第137話 4ヶ月と12日目 10月7日(水)

文字数 1,019文字

 今日は節約生活続行中並びに雨の為、1日部屋に居てしまった。
 健康上は良くないのだが換気を充分にして、且つ軽く運動もして、文字通りお宅に徹した。
 先ずは今日自分の推している作者の作品がノベルデイズで1位になったことが嬉しかったのだが、何故か自分の書いた作品が上位になるより嬉しかったのだ。
 思わず、「うっしゃあーっ!」、と、声を上げた程である。
 しかし自分の作品のことよりも嬉しいなど、奇っ怪極まりない現象だ。
 いったいこれはどう言うことなのか、自分なりに分析してみることにした。
 ひょっとしたらこれは、たとえば美味しいラーメン屋もしくはステーキハウスなどを友人に教え、「ありがとう美味かったよ」、と、称賛を得られた時のような嬉しさなのか。
 否、違う。
 前回の米大統領選でヒラリーが負けると予想し、トランプが大統領に選ばれたときも然程嬉しくなかったし、AKB総選挙で指原莉乃が大島優子を破って1位になることを当てたときも、然程でもなかった。
 ではこれはどう言うことか。
 やはりこれこそが、小説依存症の最たる症状の現れだと私は断言する。
 つまり自分の推した小説が認められることの方が、自己の利益より優先するのだ。
 良く良く考えれば異常なのだが、小説依存症の我が身ならば当然である。
 と、言うことで、依存症であっても小説依存症は誇れる依存症であることが判明。
 ん、待てよ、他にも誇れる依存症は何かないだろうか。
 たとえばジョギング依存症とか散歩依存症、或いはケーキ作り依存症とかなら、これは誇れる依存症とは言えないか。
 一度カウンセラーに相談してみよう。
 とか、考えている間に今日も競馬の開催時間やパチンコ屋の閉店時間が過ぎた。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は小説依存症に感謝か。
 まあ、それで良いと思うのだが、明日の競馬やパチンコでの無事は自炊依存症になることで確実としたい。
 後残り4日程は節約生活を続けなければならないのだ。
 何としても自炊をせねば。
 故に明日から自炊依存症になりたい。
 しかし依存症と言うのは望んでなれるものではない。
 生まれてからこの方自炊を避けてきた私が、とても自炊をしたくなるとは思えない。
 好きだからこそ依存するのだから。
 どうやら私が自炊依存症になるのは、このままでは無理なようだ。
 しかしつくづく依存症とは上手くいかないものである。
 
 
 
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