2023/01/30 茨城で銅像になった犬『みんなのタロー』

文字数 2,650文字

1月18日放送分の『世界の何だコレ!?ミステリー』で、『茨城で銅像になった犬「みんなのタロー」』というのをやっていました。
茨城県石岡市ではこのタローという犬の話はとても有名で知らない人はいないし、銅像にもなっているし、タローの歌も何曲もあるのだとか。

タローの話は今までまったく知りませんでしたが、「忠犬ハチ公」にとてもよく似た話でした。世の中に同じような話が二つもあるなんてビックリです。
ハチ公の話と違う点は、少しミステリーじみている所でしょうか。その謎解き部分が興味深くてとても面白いです。

◇◇◇

1964年、幼い娘と暮らす学校の用務員だった男性の家に、首に針金が巻き付いて喰い込み、ケガをしている子犬が迷い込んで来たので保護して飼い始めた。
用務員の家は学校の敷地内にあったため、その犬は児童たちと仲良くなりタローと名付けられた。

しばらくするとタローは不思議な行動をするようになった。大雨の日も大雪の日も、午前8時半と午後3時半に毎日決まってどこかに出かけるようになる。
タローが向かった先は小学校から2㎞離れた石岡駅。その構内のベンチの横に座り、ただじっと行きかう人を見ていた。タローが何のためにそのような行動をしているのかと、多くの人が不思議がり、疑問に思っていた。

タローにはもう一つ謎の行動があった。午前中に駅から戻ると教室に入り込み、隅で子供たちをじっと見ていた。しばらくすると隣のクラスへと向かう。

そのようなタローの謎の行動はずっと続き、それから7年経った。用務員の娘は高校2年生になっていた。帰宅してみるとタローがいない。9日過ぎても戻ってこない。
娘は保健所に掴まっているのではと考え電話をかける。すると特徴のよく似た犬が収容されている事が分かった。しかも翌日には処分される事が決定していた。

なぜタローが保健所に収容されていたのか。
10日前に小学校で授業参観があった。訪れた母親は幼い娘を連れていた。その娘がタローの頭を撫でたところ、タローがその幼い娘に飛びついたらしい。そして母親が教師に猛抗議。
それがきっかけでタローは保健所送りとなった。

用務員だった父親は学校から指示されたその決定に従うしかなく、娘には事情を話せなかった。しかし保健所からタローを連れ帰った後で父親が学校に必死で頼み込み、行動を見守るという条件でまた飼えるようになった。

その後引っ越したがタローの駅通いは17年も続いた。タローは18歳。人間で言えばおよそ90歳。足腰も弱くなり、食事を摂る事も困難になっていた。それでもタローは毎日駅へと通い続けた。そして1981年7月20日の早朝、タローはこの世を去った。

結局タローは誰を待っていたのか分からなかった。しかしタローはみんなから愛されていた。
その事を取材で知った記者が新聞に記事を掲載した。それによってタローの謎の行動の理由が判明する。

その記事を書いた記者の元へ読者の女性から電話があり、「タローが待っていたのは、わたしかもしれません」と告げる。
女性に会いに行った記者がタローの写真を見せると、垂れた耳と表情から間違いないく昔自分が飼っていた愛犬『コロ』だと分かる。

その女性から45年の時を経て、昔何があったのかが語られた。
5歳の頃、一人で電車に乗って幼稚園に通っていた。送り迎えはコロの日課だった。
コロは電車の中まで一緒について来るが、頭をなでてやると帰る。それが二人のルールだった。

だがある日、予期せぬ事態が起きる。その日は行商の人達で電車内が一杯になっており、頭をなでたら帰るはずのコロは電車から降りられなくなっていた。そしてそのまま電車は出発してしまう。
電車内は見知らぬ人ばかり。周りの大人に助けを求める勇気が出ない。コロの切符は買っていないから、駅員に怒られるのではないかと怖かった。どうしたら良いのか分からない。不安で胸が一杯になる。

下車駅に着き、コロと一緒に電車を降りた。駅員に見つかりその犬は自分の犬かと尋ねられたが、怖くてつい首を横に振ってしまう。すると駅員はコロを抱き上げてどこかに連れて行ってしまった。
その時助けられなかった自分に後悔し、そのショックで寝込んでしまう。父親がコロを探しに行ったが結局見つけられなかった。


17年間もの間、ひたすら駅で少女を待ち続けたタローの物語を後世に伝えるために、2017年に石岡駅前にタローの銅像が建てられた。

◇◇◇

名乗り出た女性とタロー(コロ)はなんで再会できなかったんだろう? その後すぐに幼稚園を卒園して石岡駅には降りなくなったみたいだけれど、タローの駅通いも用務員さんに飼われてからすぐに始めたわけでもなかったのかな? 飼われるまではタイムラグがあり、野良犬生活で余裕がなかったとか、飼われた最初は放し飼いではなく鎖でつながれていたとか、駅を見つけるのに手間取ったとか?


そのタローの話は『あした会えるさ―忠犬タローものがたり』という本にまとめられているようですが、現在ではどこのネット上のブックストアでも在庫切れのようです。
番組を見た人が一斉に買い求めたのか、2012年に出版された古い本だから元々在庫切れだったのか分かりませんけれど。石岡市の書店に在庫が有って奇跡的に買えたとの情報も見かけましたが。

このタローの物語を映画化した『石岡タロー』というタイトルの作品が作られたようです。すでに完成していて、あとは公開するのみの状態だそうです。
『何だコレ』の番組にも協力したけれど、映画の宣伝は一切ナシだと言われたみたいでTwitterでボヤいていました。

『石岡タロー』の予告編を見てみましたが、タローが駅通いしている場面で歩いている道を、昭和時代の旧車やバイクが何台も走っているのがすごいです。自走可能な古い車をよくこれだけ集められたものだと感心します。人々の服装や髪型も昭和レトロでしたし。

でもこの映画のタイトルの『石岡タロー』ってのはちょっとどうなんだろうって思ってしまいます。このタイトルだけを見たり聞いたりしただけでは、石岡タローって人の話なのかな? 誰なん? ってこの話を知らない普通の人は思ってしまいそうな気がします。

番組で使われていた『茨城で銅像になった犬「みんなのタロー」』はタイトルだけで内容が分かって興味を引かれるから、そのまんま拝借しても良さそうな気もします。せめてサブタイトルに『銅像になった犬』くらいは付けた方が良いのではないでしょうか。

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