第128話 4ヶ月と3日目 9月28日(月)

文字数 1,372文字

 明日に権利落ち日を控えた銘柄が多数の為、予測通り日経平均株価は上がった。
 つまり今日の取引中に9月に中間決算を迎え、その際に配当や株主優待を出す会社の株を買うと、3ヶ月後の12月にその配当や株主優待を受け取れると言う訳だ。
 例年なら9月28日はもっと株価が上がってもおかしくないのだが、コロナの影響で総じて投資家達は食傷気味だ。
 今日民放テレビで「株主優待だけで暮らす桐谷さん」、と、言うバラエティ番組すをやっていたのも、そう言った時期的なものもあってのことだろう。
 以前よりその番組は視聴者に桐谷さんが優待券を使う際のドタバタや残念な言動を、面白可笑しく観せて視聴率を稼いでいた。
 数年前にこの番組を観た際は絶対にヤラセだと思っていたのだが、ヤラセが批判される昨今にそう言う問題もなく未だに放送されていると言うことは、本当に桐谷さんはそう言う人なのだろう。
 そのコーナーのベースになっている演出は株主優待を期限迄に使う為、自転車でその70歳の桐谷さんが激走すると言う形を取っている。
 普通に考えれば時間がなく使い切れないと分かっていれば、早めにチケットショップに売って優待券を現金化すれば良いと思うのだが、それだとチケットショップの買取価格が本来の価値よりも下がるからなのだろうか、全部自分で使い切ろうとするのだ。
 かなり無理のある設定だが、そこがまた観ていて笑えるのである。
 まあ、そこ迄は行かなくとも、私もどちらかと言うと配当や優待などの利回りを考える利回り優先派だ。
 片やファンドマネージャーやデイトレーダー或いはアナリストなどと呼ばれる、売買益優先派とは一線を画す。
 思えば競馬依存症真っ最中の祭は、自分か配当や優待などを優先する利回り優先派などになろうとは思いも寄らなかった。
 言う迄もなくその頃の自分は、ガチガチの売買益優先派だった。
 たとえば航空会社の飛行機墜落事故があったり、自動車メーカーのリコールがあればその会社の株に空売りを掛け、新薬が承認されそうだとなると信用でその製薬会社の株を買いその日のうちに売り抜ける。
 以前はそんなことで一喜一憂していた。
 つまり売買益を優先するとよりギャンブル性が高くなり、配当や優待などの利回りを優先するとより貯蓄性が高まる。
 要するに競馬依存症の自主治療を始めてからは、投機要素の強い投資方法は忌避するようになったと言うことだ。
 自身に取っては凄く喜ばしいことなのであるが、しかしフラッシュバックや反動は何も競馬やパチンコに限ったことではない。
 株の方も以前のような投資の仕方に戻ってしまえば一夜にしてコツコツと積み上げたものが吹っ飛ぶ。
 気を付けなければ。
 と、今日も割とまともなことを考えていて、競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間も過ぎていった。
 今日の競馬やパチンコの無事は桐谷さんに感謝、と、言うところか。
 しかし桐谷さんの映像を観るのは今日だけで充分お腹いっぱいである。
 その後何とか口直しにと、テレビ東京の夜のニュース番組・WBS(ワールドビジネスサテライト)を見たのだが、相内優香キャスターはお休みだった。
 残念極まりない。
 明日こそ競馬やパチンコの無事はポッチャリ美人のお蔭で確実、と、言うことでありたい。


 
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