2022/04/20 『UFO』を見た話。信じてもらえなくても別に良い。

文字数 4,493文字

かなり昔の事だけど、何度か『UFO』を目撃した事がある。そのUFOの中に宇宙人が乗っているんだと主張するつもりはない。地球上のどこかの国が造った、何かの目的の物体とも思える。もしかすると未知の自然現象なのかもしれない。
でも確かに空に浮かぶ何かの物体を何度も見た。それがなんであるのかは分からないから、未確認の飛行物体『unidentified flying object』、『UFO』だ。

UFOを見たと人に話しても、たいがいは信じてもらえない。「そういう物は精神的な~」とか、正気を疑われる事もある。
一度若い女性に話した事があった。すると、わたしも見た事があると言った。どんな形だったのか聞くと、葉巻型だったと言う。色は何色だったのかと聞くと、黒っぽい茶色のような色だったと言う。茶色の葉巻型って、それ葉巻じゃん。葉巻型って銀色だと聞いているけど、それって色的に自衛隊か米軍の大型輸送機が、ちょうど翼が見えない角度で飛んでいて、葉巻型っぽく見えただけなんじゃないの? と、他人の言っている事は信じられない。だから自分が言っている事を信じてもらえないのも無理はない。

自分が何度も目撃したUFOがどんな物だったのかと言うと、円盤型ではなく、銀色の球体だった。
大きさは、上空に浮かんでいると比較対象が無いのではっきりしない。山の稜線から昇る月は大きく見えるのに、真上にあると小さく見える現象だ。それでもなんとなく乗用車くらいの大きさに感じた。もし仮に内部に人がいるとしても、せいぜい2人しか乗れなさそうな大きさだ。
奥多摩かどこかで撮影されたとされる動画に映っていた、球形のUFOとそっくりだった。

UFOを見たのはすべて明るい昼間の事だ。最初に目撃したのは、細い川が流れる谷とも呼べない浅い谷の、川と平行に下っている坂道を車で走っていた時だ。少し遠くの谷の上には多くの高い木が生えており、民家もある。その木と民家の少し上空にキラリと光る球体が見えた。
あの玉はなんだろう? よく通る道だけど、あんな玉なんて見た事がない。鯉のぼりを立てるポールの先端に付いている、球形の飾りに似ているからそれかもしれない。季節外れだけど、どこかの家庭がポールだけ先に立てたのかな? と思った。
それ以降その道を何度も通ったが、あの玉を見たのはあの時の一度きりだけ。とても不思議だった。

二度目の目撃は、それからしばらく経ったある日、混雑した国道を車で走っていた時だ。右手に中規模なスーパーマーケットのような店があり、なにげなくその店の上空を見上げた時だ。その店の上空、そんなに高くはない位置に銀色の球体が浮いている。
計4回の目撃の内、この時が一番大きくはっきりとUFOの外観の確認ができた。
見た瞬間に「ウソくせーーっ!」って思った。球体の細部まで見えるのだが、その表面にいくつもの細かいスジが見えて、これじゃまるっきり『スターウオーズ』に出て来る『デススター』そのものじゃないかっ! と。
もしどこかの国がこの球体を造ったのだとすれば、絶対にコードネームは『デススター』だろ。

すると球体が上下を中心としてゆっくりと、下から見ると時計回りに回転を始めた。そして地球で言うと赤道の位置にあたる部分がこちらに向いて来て、そこの一部分が強烈に輝きだした。この球体自身が光を発していると言うよりも、真夏に遠くの建物の窓ガラスに太陽の光が反射して、強烈に眩しく光っているような感じだ。この球体の一部が鏡状になっているのかもしれない。『デススター』だと惑星破壊用の『スーパーレーザー』っぽいような感じ。位置はちょっと違うけど。
まったくウソくさい物体だよな。

もっとその銀色の球体を見ていたいけれど、混雑した路上で運転中ではそうもいかない。事故ってしまう。バックミラーで球体をチラチラと見ながら駐車スペースを探すが、左側にはそんな場所はまったく無い。あの店に戻りたいけれどUターンも出来そうにない。そんな事をしている内にミラーからUFOが消えて、見えなくなってしまった。どこかに飛んで行ってしまったのか、物陰に隠れてしまったのか……。

あの不思議な銀色の球体を、もっとじっくりと観察したかったなー、残念だったなーと思いながら運転していると、またもウソくさい出来事が起きた。
道路に面したフェンスに手作りっぽいチラシが貼ってあった。初めて見るチラシだ。
そこは交差点付近で信号機と横断歩道があり、車の速度が落ちる場所だ。それほど多くの文字が書かれているわけではないし字も大きいので、なんとか読み取れた。
このチラシは車道側に向けられて貼られていたから、運転中のドライバーでも読み取れるように、貼る場所やチラシ内容などが良く考えられて貼られていたように思う。ベテランの人物の仕事だな。

そのチラシの内容だが、それはUFOに関する講演会のようなものの、参加者を募集するチラシだった。
むちゃくちゃ胡散臭い。もしかすると、何かの新興宗教の勧誘みたいなものなのかもしれない。でもついさっきUFOを見たばかりだし、すごく気にはなる。とっても気になる。
一瞬参加してみようかとも思ったけれど、やっぱりどう考えても怪しい気がする。参加して無理やり何かの団体に所属させられてはかなわない。ま、やめておこう。
しかし、このタイミングってどうなん? さっき見たUFOとこの怪しげな団体とは関係があるのか?
まさかこの団体がさっきのUFOを飛ばしてた? だとしたら、『デススター』そっくりのパクリデザインにも納得がいくような気がする。いかにも宇宙から来た物体に見えなくもない。細部までよく出来ていて造りは良かったが、どのSF映画に出しても見劣りしない、現代的なSFデザインってのがウソくさい。実際に宇宙を飛ぶUFOがあるとしたら、最近のSF映画に出て来る宇宙船みたいに、表面に細かいパーツがたくさん付いたような、かっこいいデザインじゃないんじゃないかという気がする。
気はするけれど、空気抵抗のない宇宙空間であれば、どんなにデコボコしたデザインでも良いわけだし、修理やメンテナンスもパーツが外側に付いていたほうがやり易いのか? 案外理にかなっているのか? ん~、わからんっ。
無いとは思うけれど、外宇宙航行用の宇宙船を目撃するなり手に入れるなりした誰かが、映画関係者にこんなデザインだったよーと教えた可能性も?

残りの二回は同じ場所で見た。その頃とある事に凝っていたので、毎週の休みには大きな河の河原にいた。朝から晩までいた。
途中ヒマなので、風景を見たり空を見上げたりしていた。するとまたしても頭上にUFOが現れて、わりと低空をスーっと飛んで行く。
時速は60キロくらいに見えた。その日は強風が吹いていたので、その風に吹き飛ばされているようにも見える。UFOはよくジグザグに飛行すると言われているけれど、その時は一直線で、本当に風に運ばれているように見えた。だとすると風船っぽい物体なのかもしれない。どこぞの国の観測気球とか、日本でも昔使っていた風船爆弾の実験用の風船だとか。
そのスーっと飛んで行った球体は、はるか遠くの山並みの上空で静止してピカピカ光っている。いつまでも光っている。ずーーーっと光っている。そんなにいつまでも見てられないよー。で、見るのをやめた。

次の週も河原に行った。そしたらまた上空にUFOがいる。今度はかなりの上空にいる。そして上空のその辺りの狭い範囲をフラフラと漂っている。いつまでも漂っている。ずーーーっと漂っている。そんなにいつまでも見てられないよー。で、見るのをやめた。

そんなに毎週現れるのなら、写真を撮っておこう。口で話すだけでは誰も信じてはくれない。証拠が必要だ。それで次の週にはカメラ持参で河原に行った。今ならスマホで簡単に動画が撮れるが、当時は携帯を持っていなかった。
UFOが現れたらすぐに写真が撮れるようにと準備していたけれど、結局UFOは現れず、今日に至るまで見てはいない。
写真に撮ってやるぞという邪心をUFOに感知され、二度と自分の前には現れてくれないのかもしれない。だとすると、心を読めるテレパシー能力を持つ生物が乗り込んでいるか、UFO自体が生物的な何か、または霊的な何かって事になってしまうが。

昔は各局でUFO番組をよくやっていた。毎週通っていた河原は、UFOの目撃多発地点だと言われていた地区に近い。そこの住民がビデオに収めたUFO映像も放送で流された。やはり銀色の球体だった。
でもちょっと不審な点があった。放送局Aと放送局Bでは、目撃多発地点が違うのだ。違うとは言っても、それほどとんでもなく離れた地点ではないのだが。
でもその謎は解けた。毎週通っていた河原は、目撃多発地点AとBとを結ぶ線上に位置していた。あのスーっと飛んで行ったUFOは、A地点からB地点に向かって飛んでいた。だからどちらも目撃多発地点で正解なのだ。


ある時、自分と知人とその友人とで一台の車に乗っていた事があった。二人にUFO見た事ある? って聞いたら、二人共見た事があるって答えた。どんなUFOなのかと聞くと、銀色の球体だったって言う。車内の全員が同じUFO、もしくは同型機を見た事になる。
その二人は大体同じ地域に住んでいると思うのだが、自分の地域は二人から百数十キロ離れている。それでも同じUFOを見るんだ。UFOにとっては百数十キロなんて距離は、ちょっと飛べばすぐに行ける距離かもしれないけれど。
どちらかは、山の頂上から目撃したとか言っていた。学校行事で登山をしている時に、クラス全員で見たとか言っていたような気がする。

自分でUFOを目撃する前後の頃は、屋外に出るたびに昼夜問わず必ず空を見上げていた。もちろんUFOを目撃したいからだ。目撃多発地域に近いはずなんだが、一度も見た事がないってくやしいじゃん。
夜に空を見上げると、点滅している光をよく見る。点滅しているのは旅客機とかの普通の飛行機だからUFOではない。
一度だけだが、点滅せずに移動している光を見た。おっと思ったが、その光はやがてスーっと消えた。ああ、人工衛星が光って見えただけだったんだ。でも珍しい物が見れて良かった。
流れ星もよく見た。流れている間に3回願い事を言うなんて無理。それでも一度面白い流れ星を見た。普通の流れ星はスっと流れるだけだが、その隕石はちょっと大きなサイズだったのか、ロケット花火そっくりの綺麗な火花の尾を引いていた。地表近くまで火花を散らしていたけれど、あれは燃え尽きてしまったのか、それとも多少なりとも地上に落下したのかが気になる。探しに行けるような場所ではないけれど。


以上ですが、別に信じてもらわなくても大丈夫です。自分が他の人のこのような文章を読んだとしても、嘘松乙! って思うか、かわいそうに、頭がちょっとアレな人なんだろうなーって思うから。



(昔作ったイメージ画像が出てきたので追加。店の上空に浮かぶ銀色の球体。こんな感じに見えました)

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み