トビィと三体の竜 

文字数 13,947文字

 静謐な空気に支配されている、緑生い茂る森の中。
 剣を掲げたサイゴンを、トビィは睨み据えている。
 サイゴンの持ち得る剣術は、あますことなくトビィに教え込んだ。飲み込みの早いトビィには驚嘆したが、基礎から丁寧に行った。人に教えた事などなかったサイゴンだが、自身が師匠から教えて貰ったことを伝授した。トビィはそれが不服であり、最初から難しい技の会得を所望したが、懸命に宥めた。
 サイゴンは腕を買われ、現在は魔王直属の部隊に所属している。そんな彼はトビィの能力を高く評価していたが、一方で不安も覚えていた。
 人間に好意的な魔族は、一部である。敵視している魔族が原因で、成長したトビィが潰される懸念を抱いてしまうのだ。杞憂だろうと言い聞かせている、自分もホーチミンも全力で護る予定だが、何が起こるか分からない。本当の肉親のようにトビィを可愛がっていたサイゴンは、過保護気味だ。
 最近はアレクにすら牙をむく過激派が増えているとの噂で、それがサイゴンを悩ませていた。
 強くなってほしいが、目立って欲しくはない。しかし、強くなければ生き残れないという葛藤。
 自身の揺れる心情を振り払うように、剣先を空中へ向ける。雲を突き刺すように掲げたまま、サイゴンは静かに語る。その表情は、険しい。
 初めて垣間見たサイゴンの本気に、トビィの肌は知らず鳥肌となり、背筋に緊張が走った。

「ドラゴンナイトになりたかったんだ。だが、難しくてね、剣の腕は評価されても、それだけでは無理だ。……俺は、挫折して剣士になった」

 気合一閃、剣を振り下ろすと大地が避け、目の前の大木が一気に木っ端微塵になる。凄まじい風圧だ、極限まで溜め込んだ気合を爆発させる。
 唖然と見つめるトビィの前で、至極真剣だったサイゴンの表情が、平素の温和な表情へと戻った。

「結構強力だろ? 攻撃範囲が限られるけれど。ドラゴンナイトを諦めた俺が死に物狂いで編み出した技が、これだ」

 かなりの破壊力だが、決してひけらかせることなく謙虚に語る。
 ドラゴンナイトとは竜に乗り空を駆け巡る、飛行タイプの戦士である。
 空中は無論、地上に降りても戦闘能力が高く、かつ槍及び剣の扱いに長けており、かつ、竜に認められ、信頼関係を築く事が出来る者。
 相棒となる竜は、自分で探さねばならない。そこで挫折する魔族が多い。
 魔界の城にも竜が数体生息・待機しているのだが、真のドラゴンナイトは、自分で竜を説得しなければならなかった。難関である。
 諦めきれず、長年に渡りドラゴンナイトを目指している魔族も少なくはない。サイゴンは無理だと直感し、潔く進路を変更した。
 サイゴンは、頭を撫でながら逞しく成長したトビィに兄の視線を投げる。

「トビィ、何になりたい?」

 選択する職は、サイゴンとて解っていた。しかし、一応聞いてみる。
 勝気に、普段通りに微笑んだトビィは一言だけ、こう言った。

「ドラゴンナイト」

 聞いた時点で決めていた、自分に最も相応しい職だと思った。サイゴンの無念を晴らしたいとも思った、それも事実。しかしそれ以前に興味が膨れ上がった職がそれであり、そして自分の限界を試したい職でもあり。
 何より、竜さえ共に居れば緑の髪の少女を容易く捜せそうな気がした。
 満足して豪快に笑ったサイゴンは、眩しそうにトビィの肩を叩いた。

 ホーチミンも加え、ついにトビィはサイゴンと職の申請の為、魔界の城へと出向いた。物珍しい好奇な視線を投げかけれながらも、臆することなく歩く。傍らにはサイゴンとホーチミンがおり、すでにそれだけで注目の的だ。トビィの姿に溜息を漏らす女性も多く、また、将来有望だと感心する者も多く。
 そして当然、好意的な視線を投げかける者の他に、忌々しそうに見ている者達も当然居た。同じく、ドラゴンナイトへ申請をしている者達である。侮蔑の視線と嘲笑を投げてきており、三人は正直鬱陶しく思っていた。
 今回、トビィを含めて六人が申請届けを出している。
 容姿は標準を下回る、お世辞にも美形とは言い難い男達だった。主格の男の名はオジロン、という。
 
「性懲りもなく」

 舌打ちしたホーチミンがトビィにそっと寄り添り、オジロンに威嚇を籠めて睨みをきかせる。厄介な男だった、大した実力もないのにドラゴンナイトに執着し、長年に渡って申請している落ちこぼれ組みである。性格が陰湿で態度が横暴、ある意味有名な男である。
 トビィが本格的に城内でドラゴンナイトと成るべく訓練を開始したので、サイゴンも長期休暇を解除し、今は城内で警備を担当している。
 当然、宮廷魔術師であるホーチミンも暇を見ては、トビィの応援に来ていた。
 数ヵ月後、初の試合が行われ、皆の予想通りトビィはその頂点に立った。僅か六名での試合とはいえ、人間で優勝したのはトビィが初であり、より一層注目が高まる。腕が確かで、見目麗しい。魔族の女達は色めきたって、我先にと声をかけ始めた。
 その多くには目もくれなかったトビィだが、関係を引き摺らなさそうな女で色香が高い美女の声には時折応じ、一夜を共にした。閨事においても優秀だったトビィは、その点でも女性達を虜にしてきた。だが、決して恋人は作らない。冷めた態度ですら、さらに彼の魅力を引き立たせてしまった。
 優勝後、城に居る練習用の竜で飛行を習い、いとも簡単にドラゴンナイトへの道を順調に進んだ。魔族に慣れている竜とはいえ、心を掴み懐かせて空を駆け巡る姿に、誰しもが興奮を覚えた。
 こと、サイゴンとホーチミンは自分の事のように喜んだ。

 十五歳になり、数ヶ月。
 トビィは、ついに竜を探す旅に出る事になった。
 飛竜タイプは黒竜、風竜、火竜の三種族。他に水中に生息する水竜に、地上の覇者である土竜など、大きく分けて五種類の竜が惑星クレオには存在する。魔界だけでなく、人間界にも生息しており、ある程度の生息地域は上官魔族から教えられたが、常に移動している種族も多く、彼らを捜し出す事が最も過酷である。
 ここから先は、誰も手助けができない。自分との戦いだ。
 身の上を案じたサイゴンとホーチミンと、暫し別れの時を迎えようとしていた。
 マドリードの家で休息したトビィは、明日からの生活に不安を抱かず、寧ろ希望に満ちている。未だに帰ってこない彼女と、人間界で再会出来るのでは、と微かに胸を弾ませた。
 翌朝、二人から暖かい言葉に手製の御守り、薬草に簡易な食料と貰ってトビィはついに旅に出た。
 トビィが欲したのは、黒竜である。
 孤高の竜で、成人すると単体で生活するが生体は未だに不明な事が多い。人間界の山岳に住まうという情報はあるが、相棒とするには非常に難しい竜だ。滅多に姿を現さない稀少竜で、自尊心が高く、相棒とするに相応しいと憧れる者が多いが、皆挫折する。
 しかし、空の覇者にして竜の中で最も強大な種族。トビィのやる気は、十分だった。
 まず、魔界から出る必要がある。船で人間界へ出向こうかとも思ったのだが、魔族側から貰った地図には竜の生息区域が大まかに書かれている。山脈を越えて南下すると、水竜の生息区域があるらしい。確かな情報ではないが、まずはそこへ向かうこととした。
 水竜を相棒とし、魔界を出ると決意した。それが出来なければ黒竜は無理だろう、と。
 不屈の精神と鍛えぬかれた身体で、トビィは懸命に山脈を超え、海辺に到着した。
 無骨な岩がところどころ突き出る海岸を一頻り歩き、焚き火をして浅瀬で魚を捕獲し休憩する。無心で食していたトビィだったが、妙な心のざわめきを感じ、遥か遠くの海を挑むように見つめる。
 何かが、居た。
 火を消し、高い位置へ登って瞳を細めると、水竜の群れである。サファイヤのような煌く鱗に覆われ、頭部に水晶のような一角を抱き、六体で遊泳している。
 身体が震えるほど喜びがこみ上げ、勢いよく走り出した。偶然の遭遇に、感謝をせずにはいられない。水竜達はひっそりと入り江へ入って行ったので、慄くことなく追う。間近で見ると、神秘的で美しい竜だった。
 感嘆の溜息を漏らす。
 トビィの存在に気づき、最も小さな水竜がいきり立って突進してきた。
 初めて聞く鳴声だった、超音波にも取れる。その竜の突進を軽やかに避けながら、岩を飛び越えて近づいていく。歓迎されていない事など、承知の上である。
 最も長寿だと思われる体格の良い竜が、再度トビィに攻撃を加えようとしていた小さな竜を一喝し、進んでくる人間に興味本位な視線を投げかけた。

「ジュリエッタ! 見境なく襲い掛かってはいかん」
「でも、人間だよ!」

 竜が流暢に人の言葉を話していた、思わず目を丸くする。練習用の竜は一言も話さなかったので、唖然と竜達を見つめる。
 訝しげに見てくる竜達だったが、老体の竜だけが優美に近寄るとじっ、とトビィを挑む様に見つめて来る。その後方ではトビィが不審な動きをしようものならば真っ先に噛み付こうと、竜達は常に敵視してきた。
 剣に手を伸ばすことはなく、トビィは口を開いた。

「オレの名は、トビィ。見ての通り人間だ」
「人間が何故このような地に? ここは魔界の筈だが」
「幼い頃、魔界へ連れて来られ、数年を過ごした。今回、ドラゴンナイトとなるべく相棒を捜す旅に出て……という状況なんだが」

 ざわめく竜達は、動揺する。人間のドラゴンナイトなど、噂でも聞いたことがなかったので、あからさまに数奇な目で見つめる。

「無理強いはしないが……オレの相棒はいないだろうか。オレと共に、世界をまわって欲しい」

 更にざわめく。
 先程トビィに襲い掛かったジュリエッタが、馬鹿馬鹿しいとばかりに失笑した。
 けれども、老竜は全てを見透かすような眼でトビィを見つめている。心の底を探るように、外見ではなく、精神を見極めるように。
 数刻おいて、絞り出すような声を出した。

「どこか……不可思議な“水”の加護をまとってらっしゃいますな。いやはや、人間にこのようなお方がいらっしゃるとは。どうぞ、お好きな竜をお連れ下さい」

 発したその言葉に一斉に沈黙する竜達は、唖然として老竜を見る。 
 トビィとて、拍子抜けして唖然と老竜を見つめ返した。
 
 ……そんな簡単に?
 
 そう思った瞬間、見透かされていたように老竜が静かに笑う。

「何者でしょうなぁ、人間殿。しかし、我らが水の眷属の根本は、貴方様に繋がっていると……確信してしまいましたので」

 トビィは、訝し気に自身の両手を見つめる。そのような事を言われたのは、初めてだ。魔法など使用できないので、自分に秘められた力など知る由もない。

「今はまだ、解らぬやもしれません。ですが、間違いなく、貴方様は水の力を使いこなすでしょう。それは、必然にして必要不可欠な能力なのです」

 深くトビィに頭を垂れた老竜に、慌てて他の竜も頭を下げる。彼の一声には、有無を言わせぬ威力があるのだろう。彼らの掟なのかもしれない。反論するものは、いなかった。先程敵を剥き出しにしてきたジュリエッタですら、恭しく頭を下げている。

「好きな竜、と言われても……」

 トビィは一体一体、丁寧に見つめていった。しかし、簡単に決めたくはない。

「暫く、滞在させて欲しい」

 いくら老竜の命令が絶対であるとはいえ、無理強いはしたくない。彼らと解り合い、自分と相性の良い竜と共に旅立ちたい。
 トビィの心情を汲み取り満足した老竜は、瞳を細めて頷いた。
 真剣な眼差しと傲慢でない態度は、竜達の警戒心をすっかり緩めていた。最も幼いジュリエッタと、次に若い竜のオフィーリアはすぐに懐いた。新しい風に、興味津々だったのだろう。
 昼間は竜の背に乗り海を駆け巡り、夜は入り江で共に語らいながら数週間を過ごした。一緒に海に潜り、魚を捕まえ火を起こし食べさせると、生とは違う感覚に美味しいと若い竜達は連呼する。
 その頃には、トビィはすでに決めていた。
 幼いが、オフィーリアかジュリエッタ、どちらかを相棒とすることを。
 そして他の竜達は知っていた、この二体の竜達は自らトビィの相棒を志願するであろうことを。
 数日後、トビィの相棒はオフィ―リアで決定となった。
 ジュリエッタは、まだ幼いと判断されたのだ。
 歓びではしゃぎ回るオフィ―リアと、泣き喚き駄々をこね、納得がいかないと暴れるジュリエッタ。
 ジュリエッタは、拗ねて不貞腐れ、トビィの旅立ちを素直に見送らなかった。けれども、オフィーリアの背に乗り、威風堂々と海を駆け巡るトビィの後姿を祈る気持ちで遠くから見守っていた。
 残された水竜達は、去って行くトビィに向かっていつまでも静かに頭を下げていた。

 トビィと離れたのが余程辛く、数日後にはジュリエッタは塞ぎこんでしまった。水竜達は一カ所にとどまらず、定期的に移動を繰り返し生活している。そろそろ次の入り江へ向かう時期ではあったが、ジュリエッタの体調が優れない為、出発を身送っていた。
 暫くして、そこへオジロン達が現れた。
 水竜を捜しに来たものの、一向に見つからないので我武者羅に片っ端から海岸の岩を魔法で破壊していた頃。伏せって入り江に一人で居たジュリエッタは、予期せぬ落岩に巻き込まれてしまった。岩が背中に転がり落ちてきて、強打した。浅瀬にいたせいで、海底に押し潰されている。
 思わず悲鳴を上げたジュリエッタの声を、狡猾なオジロン達が聞き逃すわけもなく駆けつける。

「これは……貧弱な小物だが紛れもなく水竜だなぁ。良い所に居てくれた!」

 助けるわけでもなく、出血し啼いているジュリエッタに近寄ると見事な一角に触れながら下卑た笑い声を出す。

「少々物足りないが、こやつで我慢するか。おい、小物。その状態は辛かろう? 助けて欲しくば、忠誠を誓え。ワシの相棒となれ」

 痛手を負うジュリエッタに卑怯な交渉を持ちかけた、なんという外道だろう。
 信頼を第一としたトビィと違い、高慢な態度で竜を使役しそうなこの目の前の低俗な輩に、吐き気をもよおす。重症を負いながらも、誇り高くジュリエッタは叫んだ。

「断る! 認めた主は他にいる、誰が貴様らの手など借りるものか!」

 空気が震える程に吼えると、幼くも海の覇者の片鱗を見せた。
 その咆哮に反射的に身をすくめたオジロン達であるが、幾ら強がろうとも目の前の竜は動けない。厭らしくこめかみを引くつかせながらじりじりと近寄り、渾身の力で岩を跳ね除けようとしていたジュリエッタに剣を抜く。

「ならば……用はない」

 無慈悲で、身勝手。
 懸命に抵抗し反撃したが、落岩での負担が大きく、幼いジュリエッタは抵抗むなしく命を落とした。それでも、許しを請うことはなかった。最後まで誇り高く、負けまいと応戦した。
 竜は手に入らなかったが、不満は一通り解消できたので、優越感に浸ったオジロン達は引き上げる。
 数時間後、遊泳に出ていた水竜達が、胸騒ぎを感じてようやく戻った。しかし、時はすでに遅し。ジュリエッタは、見るも無残な姿になっていた。傍らに落ちていた剣を仇の物だと判断し憎々しげに拾い上げると、岩を退かしてジュリエッタを救出する。果敢に戦った形跡が見られたので、水竜達は涙し、傍にいてやれなかったことを悔やんだ。見事な一角は老竜の手で根元から折られ、遺体は波によって流されて、やがて海の底へと沈んでいく。
 悲しみに沈む竜達の手元には、魔族の剣とジュリエッタの一角が残った。何故老竜が一角を手中にしたのか、他の竜達には理解が出来なかった。
 魔界を発ち、オフィーリアと共に順調に旅を進めていたトビィは、ようやく目的地であるカナリア大陸に到着した。久し振りの人間界だが、特に懐かしさは込み上げない。酷薄かとも思ったが、それが正直な気持ちだ。
 海岸でオフィーリアと離別し、「太陽が三十回沈んだらここで会おう」と約束した。
 姿が見えなくなるまで手を振っていたトビィは、沈んでいったオフィ―リアを見届け、一人陸路を行く。ここからは運が関与することなど、重々承知。黒竜の行動は広範囲に及び、会える確率は極僅か。
 それでも諦めることなく山岳を歩き、時折湧き水で喉を潤し、持ち歩いていた質素な干し肉を食べ進む。
 数日歩き周ると、水とは無縁の土地へ辿り着いた。喉の渇きで気を失いそうになると、多肉植物を剥き、水分を摂取する。このまま水にありつけないと、脱水症状で命を落とす危険がある。引き返すべきか迷っていたが、脚は動いていた。
 聞き間違いかと思ったが、遠くから水音が聴こえてきた。都合のよい幻聴だと言い聞かせ、顏の表情を強張らせる。それでも、トビィは浮かれることなくそちらへ進んだ。期待したはいいが、異なった場合の反動が大きいことを知っている。苦虫を潰した様な思いは御免だった。
 だが、身体中の細胞が訴えるのだ。
 あちらに、水があるよ、と。
 そして、トビィは疲弊しきった瞳を輝かせた。幻覚ではない泉が、そこにあった。自然と駆け出し、顏から突っ込む。喉の渇きを存分に潤すと、衣服を脱ぎ水中へ入った。
 水温が低いので、身も心もシャキッとする。しかし、長くはいられない。低体温は危険だ。慌てて上がると寄せ集めの枯れ木で火を起こし、湯も沸かしておく。それから再び水に身体を沈めて、汚れを落としつつ、魚を探した。
 山奥の村に居た頃は、よくこうして魚を獲ったものだ。それが、馳走だった。腕は衰えておらず、狙いを定めると槍で一突きにし、火で炙る。焼き魚に、温かい薬湯で久し振りにまともな食事を口にできたトビィは、安堵の溜息を吐いた。
 極度の緊張が緩み眠気に襲われたものの、水面に何かの影を見て、我に返る。
 それは、まごうことなき竜の影。見間違える筈がない。
 弾かれたように見上げると、立派な黒竜が悠々と飛んでいる。頬が、ゾクリと引き攣る。
 慌てて焚き火を消し、衣服を着て荷物を豪快にまとめると、飛行する竜を追いかけた。 
 トビィに気づいているのか、いないのか。黒竜は誘うように、ほと近くの山頂へと優雅に舞い降り、じっとしていた。険しい顔つきで荒い呼吸を繰り返し、その竜の元へと山頂を登るトビィを待っている。

「お、面白い……」

 うっすらと笑みを浮かべ興奮で震えるトビィを、その竜は観察している。威厳漂う鋭利な眼光が蠢き、自分を追ってきた人間を興味深く値踏みしていた。
 そして、ようやく足元に辿り着いたトビィに口を開いた。

「何用だ、人間。まさかとは思うが、ドラゴンナイト志望だとも。身の程を弁えよ」
 
 山岳地帯を好き好んで歩き回る理由など、多くはない。トビィの風貌を見て瞬時にドラゴンナイトであると判断したその黒竜は、解りきった問いを投げた。
 普通の人間であれば、卒倒しそうな重圧感。炯々とした瞳は深紅で、口から覗く歯は一瞬で首を噛みきれるであろう光を放っている。
 口調と声の重み、心臓に突き刺さる圧迫感で、流石のトビィも足が竦む。だが、物怖じせず距離を縮める。

「汝、無謀と勇気は違うが、解らぬか?」

 瞳を細めて微かに羽根を広げ、黒竜は威嚇する。
 トビィは足を止め、清冽な眼差しで彼を見上げた。

「オレの名はトビィ。人間だが魔界イヴァンからドラゴンナイトの称号を得るべく、相棒の竜を探す旅に出た。望む黒竜よ、共に歩む気はないだろうか」

 低く鼻で笑い、竜は口を開く。

「数奇な。イヴァンからここまでどうやって来た、人間よ」
「相棒のオフィーリア……水竜と共に」

 豪快に笑った竜は、羽根を大きく広げ宙に浮遊する。
 風圧でトビィの髪がなびき、その身体すら揺れた。

「すでに水竜がいるのであれば、十分であろう。強欲な人間よ、問おう。稀に、契約をした竜の数で、自分は有能だと勘違いする“うつけ”がいるが……貴様もその類か? 互いに信頼し、常に共に居る関係で有り続けること、それこそが有能な竜使いの姿」

 帰れ。
 竜はピシャリとそう付け加え、眼下のトビィに無言の圧力をかける。
 肩を竦めたトビィは、意外にもあっさりと引いた。

「そうか。ならば仕方ない。オレをそう判断したのなら……貴殿とは合わないのだろう。オレが求める竜は心を分かち合える大事な相棒、オフィーリアと同じ様に。邪魔したな、では」

 躊躇せず、踵を返す。
 これには竜が驚愕した。今まで数名のドラゴンナイト志願の魔族に出会ったが、断るとしつこく話しかけてきたり、攻撃を仕掛けてきたり、面倒な事になった。トビィに何かを感じた竜は、再度岩に降り立ち声をかける。

「妙な人間だな。少し興味が沸いた」

 軽く振り返ったトビィは、足を止めた。
 無言でトビィと竜は、互いを探るように見つめ合った。そして、不意に同時に笑みを零す。
 竜は瞳を閉じ、旧知の間柄と話すように小さく笑うと、決意したように瞳をカッと開く。

「昔から知っている気がする、人間の異端児よ。いや……人間のドラゴンナイトよ。上手くやれる気がしてきた」
「そうか? 互いに自尊心が高そうだ、下手すると触発、合わないかもしれないが、それでも?」

 冷やかすように喉の奥で笑いながらも、トビィは右手を差し伸べる。
 その姿を見つめ、竜は頭を下げた。その人間、奥に秘める不思議な“何か”。以前、逢ったことがある気がしてやまない、“何か”。
 共にいなくてはならない、“絆”。

「名は、デズデモーナ。よろしく、主よ」

 トビィに妙に惹かれ、デズデモーナは頭を垂れる。
 その背に、トビィは颯爽と飛び乗った。しっくりと馴染む乗り心地に、感嘆する。

「……何処かで逢ったか?」
「初めてだと思うが、どうにもそんな気がしない」
「だよな」
 
 こうして、トビィは願った黒竜であるデズデモーナと共に山脈を後にした。オフィーリアと約束した海岸へ急ぐが、計算が合っていれば約束の日までは数日余っている。
 待機するより効率的だと、何処まで行ったか解らないオフィーリアを空中から捜した。待っていれば確実に出会えるが、少しでも早く会いたかった。
 きっと、彼ならば喜んでくれるだろうと。

「オフィーリア!」
「あー! 主だぁー」

 約束の海岸から離れた海域で、オフィーリアは悠々自適に泳ぎまわっていた。
 黒竜の背から顔を覗かせたトビィを眩しそうに見上げ、オフィーリアは満足そうに頷き咆哮する。自分が認めた主であれば成し遂げると、そう確信していた。
 こうして二体の竜がトビィに集ったが、数体の竜を所持したところで、その竜達の仲を取り持てなければ、ドラゴンナイトの資格など当然ない。

「すまないが……一度、親友に報告したい。必ず合流するから、一時外れてもよいだろうか」
「あぁ、構わない。そちらの都合もあるだろう? ではイヴァンで落ち合おう、デズ」

 トビィはオフィーリアの背に飛び乗ると、去ってくデズデモーナを見送った。夕日を浴び、偉大な羽根を広げて消えていく姿を目に焼き付ける。

「またな、デズ。待っている」

 波の煌めき、潮の香り、照りつける日差し。
水分を補給しながら、魔界イヴァンを目指す。すぐにでもサイゴン達に報告をしたかったが、トビィはオフィーリアを気遣った。

「オフィ、仲間達に会ってから行こう」
「ホント!? 主、ありがとーっ」

 以前出会った海岸へ出向くと、妙に岩が形を変えていたので首を傾げつつ、トビィ達は水竜を捜す。反対側の海岸付近で姿を見つけたので意気揚々と手を振って近寄れば、竜達は悲しみに包まれていた。
 トビィとオフィーリア、事情が飲み込めず困惑した。
 ジュリエッタが何者かに殺されてから30日ほど。一族の死を簡単に受け入れられなかった、彼を置いて遊泳に行ったことを後悔していた。
 トビィ達の姿を見、安堵し若干笑みを浮かべた水竜達は全てを語る。残されていた敵の剣を見せてみれば、トビィの顔色は見る見る朱に染まった。見覚えのある剣だ、そして、忘れることもない。

「オジロン!」

 憎悪に満ちた瞳で、その名を吐き捨てる。
 試合で手合わせした際に、記憶した。量産品だが、柄に品のない模様が掘ってある。

「仇は自分が」

 冷ややかな声でそう告げたトビィに、ジュリエッタも浮かばれると水竜達は涙した。そうして老竜が取り出したのが、ジュリエッタの一角である。

「どんな鉱物より硬く、そして鋭利な我ら水竜の一角。是非、トビィ殿に剣として扱って頂きたい。ジュリエッタとて、共に居られるならば本望でしょう」
 
 その為に、あの時老竜はジュリエッタの一角を折っていた。
 トビィは丁重に一角を受け取ると、眩く光を放つそれに自分の顔を映した。ジュリエッタの無邪気な笑い声が聞こえる気がして、胸に熱いものが込み上げる。
 もう少し、滞在していたら。
 ジュリエッタを、選んでいたら。
 後悔で、胸が潰れそうなほどに苦しい。一角を譲り受ける資格があるのかすら悩むほどに、気落ちした。

「トビィ殿が気に病まずとも。口惜しいですが、運が悪かったのです。そもそも、我らが付いていれば、防げたでしょう。どうか、責めないでくだされ」

 思い詰めた表情のトビィに、老竜が宥めるように告げる。
 トビィは納得がいかない様子だったが、苦しいのは皆同じだと懸命に自身に言い聞かせた。

「ジュリエッタ……」
「気にかけてくださるトビィ殿だからこそ、我々は一角を預けるのです」

 トビィは、ややあって頷いた。
 改めて、一角を見つめる。素材は上等だが加工してもらわねば、剣としては扱えない。果たして、これを剣へと作り変える者が存在するのか。
 だが、トビィをぐるりと水竜達が囲み、手にしている一角へ向けて念を籠めれば。その手の一角は仄かに光り、そして熱を帯び始める。

「水竜は。生涯、主と見極めた者の為に、死して尚、役に立とうと、傍に居ようと致します。ジュリエッタはトビィ殿を好いておった、相棒になれなくとも、心はトビィ殿と共に」

 徐々に形を変貌させていく一角を、息を飲んで食い入るように見つめる。ジュリエッタはトビィの武器として、共に居る事を望んだのだろうか。
 暫しの後、呆然と立つトビィの手には一振りの剣があった。水を思わせる澄んだ光を纏う、冷たさと美しさが共存する世界で唯一無二の剣。水竜ジュリエッタの一角から生成された、トビィだけの剣が誕生した。
 サイゴンから受け取った剣の鞘に、不思議な事にぴたり、と収まる。感嘆の溜息しか出てこないトビィに、深々と頭を垂れる水竜達は感極まって涙を流した。

「……ブリュンヒルデ。この剣をブリュンヒルデと名付けよう」

 ジュリエッタの名をそのままつけようと思ったのだが、不意にブリュンヒルデ、という名が浮かんだ。後方で水竜達が息を飲んだが、気にせずトビィは続ける。

「幼い頃、育ての母に聞いた話では、大地を司る偉大な精霊がブリュンヒルデ、という名だと。敬意を、そして崇拝の意を籠めてその名をつける。……水の偉大な精霊の名は知らないし、な。剣の雰囲気にも合っていると思うんだが。どうだ?」

 荘厳なその剣を掲げて、満足そうにいうトビィに「返す言葉がありません」と老竜が近寄った。

「ジュリエッタ……いえ、我が水竜の族名が、ブリュンヒルデといいます。正直、驚きを隠せません」

 それにはトビィとて驚いた、驚くべき偶然である。名付けたそれは、水竜族全てを象徴するかのように、神々しく光を放っていた。トビィの手にしっくりと馴染み、身体の一部であるかのようにすら感じるその剣。

「何処までも、一緒に行こう」

 トビィがそう告げると、剣が啼いた気がした。それは、快晴のように澄み切った音だった。

 水中では最強であっても、陸へ上がると非常に弱々しい生命体となる水竜は、皮膚が乾いてしまうと最悪死に至る。オフィーリアを水竜達に預け、トビィは一人でサイゴンの元へと向かった。
 数日かけて城へと戻り報告すれば、歓声を上げて駆けつけてきたサイゴンとホーチミンがトビィを力の限り抱き締めた。
 水竜と黒竜の二体を短期間で相棒としたというトビィの噂は、瞬く間に魔界に広がった。魔族でも類を見ない実力に、誰しもが唸る。それほどの偉業だ。
 サイゴン達にオジロンの行き先を問えば「未だに竜探しから帰ってきていないはずだ」と教えられ、トビィは経緯を話した。
 呆れたホーチミンが怒りのあまり椅子から立ち上がると、爪を噛みながら宙を見つめる。

「恥知らずめ!」
「水竜に拒否されたのならば、風竜を捜すかもしれないな。今、魔界の東に風竜の一家が滞在中だと聞いたが……」
「解った、行って来る」

 サイゴンの話を聞き終えないうちに、トビィは家を飛び出した。
 同行したい気持ちを抑え、二人はその後姿を見送った。オジロンが水竜を殺した明確な証拠がないので、その罪ではサイゴン達は動けない。水竜達が嘘をついている、と言われたらしまいだ。剣とて濡れ衣で用意したものだと突っぱねられたら、水掛け論になる。
 トビィの力量は承知しているが、相手はオジロン達卑劣な魔族五人、万が一も有り得るので祈るばかりである。

「あの大馬鹿屑野郎、投獄出来ないかしら……何か、手立てがあるはずよ」
「確かにこのまま野放しにしておくのは危険だ、アレク様に報告しよう」
「アイツの事でアレク様の心が乱れるのは辛いわね……。本当に面倒な奴!」

 ホーチミンは、爪を噛みながら酒を煽った。こうでもしなければ怒りで我を忘れてしまいそうだ。

 デズデモーナは未だ魔界に到着していない。
トビィは信頼も得ていたので城の小型の竜を借り、飛べるところまで進む。やがて空気の薄い山の頂付近でトビィはこの竜と別れると、胸騒ぎを覚えて進んだ。何かの叫び声に血相を変え、夢中で山を駆け上る。
 産まれたばかりの竜を連れた緑色の竜が、数人の魔族に取り囲まれていた。あれこそ、風竜だ。母親なのか、予想より小ぶりである。二体は威嚇しているものの、多勢に無勢で押されている。
 頭に血が上ったトビィは、大声を上げて突進した。

「貴様! 人間の!?」
「何をしている、オジロン! ジュリエッタだけでは飽きたらず、また竜を! お前がドラゴンナイトになれるわけがない、竜達は使い手を選ぶものだ!」
 
 母竜の翼に隠れて怯えている小竜が瞳に飛び込んでくると、もう理性が保てない。怒りに身を任せて、背の剣を引き抜く。驚愕した瞳をこちらに向けている魔族達の目の前で、トビィはブリュンヒルデを構えた。陽の光を浴び、その剣が啼く。

「ジュリエッタの仇、とらせて貰う」
「ほざけ、青二才が! 自信過剰の人間め、返り討ちにしてくれるわぁ!」

 トビィの所持する不思議な剣に戸惑いを覚えつつ、魔族達は下卑た笑みを浮かべて取り囲んだ。
 その隙に目配せし、トビィは風竜に逃げるように指示した。それが本来の目的だ。彼らがいては、存分に戦えない、人質にでも取られたら最悪だ。
 トビィとその剣の姿に圧倒され、一歩も動けない魔族達だが、ついに動いた。

「恐れることはねえ、相手はひ弱な人間一人きりだ!」

 魔法を扱える者が一斉に詠唱を始めた、使えない者は斬りかかった。
 魔法は厄介だ、何が来るか検討もつかないのでトビィは斬りかかって来た魔族を紙一重で避けると、詠唱している者達に斬りかかる。詠唱が完成する前に、それを中断せねばならない。
 素早く軽やかな動きで、トビィは瞬時に魔族達を蹴散らした。

「こ、このっ!」
「いい加減自分の実力を見極めろ。お前達では無理だ」

 あしらう様に軽く髪をかき上げ言い放つトビィに完全に頭に血が上ったオジロンは、威勢だけの掛け声と共に突進した。しかし、突如悲鳴を上げ、その場で硬直する。
 黒い影が、地に落ちる。
 猛々しい咆哮に、トビィは笑みを浮かべて名を叫んだ。

「デズデモーナ!」
「主、見つけたぞ」

 眩しそうにデズデモーナを見上げたトビィと、威圧感に顔を引きつらせたのはオジロン、場を制したのは圧倒的存在感の黒竜。

「主の傍に、共に。……下卑た魔族よ、邪魔だ」

 紅蓮の瞳に睨まれ、オジロン達は盛大な悲鳴と共に山を駆け下りる。弱者に対して居丈高な人物は、強者に対しては卑屈になるようだ。
 あまりの変わり身の早さに、トビィも呆れて追う気にもなれず、デズデモーナとの再会を喜ぶ事にした。

「アレは何だ、主」
「友人であるオレの大事な水竜を殺した、最低な魔族だ。今回は風竜が襲われているようだったので間に入ったんだが……」
「ふむ、なんともまあ」
「一応あいつらもドラゴンナイト志願なんだがな」
「無理だ、諦めたほうが身の為だと、何故気づかぬ」
「口で言って解る魔族達ではない、変な自信に支配されている。実力が伴わないというのに」

 肩を竦めるトビィは、深い溜息を吐いて肩を下ろす。
 そこへ、様子を見ていた風竜が遠慮がちに舞い戻った。見れば、数が増えている。

「危ないところを……助かりました」
「気にするな」

 母竜の後方に、デズデモーナより多少小型の風竜が控えていた。トビィの視線に気づき、母竜が紹介する。

「息子です。本来は息子か夫が居るのですが、今日は二人とも不在で」
「そこを狙ったんだろう、狡猾な奴らだからな……」

 舌打ちし、トビィが山の麓を睨み付けた。デズデモーナも、威嚇するように咆哮する。

「まぁ、その立派な竜が居れば今後は安心だろう。その幼子が成長するまで、今後は片時も離れないことだ」

 デズデモーナの背に飛び乗り立ち去ろうとしたトビィに、控え目な声で風竜が声を発した。

「私はクレシダと申します。……同行しても良いでしょうか」

 面食らって頭を抱えたトビィは、返答を迷った。先程の言葉は伝わらなかったのだろうか、傍に居ろ、と言った筈だ。
 わざとらしく溜息を吐く。

「オレはトビィ、ドラゴンナイトを目指しているが既にデズデモーナと、水竜のオフィーリアが共に居る。正直……」
「興味がありますゆえ」

 全く話を聞かない風竜に、苦笑を零したトビィは救いを求めて母竜を見た。息子を唖然と見ているのは母も同じである。しかし、突然愉快そうに笑い出した。

「トビィ様、と申されましたね。クレシダが自分の意思を示すことは稀なのです、よければ連れて行ってやって下さいませんか」
「いや、しかし」
「もうすぐ旦那が戻りますから、こちらの身はご心配なさらず」
「ん……」

 引き下がらない風竜一家に、困り果てたトビィはデズデモーナに視線を投げたが、苦笑するだけだった。数分迷っていたが、ついにこちらが折れてクレシダに手を差し伸べた。

「よろしく、クレシダ」
「お願い致します、主」

 こうして、トビィは三体の竜を手に入れたのである。
 黒竜デズデモーナ。
 水竜オフィーリア。
 風竜クレシダ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

アサギ(田上 浅葱) 登場時:11歳(小学6年生)

 DESTINYの主人公を務めている、謎多き人物。

 才色兼備かつ人望の厚い、非の打ち所がない美少女。

 勇者に憧れており、異世界へ勇者として旅立つところから、この物語は始まった。


 正体は●●の●●●。

ユキ(松長 友紀) 登場時:11歳(小学6年生)

 アサギの親友。

 大人しくか弱い美少女だが、何故かアサギと一緒に勇者として異世界へ旅立つ羽目になった。

 トモハルに好意を抱いている。

ミノル(門脇 実) 登場時:12歳(小学6年生)

 アサギのことを嫌いだ、と豪語している少年。

 アサギ達と同じく、勇者として異界へ旅立つ羽目になったが、理不尽さに訝しんでいる。

 トモハルとは家が隣り同士の幼馴染にして悪友。

 多方面で問題児。

トモハル(松下 朋玄) 登場時:11歳(小学6年生)

 容姿端麗、成績優秀であり、アサギと対をなすともてはやされている少年。

 同じく異界へ勇者として旅立つ。

 みんなのまとめ役だが、少々態度が高慢ちきでもあったりする。

 なんだかんだでミノルと親しい幼馴染。

ダイキ(中川 大樹) 登場時:11歳(小学6年生)

 剣道が得意な、寡黙な少年。

 人づきあいが苦手なわけではないが、自分から輪の中に入っていくことに遠慮がち。

 同じく、異世界へ勇者として旅立つことになる。

 やたらと長身で目立つことがコンプレックス。

ケンイチ(大石 健一) 登場時:11歳(小学6年生)

 ミノルと親しい可愛らしい少年だが、怒らせると一番怖い。

 同じく異世界へ勇者として旅立つことになった。

 従順だが、意に反することには静かに反論する。

リョウ(三河 亮) 登場時:11歳(小学6年生)

 作品のメインである一人。アサギは「みーちゃん」と呼んでいた。

 アサギと親しく、出会ってからは常に一緒だったが、勇者に選定されず、地球に取り残されてしまった。

 常にアサギの身を案じ、地球で不思議な能力を発揮している。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み