外伝6『雪の光』21:雪の光

文字数 7,389文字

 太陽の光を遮断する分厚く澱んだ雲が、彼らの行く手を阻むように大粒の雪を吐き出す。
 今、二台の馬車が流刑地カシューへ向かっていた。
 恐ろしい予感が瞬時に身体中を駆け巡り、トシェリーは馬車の中で震えている。手には、報告書が握られていた。

「オレは」

 眩暈がして、嘔吐した。

『罪人アロス:流産』

 流産という文字が、トシェリーの脳内を引っ掻き回す。アロスの腹には、子が宿っていたらしい。自分の子か、それとも間男か。

「一体、誰のっ」

 自分の子であれば、発狂する。あの日、容赦なく何度か腹を蹴り上げた。その時の衝撃が要因ならば、自分が子を殺害したことになる。後悔の念に押し潰されそうになり、頭を掻き毟る。
 トシェリーは知らなかった。罪人は、物同然として運ばれていくことを。屈強な男ですら、道中命を落とす者がいる。アロスが無傷だったとしても、流産していただろう。
 小刻みに震えながら、次いで届いていた報告書に目を落とす。つい最近届いたものらしく、流刑地カシューからの緊急要請だった。
 紙が、激しく音を立てる。

『至急、薬品と食料の手配を求む。瀕死の者有、高熱下がらず』

 嫌な予感がした、口元を塞いで涙を瞳に浮かべる。誰とは書かれていないが、少女に極寒の地は耐え切れないだろう。トシェリーは知らなかった、カシューの地がどれだけ過酷かを。

「どうして、こんなことにっ」

 報告書に目を通しておけばよかったと、自分に対して怒りが沸く。しかし、もう遅いのかもしれない。
 報告書を見れば、アロスを思い出す。
 自分から離れていったアロスを思い出すと、辛くなる。
 それが耐えられなくて、目を背けた。
 ずっと気になっていたのに、裏切られたことが許せなくて、意地を張った。

「もっと、早くに見ていれば。……いや、あの時愚かな情に流されなければ」

 トシェリーは、重苦しい溜息を吐いた。前を走る馬車に乗っている二人の男を思い出し、悄然(しょうぜん)として俯く。

「また……オレが。オレだけが」

 沈鬱極まる調子で、呟く。

 カシューに到着したアロスは、脚が動かないので縛られた縄で地面を引き摺られ、流刑地へ入った。その為、衣服は破れ全身が擦り傷まみれになった。
 大罪人専用の場所に、このような娘が来たのは初。看守らは戸惑い、狼狽する。

「あの、罪状は……」

 若い看守が、床に蹲っているアロスを見つめながら震えた声で問う。運んできた男は、ぶっきらぼうに叫んだ。

「ほらよ、これでも読みな! トシェリー王の命を狙った、不貞輩だ」
「こ、この子が?」
「王自ら、コイツの顔に烙印を押した。……確かに届けたぞ、じゃあな」
 
 有り得ない、と看守は首を横に振る。しかし、相方の看守は耳をほじりながら、迷惑そうに欠伸をした。

「さてと、そんじゃま、烙印を押すかね」
「待ってください、この子の顔にもう烙印が!」
「ここへ来た罪人は、左肩に烙印を押し牢へ入れる決まりだろう。例外はねぇよ」

 毎日絶えることなく燃えている暖炉の中に、長い鉄の棒が一本突き刺さっている。看守は自身の手を毛布で何重にも巻いてから、顔を顰め棒を手にした。こうしなければ、火傷してしまう。それでも、多少熱い。
 怯える様子もなく、ただ、焦点の合わない瞳でどこかを見ているアロスの衣服を無理やり剥ぎ取った看守は喉を鳴らした。痣だらけの身体だが、美しい形の乳房が現れる。
 目のやり場に困り、若い看守は目を逸らした。
 しかし、中年の看守は、厭らしく臭そうな息を長く吐きニヤリと嗤った。残虐な光を瞳に灯し、鏝を何度も持ち直す。

「待って、駄目だ!」

 若い看守が止めようとしたが、無視して強引に焼き鏝を振り下ろした。
 途端、肉が焦げる臭いが漂う。
 数回体験したが、慣れない臭いに若い看守は喉の奥で悲鳴を上げた。
 反して、中年の看守は目の前の若い娘から零れるであろう甲高い悲鳴を期待し、舌なめずりしてそれを待った。
 けれども、アロスの口から望まれた絶叫は漏れない。

「な、なんだぁ、コイツ」
「声が……出ないの?」

 今まで、これで絶叫しなかった罪人などいない。耐えられるわけがない。
 ガクガクと身体を大きく痙攣させ、血走った瞳を開いて何か言いたげに天井を見ているアロスに、ようやく看守達も気がついた。
 確認の為届いた罪人状を見れば『声が出ない』とある。

「も、もういいでしょう! ……牢へ、入れてきます」

 アロスに服を丁寧に着せ直すと、リシンという名の若い看守は牢へと連れて行った。歩けなかったので、抱きかかえる。驚くほど軽く、生きていることが正直奇跡だと思った。唇を噛み締め、悔しくて涙を零す。
 牢の中に寝台はない。埃まみれの毛布で包み、そっと床に寝かせる。吐く息は白く、これでは凍死してしまう。

「僕は、リシン。君は……アロスだね。ごめんね、酷いよね。僕はね、両親が看守だったんだけど、死んでしまってね。そのまま引き継いで、ここで働いているんだよ」

 アロスは虚ろな瞳で、天井を見つめていた。
 リシンは、アロスの髪を撫でた。全身の痣、頭部と肩の烙印、欠けた歯……それでも、春を思い起こさせる緑の髪は美しい。

「君も冤罪だろう? このカシューにいる人は、大体冤罪なんだ。酷い話だろ? でも、僕は何も出来ない」
 
 現在二十余りが収容されているのだが、無実の者は半数以上。冤罪だという証拠はないが、リシンはそう確信している。罪人達を見ていれば、分かる。恐らく、正義を貫こうとして邪険にされた者達だろうと。

「目を盗んで、色々持ってくるから。頑張って」

 アロスを暖めるように抱き締め、リシンはそっと牢を出た。掃除をする振りをして、何か彼女に与えられる物はないか探す。夢中になっていると、いつからか、もう一人の看守がいない事に気が付いた。脱獄など出来る場所ではない為、住み込みであるニ人の看守しかいない。頻繁に掃除をさぼる不真面目な男で、普段は休憩室で寝ている。しかし、そこにも自室にも居ない。
 不審に思い、松明を掲げて走る。嫌な予感がした、一気にアロスの牢へ向かうと灯りで照らす。

「あ、アンタ一体っ!」
「久々の女だ! ほら、お前も混ぜてやるから」
「こ、こんの、外道っ!」

 牢の中で組み敷かれていたアロスを見るなり、リシンは躊躇することなく勢いに任せて看守を殴りつけた。不様な声を出し壁に激突した看守は脳震盪を起こしたようで、呻き声を上げながら這い蹲っている。

「おいで!」

 その隙にアロスを抱き抱え牢から出ると、施錠する。

「な、なにやってんだぁ、リシン! こんなことをしてタダで済むとおも」
「黙れ、下衆野郎」

 額から血を流し、凄まじい形相でリシンに手を伸ばした看守は硬直する。見上げた先にいたのは、十五そこらの子供ではない。青臭い餓鬼だと嫌な仕事は全て押付けていたのだが、絶叫すると牢の端で縮こまった。まるで、蛇に睨まれた蛙。

「アンタがいなくても、支障はない」

 その瞳は、修羅を潜り抜けてきた者が見せる光を宿している。リシンはそれ以上何も言わず、一瞥し踵を返した。暖炉の前に連れて行き、顔を赤らめながら乱れた胸元を隠すように集めた毛布で包む。そして、薬湯を飲ませた。

「ごめんね、何もされなかったかい? 怖かったね」

 放心状態なのか、無反応のアロスの頬にそっと触れると、異常に熱い事に気づいた。

「熱!? どうしたらっ」

 悲鳴を上げ右往左往するリシンは、牢から声が聞こえた気がして耳を傾ける。

「ここにある薬を全部見せろ、効果があるものを選別してやる」
「貴方は……ピース?」
「これでも医者の端くれだ、さぁ」

 リシンが覗き込んだ牢には、蹲っているが屈強な男が一人いた。流行り病が地方を襲った際に、薬を平民に分けろと反乱を先導したという罪でここへ連れてこられた。彼は、死を食い止めるべく医者として戦ったのだが、その道は閉ざされた。
 実際は、彼の腕を嫉んだ能のない医者に嵌められただけだ。
 リシンは牢を離れたものの、すぐに戻ってきた。手には薬ではなく、鍵を握っている。開錠しピースを出すと、唖然としているその腕を引き摺りアロスを診せる。

「……無茶な奴だな」
「貴方は無罪。皆を救える、希望の医者」

 毅然と言い放ったその姿にピースは小さく笑うと、アロスの治療に入る。
 その後も、アロスを心配する罪人達はほぼ、リシンの手によって牢から出された。

「貴方も、無罪」
 
 瞳を細め心静かに罪人らを見つめると、彼らの事情を視る事が出来た。突然の能力に夢でも見ているのかと思ったが、アロスを救うために神が授けてくれたと信じた。
 牢から出してもらおうと思案する狡猾な犯罪者もいたが、リシンの黒曜石のような瞳を欺く事はできない。

「僕は、この子を知っている気がする」

 助けなければならないと悟り、自分の運命だと確信した。その為に、使えるものは何でも使う。

「アロス、ここにいる人達は優しいだろう? さぁ、君は元気になろう。元気になって、お礼を言おう。みんなね、君の笑顔を見たい。だから……生きよう」

 リシンは拙い文字ながらも、懸命に国へと手紙を書いた。薬や食料の要請、囚人達の現状をこまめに書き綴った。
 だが、牢へ来る便は十日に一度程度。
 リシンと、罪人とは名ばかりの善人達は、知恵を出し合ってアロスの治療にあたった。けれども衰弱していく一方で、食事は喉を通らずみるみる痩せこけていく。
 焦ったリシンは悔しくて、悲痛な声を上げた。

「僕じゃ駄目だ、僕()()じゃ駄目なんだ! みんながいないと彼女を助けられないっ」

 アロスを抱き締め、無力さを嘆く。
 手は尽くしたが、医者のピースも項垂れて首を横に振った。

 ……仕方がないのです、これは罰。

 アロスは、彼らの悲哀の叫びをおぼろげに聞いていた。

 ……もう、よいのです。心配してくれているであろうお父様やトリフを忘れ、トシェリー様の傍に居たいと願ってしまった罪深い私を、神様が許さなかった。それでも、私は。あの人と一緒にいたかった。

 ずっと、後悔していた。トシェリーに助けられたというのに、彼の言う事を聞かなかった自分に非があると受け入れた。幾らユイらと愉しく遊んでいても、優先すべきは彼だった。
 これは自分が招いた災厄だと、諦めた。

 ……私が、全て悪いのです。ただ、もし。もし神様がいらっしゃるのであれば、どうか。

 夢を見た。
 馬車が暴漢に襲われたが、通りすがりの男が助けてくれた。誰も血を流すことなく暴漢を撃退したその男の名はトシェリーといい、視察に来ていた隣国の王だという。アロスを救ってくれたお礼にと、アルゴンキンは誠意を篭めて彼に尽くすことを決意した。
 颯爽と現れ助けてくれたトシェリーに、アロスは心奪われた。彼を見る度に想いは募り、どうしようもなく惹かれる。
 やがて、トシェリーはアルゴンキンに頭を下げ、アロスを后に迎え入れたいと告げた。
 二人は、相思相愛だった。
 アルゴンキンは喜んで申し入れを受け、娘を手放すことを決意する。
 その際、幼い頃から側にいたトリフをアロスの供につけた。不慣れな土地でも、愛娘が寂しがらないようにと。
 兄と妹のようなトリフとアロスは、これからも共に居られる事を喜び、トシェリーも歓迎した。
 こうしてトシェリーの治めるブルーケレン国は、アルゴンキンとトリフの誠実な意見も取り入れ、民の生活を豊かにする為励んだ。若いながらも親身になって民に寄り添う彼を、大勢が支持した。
 跡取りのいなかったアルゴンキンは、後継者としてトリフを指名した。アロスと離れることになったが、トリフはトシェリーと唯一無二の親友のように心を許しており、立場は違えども、互いに世を平らかにする為懸命に動いた。
 そんなニ人に侯爵ベイリフは賛同し、彼らに加わる。
 ある時、知能は高いが産まれた身分の低さから街に埋もれていたリシンという少年を見出したトシェリーは城に招き、側近とした。アロスと同じ年頃の彼は、すぐに城内の者に打ちとけ、教養を学んだ。
 彼らは民から絶大な信頼を受け、不安定だった世は緩やかながらも安定していった。
 アロスは妻としてトシェリーに寄り添いながら勤勉に励み、貧しい者や女性らが生きやすい国にしようと懸命に働いた。平民に混じって活動する彼女に、民らは心酔した。
 そして、一方で莫大な費用を医療にあてたトシェリーは、ついにアロスの声を治す医者を見つけた。
 手術が終わり、トシェリー、トリフ、ベイリフ、リシンに囲まれる中で、アロスは唇を開く。
「トシェリー様。……愛しています」
 曇りのない笑顔を見せたアロスは、喉に手を添えて驚愕する。さくらんぼ色した可憐な唇から漏れた鈴を転がしたような美声に歓声を上げたトシェリーは、大粒の涙を零した。そして強く抱き締め、「愛している」と告げながら幾度も口付けを交わす。
 アロスは、声を手に入れたのだ。
 国は末永く繁栄し、いつまでも寄り添って愛し合ったニ人は、満足そうに命を引き取った。
 そして、子孫達が彼らを語り継ぎ未来を創る。教えを護り民を愛し続けたその国は、平穏に包まれたまま続いていく。

 そんな、酷く幸せな夢を見た。

 ……なんて素敵な夢でしょう。こんな私に、神様が贈り物をくださった。

 アロスは胸がいっぱいになって、僅かに口角を上げた。

 ……トシェリー様が、笑ってた。

 強欲な自分に嫌気が差したものの、彼の笑顔を再度見られただけで満ち足りた気持ちになった。

 ……あぁ、あの笑顔を見ていたい。ずっと、ずっと、見ていたい。私は彼に会いたい、声を聴きたいし、願わくば名前を呼んで欲しい。親しい仲でなくとも構いません。側に、いたいのです。こんな欲深く罪深い私は、どのような徳を積めばよいですか。彼に相応しい人間になるには、どうしたらよいのですか。

 世界がまわる。落下しているのか、引き上げられているのか、振り回されているのか。周囲の景色が変貌する、呼吸が出来ず、もがいたアロスは一瞬瞳を開く。

 ……あ!

 トシェリーの顔が、鮮明に見えた。間違える事のない、美しい髪と瞳。端正な顔立ちは、いつ見てもうっとりしてしまう。眩い光に包まれた彼を見て夢の続きだと思い、嬉しくてアロスは微笑んだ。神が慈悲を与えてくださったのだと、感謝した。
 その眩い光は、開いた扉から吹き込む雪の光。

「ごめ、なさい。トシェリーさま、ごめ、なさ」

 ようやく、伝えたかったことが言えた。神に願ったのは、彼への謝罪。
 晴れやかな笑顔を浮かべたアロスは、そのまま息を引き取った。
 カクン、と身体が揺れる。

「……アロス?」

 呆然として、腕の中で息絶えたアロスを見つめたトシェリーの瞳から、涙が遅れて洪水の様に流れ始める。

「あ、あ、あ、う、ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 力強く抱き締め、絶叫した。頬に縋り何度も名を呼びながら、骨と皮だけになっていたアロスを、折れる程に抱き締めた。
 大雪の中、やっとの思いでカシューへ辿り着いたトシェリーは、男らに囲まれていたアロスを奪い取った。自分のモノだと抱き締め名を呼び続け、最期に奇跡を目の当たりにした。
 アロスが語った、最初で最期の言葉は『ごめんなさい』。どうしても、トシェリーに謝りたかった。
 嗚咽を繰り返すトシェリーは喉を掻き毟る。

「ち、違うだろう、アロス!? オレは何と言った!? 『愛している』と囁くようにと、あれほど教えただろう!? まだ駄目だ、まだ死ぬな、約束を果たせ、起きろアロスッ!」

 その場に居た全員が、息を飲んですすり泣く。
 トリフが、力なく壁にもたれこんだ。
 リシンが、大粒の涙を零しながら床を強打した。
 ベイリフが、顔を背けて震えた。
 トシェリーが、アロスの亡骸を抱き締めたまま、発狂して泣き喚いた。
 彼らの声を打ち消すように、雪が降り積もる。
 煌きながら、光ながら、絶望に包まれたカシューに静謐なそれは静かに降り続けた。

「助け、られなかった……約束したのに」
 
 自嘲気味に言って、床に倒れ込んだリシンを皆が支える。
 誰に文句を言えばよいのか。言ったところで、最早どうにもならないし、その気力もなくトリフは瞳を閉じる。

「アロス。護れなくてすまなかった……約束したのに」 

 震える身体を必死に堪え、ベイリフは込み上げる悔しさに唇を噛む。

「悪かった、遅くなって。言わなければならないことがあったのに……約束したのに」

 泣き喚いているトシェリーの懐から、一通の手紙が滑り落ちた。それは、ユイが持っていたアロスが書いた手紙である。手放さず幾度も読み返し、薄汚れている。


 アロスが書いたものであれば、トシェリーはそう思っていた。ユイが書いたというのに、そんな幻想を抱くほどに焦がれていた。
 真実は、伝わらない。

「愛して、いたんだ! た、ただ、オレ以外の男が触れているなんて、そんな、そんなことは許されないと思って、それでっ! なぁ、アロス? お前はオレを愛していたのか? オレは、オレはっ!」

 極寒の地に、悲哀と絶望に満ちた声がこだまする。春の緩やかな空気など、来ないのではないかと思う程に。

 そうして、その土地は。
 異常気象が続き、何時まで経っても雪は止まず、大気は冷たい空気に包まれたままだった。当然作物は育たず、食料も尽き、人々は衰弱した。凍死するか、餓死するか。大陸は必然と死の淵に追いやられた。
 生命あるものは住む事が出来ぬ、凍てついた大陸が誕生する。

『あるところに、声が出ない美しい娘がおりました。裕福な家庭で育った純粋な娘は誘拐されましたが、寸でのところで美しい王に助けられました。
 ニ人は相思相愛でしたが、女達の嫉妬によって引き裂かれてしまいます。
 衰弱した娘は、最期の力を振り絞って愛した王に「ごめんなさい」と伝えました。
 疑うことを知らなかった娘は陥れられたと思わず、自分の失態で王に愛想を尽かされたのだと思い込んでいました。その為、謝罪したかったのです。それが、彼女が命と引き換えに起こした奇跡でした。
 娘を助けたい一心で集った者達の思いも虚しく、娘は死んでしまいました。
 そうしてあの山の向こうの土地には悲しみの吹雪が吹き荒れ、命を拒む永久凍土となったのです』

***挿絵は数年前に戴いた頂き物です。***
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登場人物紹介

アサギ(田上 浅葱) 登場時:11歳(小学6年生)

 DESTINYの主人公を務めている、謎多き人物。

 才色兼備かつ人望の厚い、非の打ち所がない美少女。

 勇者に憧れており、異世界へ勇者として旅立つところから、この物語は始まった。


 正体は●●の●●●。

ユキ(松長 友紀) 登場時:11歳(小学6年生)

 アサギの親友。

 大人しくか弱い美少女だが、何故かアサギと一緒に勇者として異世界へ旅立つ羽目になった。

 トモハルに好意を抱いている。

ミノル(門脇 実) 登場時:12歳(小学6年生)

 アサギのことを嫌いだ、と豪語している少年。

 アサギ達と同じく、勇者として異界へ旅立つ羽目になったが、理不尽さに訝しんでいる。

 トモハルとは家が隣り同士の幼馴染にして悪友。

 多方面で問題児。

トモハル(松下 朋玄) 登場時:11歳(小学6年生)

 容姿端麗、成績優秀であり、アサギと対をなすともてはやされている少年。

 同じく異界へ勇者として旅立つ。

 みんなのまとめ役だが、少々態度が高慢ちきでもあったりする。

 なんだかんだでミノルと親しい幼馴染。

ダイキ(中川 大樹) 登場時:11歳(小学6年生)

 剣道が得意な、寡黙な少年。

 人づきあいが苦手なわけではないが、自分から輪の中に入っていくことに遠慮がち。

 同じく、異世界へ勇者として旅立つことになる。

 やたらと長身で目立つことがコンプレックス。

ケンイチ(大石 健一) 登場時:11歳(小学6年生)

 ミノルと親しい可愛らしい少年だが、怒らせると一番怖い。

 同じく異世界へ勇者として旅立つことになった。

 従順だが、意に反することには静かに反論する。

リョウ(三河 亮) 登場時:11歳(小学6年生)

 作品のメインである一人。アサギは「みーちゃん」と呼んでいた。

 アサギと親しく、出会ってからは常に一緒だったが、勇者に選定されず、地球に取り残されてしまった。

 常にアサギの身を案じ、地球で不思議な能力を発揮している。

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