２０２３／１０／１５　水ダウの「え？」な銃弾イラスト

10月11日放送分の『水曜日のダウンタウン』「マジで死ぬかと思ったエピソード誰でも1つは持ってる説」に使用されたイラストが間違っていた。
「80代の女性が幼い頃、中国で内戦が起きた時にそれを見ようと窓から顔を出した。しかし危険を感じて顔を引っ込めた。その瞬間に目の前を銃弾が通り過ぎた。顔を引っ込めていなかったら頭に当たっていた」

というエピソードの時に使われたイラストに描かれていた銃弾。
うん、ライフル弾ですね。
ちゃんと正確に描かれているからライフル弾だと分かります。
でもね、ライフル弾は薬莢ごと飛んだりはしないんです。薬莢の先端に取り付けられている弾頭だけが飛ぶんです。薬莢はライフル銃の薬室内に残るんです。

自動小銃の場合は弾丸が銃口から発射され、薬室内の発射ガスが安全な圧力に低下した後、自動で空薬莢を排出して次弾が装填されます。手動のボルトアクション式ライフルの場合は、発射後にボルトを手で操作して空薬莢の排出と次弾の装填を行います。

いずれにせよ、銃口からは弾頭だけが発射されて薬莢は銃の薬室内に残り発射されません。薬莢が付いたままの弾薬が丸ごと飛んで行くって事はありえないのです。ですが、日本のテレビでは銃から丸ごと発射される映像をよく見かけます。
米国とは違って銃が身近に存在しない日本では、一般の人の銃に対する知識がそれほどないのは仕方がない事だとは思いますが。

このイラストを描いた人も、銃の知識はあまりなかったのでしょう。ライフル弾の形状は正確に描かれていますので、画像検索などで見た弾薬を元にして描いたのではないかと思われます。
「銃の弾」とかで調べると、弾頭だけの画像よりは薬莢が付いた状態の弾薬の画像の方が多いから、知らない人はこれが銃から丸ごと発射されるんだろうと勘違いしてしまう事があるのかもしれません。外国の映画やドラマなどでも、薬莢が付いた状態の弾薬が映っている事の方がほとんどですし。



◎↑はライフル弾の画像です。拳銃弾はもっと短くて薬莢に段差は付いていません。（例外はあります）
弾薬は薬莢の中に発射薬（無煙火薬）が充填されていて、その先に弾頭が挿入されています。反対側のお尻の部分には雷管が付いています。（22口径などのパワーが弱いものには付いていません）

銃の引き金を引くと、バネの力で前進したピンが雷管を叩きます。雷管の中にはかんしゃく玉のように強い衝撃が加わると発火する少量の火薬が入っており、その火が発射薬に点火し、瞬間的に燃焼して高圧のガスを発生させ、その圧力で弾頭部分が銃口から飛び出すという構造になっています。だから薬莢部分は薬室内に残って一緒には飛んで行かないのです。
（ちなみに薬莢下端にぐるっと一周彫られている溝は、撃ち終わった空薬莢を外に排出させるためのツメが引っかかる部分）