、2ヶ月前までは狂った脳がそれを許さなかった。
 否、今となっては狂ったと言うよりも、洗脳されていたとでも言うべき気がする。
 とにかく脳の病である競馬依存症はドーパミンの大量分泌による興奮を覚えている間、何があってもJRAに金を運ぶ。
 宛らDVを受けながらも、自分の身体を売って迄ホストに金を運ぶ風俗嬢のように。
 今迄競馬依存症の治療を始める前迄はそうした風俗嬢を馬鹿にしていたが、今や過去の自身を俯瞰してみると彼女達と何ら変わらないことに気付いた。
 今となっては競馬依存症だけでなく、DVを受けながらホストに金を運ぶ風俗嬢が1人でも多く解放されることを望む。
 してみるとJRAはDVを使い風俗嬢に身体を売るように仕向け、金を持ってこさせるホストと同じだと言うことになる。
 そうするとJRAがなくならないのなら、そうしたホストもなくならないと言うことになる。
 何とも悲しい話だ。
 しかしながらこの世から依存症がいなくなるのなら、そうした風俗嬢がいなくなる可能性はあるのだから、希望は捨ててはいけない。
 競馬依存症もDVを受ける風俗嬢も、必ず抜け出すチャンスがあと信じたい。
 一先ず今日の無事に感謝しつつ、明日の無事も確信したところで明日の為に寝るとしよう。
 競馬依存症の撲滅を願いつつ。
 
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み