第138話 4ヶ月と13日目 10月8日(木)

文字数 1,383文字

 東京のコロナ新規感染症が200人を越えたと言うのに、ニューヨークダウ反発を受けて日経平均も上昇した。
 異常な相場だが何れ調整局面に入るのは目に見えている。
 などと、まともなことを考えながらも、昨日の2つのドラマのことが頭にこびり付いて離れない今日1日だった。
 日テレの「東京タラレバ娘」と、テレ東の深夜ドラマ「だから私はメークする」である。
 2つのドラマ共私には絶対に書けない脚本を元に撮影されていることと同時に、観れば凄いドラマであることが分かった。
 所謂F1層の心理を鷲掴みにしていることは言うに及ばず、これほど特定の年齢層の女性ターゲットに絞ったドラマのオンエアは、近年稀に見ることではないかと思う。
 或る程度の意図は汲み取れる。
 日テレの「東京タラレバ娘」では結婚式のシーンがあり、このコロナ禍で披露宴が相次ぐキャンセルの被害を受ける式場やホテルなど、ウェディング関連の企業に取ってはこの上ない宣伝になるし、テレ東の「だから私はメークする」では、このコロナ禍でマスクを着用する為売上の激減しているコスメメーカーに取っては、この上ない宣伝になるだろう。
 しかしそれ以上に凄いと思ったのは、このドラマのオンエアを決定したドラマ制作部の部長職の責任者に対してである。
 恐らく男ならオッサンで、女性ならオバサンの筈である。
 ゴーサインを出した見識や勘には脱帽だ。
 敬意を表したい。
 殊に部長がオッサンの場合、その人は相当凄いと思う。
 オバサンなら女性なので比較的分かり易いが、もしオッサンなら・・・・・凄い人だ。
 このようなオッサンに取って未知の領域である内容のドラマにゴーサインを出せるとは、誠に天晴と言う他ない。
 私なら躊躇すること必定だ。
 と、ここで、安倍前首相の「女性の社会進出」、と、言う言葉を思い出した。
 してみれば2局共に部長職は女性なのかも、と、言う推測は成り立つ。
 何れにしても小説依存症の私には、この2つのドラマ共に脚本家が妬ましくて仕方ない。
 こんな生活に密着した多くの視聴者のハートを掴むドラマが書けるのだから。
 或る意味天才だ。
 少なく共私のような貧乏な生活はしていない筈である。
 あんなドラマを書ける才能が自分にあれば、こんな貧乏では無かった。
 と、嘆きつつも、今は帝國陸軍ニ十三軍司令官にして、日本統治時代最後の香港占領地総督・田中久一中将に関わる小説を書いている。
 この分では「東京タラレバ娘」や「だから私はメークする」に迫る小説は、生まれ変わるかでもしない限りは書けないだろう。
 と、切なくなり、泣きそうになりながらも、
今日も競馬の開催時間とパチンコ屋の閉店時間はやり過ごすことが出来た。
 やはり今日の競馬やパチンコでの無事は、2つのドラマに感謝である。
 しかし明日の競馬やパチンコでの無事は、「東京タラレバ娘」でも「だから私はメークする」でもなく、田中久一中将のお蔭で無事なのだろう。
 やはり私は私の書けることを書くしかないのである。
 あ、でも、お嬢様小説なら書けてたぞ。
 あっ、忘れてた。
 書かないと。
 そろそろ完成させなければ、と、大切なことを思い出した今日だった。
 やはり明日はお嬢様小説のお蔭で競馬やパチンコの無事は確実なのである。
 良かったぁ。
 
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