第82話 2ヶ月と19日目 8月13日(木)

文字数 805文字

 昨日に引き続き今日も絶好調にツイていた。
 神懸かっていると言うか、良いことが起こり過ぎていると言うか、きっとその内ツキも落ちるのだろうが、以前と違い今は平常心である。
 何故なら負けると分かっている馬券を今は全く買わないので、ツキに拘る必要がないのだ。
 競馬やパチンコを止めると完全に生活が変わるのである。
 朝から家の掃除をしたりすることもなかったのだが、今日も朝から掃除をした。
 すると商品券一枚と引き出しの奥から三百円が出て来た。
 その上もう1人の叔母からも御供えの現金書留が届いた。
 これまた貯金に回し、商品券と三百円でお供えの花と今日の食料を買い込んだ。
 しかし良く良く考えると今日ツイていると言うこの感覚さえ、競馬やパチンコをしているときは感じなかったかも知れない。
 勝ちたい、或いは負けた分を取り返したい、と、言う欲望が日々のちょっとした幸せさえ蝕み、自分を馬券モンスターに変えてしまっていたのだ。
 何とも恐ろしい競馬である。
 馬券を買っている頃は競馬はサスペンスだと思っていたが、今にしてみると競馬は間違いなくホラーだ。
 しかし自主治療を始めて本当に良かった。
 もし競馬をあのまま続けてていたら今頃はどうなっていたか・・・・・と、思うと。
 兎にも角にも今日の無事に感謝しつつ明日の無事も確実である。
 しかし一体競馬を完全に止めてからどの位経っただろう。
 始めの頃は少額でも馬券を買っていてが、今はまったく買う気にさえならない。
 明日またもしツイていると感じたら、サマージャンボ最終日なのでワンセット買い増すことにしよう。
 こう言う時は当たるものだ。
 しかし宝くじには競馬のようにどろどろした欲望はない。
 負けても一割は戻ってくる程度の感覚だ。
 ギャンブルと違って冷静でいられる。
 よし、明日もこの調子で行こう。
 きっと自分はツイてると感じれる筈。
 
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