第107話 3ヶ月と13日目 9月7日(月)

文字数 1,031文字

 少しずつだが今日もSF、医療物、ラブコメの3話とも小説を書いた。
 この分だと3作品とも何とか9月中にはもう1エピソードは掲載出来そうだ。
 などと呑気なことを言っている私を尻目に、ノベルデイズの2000字恋愛文學賞には、早や80以上の作品が掲載されている。
 締切は9月未だと言うのにこれが締切日になれば、いったいどのくらいの数の作品が集まっているのだろうか。
 中には一人で2作品以上掲載している人もいるのだ。
 私からすれば音速、否、光速なみの速さで書いていると言える。
 何故そんなに早く書けるのか。
 しかも圧倒的に女性と思しき作者が多い。
 女性の恋愛小説と言えば江國香織とか金原ひとみとかを連想する私であるが、二人ともモテそうで恐らく恋愛経験がないと書けない筈だ。
 私の知るところでは女流作家の中でも、三浦しをんは恋愛小説を余り書かない。
 本人の名誉に拘ることなので、モテるモテないの話は一旦横に置いておく。
 従ってここでは恋愛経験に限って話をするが、やはり恋愛経験値のほどはその作家の恋愛小説の出来の如何に拘ってくると思うのだ。
 つまりこんな光速に等しい速度で恋愛小説が書けると言うことは、それだけ恋愛経験があると言うことだろう。
 もしそうでない人が光速で恋愛小説が書けるのであれば、仮にそれが妄想や想像の産物であるならば、それはその人が天才の域に達していると言えよう。
 うーん。
 この2000字恋愛小説に掲載している人の恋愛経験の程を聴いてみたいものだ。
 自分にはそんな速度で恋愛小説など書けな
いし、書いたとしても書き上がる頃に締切は過ぎているだろうから、今回は遠慮しよう。
 などと、またまた薬にも毒にもならないことを考えているうちに、今日も競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間も過ぎてしまった。
 昨日から生きて行く為にだけ小説を書く、潔く、美しい、そんな自分でいようと決めたこともある。
 今日の無事は恋愛小説に感謝だ。
 然しながら明日の無事は依存症の新治療法、「宝くじ購入治療法」のスケジュールを練り直すことで確実であろう。
 明日は肉体労働の派遣バイトだから、頭の中は恐らくそのことで一杯の筈。
 今日は恋愛小説の如く潔く、美しくあったとしても、やはり私には向いていない。
 明日からは先ず貧乏から抜け出すことを第一に考える。
 そしてそのことに執着する、潔くも、美しくもない私が、やはり一番私らしいと思う。
 
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