第256話 8ヶ月と8日目 2月3日(水)

文字数 1,465文字

 弱気で売り方の私には、一言も言葉を発する事の出来なかった今日。
 私とは逆に東京MXテレビの「東京マーケットワイド」で、司会者達が笑顔で大はしゃぎしていているのを見るに付け苛立ちが募った。
 実際司会者が冗談を言う度に、「詰まんねえ事言ってんじゃねえぞ」、と、呟いて、凄く嫌な奴になっている自分。 
 考えて見れば売り方で弱気な自分が、下げ相場の際にその司会者が冗談を言えない程落ちこんでいるのを見てほくそ笑んだのだから、今日の上げ相場もまた因果応報である。
 ほぼ先週の下げを取り戻し、日経平均は連日の上昇で今日の私には溜息しか出なかった。
 今日引け値の日経平均は271円高の28646円と、29000円に手が届く処迄来た。
 因って日経ダブルインバースも買値からは依然としてかなり下回っていて、449円の10円安と下落した。
 また$¥レートは105.02円、と、遂に105円に到達。
 円安と言うよりは米長期金利上昇によるこのドル高は、暫く続きそうな感がある。
 そろそろ投資家もドル円のディールに再び興味を唆られるかも。
 また大きなニュースではソニーがこのコロナ禍に、純利益で1兆円を越えた。
 ゲーム事業を始めとしたコンテンツ事業の好調が牽引しているらしく、株価も10635円の170円高と絶好調である。
 無論高くに過ぎるソニーの株は買えないが、しかしそれにしても凄い。
 また米国のアマゾンでは創業者のジェフ・ベゾス氏が、CEOを退任し会長職へ。
 またビジネス・アスリートと渾名され、同社クラウド部門を率いるアンディ・ジャシー氏がCEOに。
 コロナ禍でも売上絶好調の同社には、今が最良のバトン手渡しの時期なのかも知れない。
 他ではイオス・ビオと言う製薬会社が飲むワクチンを開発したとか、冷凍保存の必要も無いらしく摂取も輸送も簡単なそうで、発売されれば一気にこのコロナ禍も収束に向かいそうだ。
 東京のコロナ新規感染者数は676人と1000人を切ってはいるが、またもステージ移行の目標人数には到らなかった。
 そして肝心のニューヨーク・ダウは今夜、漸く先物と同様に現物も下落を始めた。
 今夜は開場一時間後の値段でも、$30625の$61安と僅かでも下げ基調。
 明日の日経平均も少しだろうが下落する。
 何が何でも弱気の立場を貫く私としては、非常に喜ばしい兆候ではあるが、そうそう大暴落とはいくまい。
 唯一つ、明日の「東京マーケットワイド」を見るのが愉しみだ。
 きっと自分は嫌な奴になる。
 とは言えそれも経済実態の伴わない株高等、必ず崩れ去ると言う信念に基いてのもの。
 お許しあれ。
 今週は大した下げにはならないだろうから、来週頃合いを見て日経ダブルインバースを買い増すつもり。
 相場がどれだけ上げようが来週に買い増す。
 しかし何としても下げ相場は信じ続ける。
 個別銘柄では新薬開発の治験支援や、医薬品販売支援のEPSホールディングスが好決算を背景に値を飛ばしたが、これまた高過ぎて手を出す気になれない。
 と、しかし何と言っても感謝すべきは、今日の上げ相場だ。
 何となれば今日は悔しくて悔しくて、競馬の開催時間もパチンコ屋の閉店時間もやり過ごせたのだから。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は、意に反する上げ相場のお蔭だろう。
 それと今日は文学賞向け小説の書き出しだけだが、何とか書けた。
 で、明日の競馬やパチンコでの無事は、日経平均の下落と、文学賞向け作品の進展で確実と
したい。

 追伸・今日またまた無駄に元気な彦四郎君。
    週末公開予定。
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