2022/03/27 ウグイス⁉ 違います。それは・・・

文字数 1,336文字

先日とある用事があり、側面が大きなガラス張りになっている建物のすぐ前に立っていた。目の前を何かがさっと通り抜けたと思った瞬間、ゴ~ンと鈍い音。
何事かと音のした方へ目を向けると、そこには小さな小鳥が転がっていた。
「あ、ウグイス!」 と、咄嗟に声が出た。
腹部は白っぽく、頭部と背面、尾の先までが緑色の綺麗な小鳥だ。目がくりくりとしていて、とてもかわいらしい。

どうやらこの小鳥は、ガラスに反射して写っていた外の景色に、ガラスだと思わずに突っ込んでしまったようだ。
死んではいない。だが、頭から突っ込んで脳震盪でも起こしたのか、すぐには飛び立てそうな様子には見えない。
一緒にいた従兄がその小鳥を掴み上げる。手の平と比べるととても小さい。文鳥やスズメなどよりは、かなり小型の鳥だ。
従兄は何をするんだろうと思っていると、室内にいた三人の幼い女の子を呼び寄せた。
「ほら、ウグイスだよ」と子供達に見せる。ああ、なるほど。幼い子供に、珍しくてかわいらしい野生の小鳥を見せるのは、とても良い事だ。自分には思い付かなかったな。

それから数時間後に自宅に戻り、先ほどのウグイスの事を思い出した。その時なぜだか分からないが、頭の中に『メジロ』という単語が浮かんで来る。ん? メジロ? ウグイスじゃ……。あの鳥はメジロ?
そういえば、小鳥のまん丸でつぶらな瞳の周りには、まん丸の白い縁取りがあった。目の周りが白いからメジロ?

さっそく画像検索をしてみた。ウグイスとメジロをそれぞれ別タブで表示させてみる。
画像を比較すれば一目瞭然。やはりあの小鳥はウグイスではなく、メジロだったようだ。
ウグイスは薄っすらと暗い緑がかってはいるが、ほぼ薄茶色っぽく見える鳥だ。メジロとは見た目がまったく違う。

ではなぜ最初にメジロをウグイスだと思ったのかだが、花札に『梅に鶯(うぐいす)』という札がある。製造元によって複数のバリエーションがあるようだが、自分の知っている物は梅の木に緑色のウグイスがとまっている絵札だ。茶色の鳥ではない。
それにウグイス豆、ウグイス餅、ウグイスパンの中身のあんこの色は、みんな黄緑のような緑色だ。
だからウグイスという鳥は、緑色をした羽を持つ鳥なのだとその時まで思い込んでいた。しかし実際のウグイスの色は、薄っすらと緑がかった薄茶色。
うぐいす色と言う色があるけれど、その色も黄緑色のような色かと思っていたが、軍服によく使われているような暗い緑で、オリーブドラブのような色だった。うぐいす茶と言う少し緑がかった茶色もあるようだ。

検索して知ったのだが、ウグイスは梅の木にはめったにとまらないらしい。深い藪の中などにいて、人間に姿を見せる事は少ないらしい。食料も昆虫が主体だとの事だ。一方のメジロは人前によく表れて、花の蜜を吸いに梅の木に頻繁にとまっているそうだ。
自分もそうだったが、ウグイスとメジロを混同している人はけっこう多いらしい。検索の途中で見つけた俳句のページで、ウグイスを題材とした俳句に、メジロが梅の木にとまっている画像が使われていたり、ウグイスのイラストを多数掲載している所では、8割か9割ぐらいのイラストが緑色の鳥で、目の周りが白く、完全なるメジロだと分かるイラストも載っていた。

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