第176話 5ヶ月と21日目 11月15日(日)

文字数 1,260文字

 馬券は散々だったがこれも治療費と割り切れば、何と言う事はない。
 バカバカししさが募るが年末ジャンボの発売前の今、他にストレスを発散の仕様も無く規定通りの3000円で馬券を買ったのだ。
 致し方あるまい。
 しかし依存症真っ只中の時期とは違って、掛け金も節制が効いているので、正に依存症治療の為の馬券と言う感じ。
 それに大して結果にも固執しなくなった。
 と、言うことで、馬券での敗北を知った後何となく固まりかけている小説現代書評の方向性を再確認する為、新宿の某大手書店へと再度出向いた。
 今回は主にF1層向けの女性誌のうち、女優や女性アイドルが巻頭カラーになっているものをリサーチ。
 ViViやWithが男性アイドルなのに対して、VOCEは広瀬すずでサンプルのようなパックの化粧品が付録。
 つまり広瀬すずのようなメークをしたい、或いは広瀬すずのようになりたいのならこの化粧品は如何、と、言った処か。  
 他にも石原さとみ、波留、と、言った女優が巻頭カラーになっているが、彼女等は総てF1層だけに特化して人気がある女優なのだろう。
 吉高由里子の支持年齢層が50〜60代に上がったらしいのだが、なる程我々おっさんから言わせると「何とかしてみたい」と思う「女」
の最年少が30を少し越えた処の吉高由里子、或いはど真ん中が40代の吉田羊で、広瀬すずや石原さとみは「可愛い女の子」でしかなく、とてもではないが「何とかしてみたい」とは思わない。
 娘にしか思えないのである。
 しかしそんな娘っ子がF1層に人気なのだ。
 だとすれば、34歳迄とされるF1層であっても、当のF1層の女性達は20代にしか視線が向いていないと言うことであり、30代になっても20代のままでいたいと言うことになるではないか。
 もしそうだとすると女は30からだと言うのに、F1層と言うのは何とも浅墓な連中だ。
 と、胸中にブツブツと文句を垂れながら、再度文芸誌のコーナーへ。
 無論文芸誌はF1層に特化する事などなく、表紙もごくオーソドックスな老若を問わない設定のものばかり。
 そう言う意味では支持年齢層の広い、清潔感があるとか、きちんとしているとか、或いは真面目そうだ、と、言う評価の妻夫木聡を小説現代が巻頭カラーに起用した事はやはり妥当だ。
 文芸誌は老若男女を問わない設定なのか。
 うーん。
 やはり1番金を使ってくれる、また本を買ってくれるF1層向けの女性誌と文芸誌を比較リサーチした事で、書評の路線は確定した。
 とか、考えているうちに、今日も競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間も過ぎた。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は、小説現代書評のリサーチ活動のお蔭だ。
 明日の競馬やパチンコでの無事は、私の推し作者さんのスランプ脱出で確実としたい。
 が、言っておくと、そんなものはスランプのうちに入らない。
 年中スランプの私から言わせれば、唯の思い過ごしだ。
 そんなものはうちの熱帯魚の日向君にそっぽを向かれたくらいの事なのである。

 追伸・追文字通りそっぽを向いた日向君。
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