2023/04/15 サムライに左利きはいないのか?

文字数 1,203文字

武士が二人、上役の屋敷の廊下を歩き、上役がいる部屋に入ろうとしている。その右手には、左腰から抜かれた(さや)に納めたままの刀がある。鞘の部分を握り、右手で持っているのだ。

なぜ右手に持っているのか。

左手に持っている場合、腰に差しているのと同じ事だからだ。右手で刀を素早く抜き放ち、即座に相手に斬り付けられるからだ。
だが、右手に持っているのなら、刀を抜くには鞘を左手に持ち替えねばならず、ワンテンポ遅れる。
短時間ではあるが、即座に斬り付けられるよりは、その動作を見て刀を避ける、逃げる、反撃するなどの対処の可能性が高まる。
座敷に入り、床に座る時にも刀は自身の右側に置く。これは相手に、自分には敵意がない事を示しているのだ。


というような事を、時代劇の一場面を観ている時に思った。だがしかし、そのサムライが左利きだったとしたらどうなのだ?
江戸時代にだって左利きの人間は存在していたはずだ。右手で刀を持っていたとしても、左利きならば、利き腕である左手で素早く相手を斬り倒す事はできたはずだ。しかし、左利きのサムライは時代劇では見た事がない。

江戸時代の日本は現在とは違い、左側通行だった。(神社に参拝する時には、道の中央は神様の通り道だから通らないのは基本だが、ほとんどの神社が左側通行となっているのは、江戸時代からの名残か?)
左側通行なのは、武士は左腰に刀を差しているために、右側通行だと道の中央側に刀が来るという事になる。すると武士がすれ違う時に、二人の刀の鞘同士がぶつかる可能性が高まる。
刀の鞘がぶつかると「無礼者っ!」と、争いが起こり、斬り合いに発展する事もあったと聞いた。
だが左側通行ならば、その可能性は低減する。という事は、右腰に刀を差していた武士はいなかったのだろう。
しかし左利きの武士だっていたはずだが?

そこで調べてみた。
はっきりとは確認できなくとも、左利きだったのではないのかと推測されている歴史上の人物は数人いたようだ。
しかし、やはり武士は基本的に右利きである。左利きであっても、武士の家に生まれたからには、強制的に右利きに矯正されたようだ。時代劇で右腰に刀を差している人物を見かけないのは、そのためだった。

左利きを右利きに矯正されたのならば、左手も使えそうではある。敵を油断させておいて、左手で攻撃する事も可能だったのかもしれない。武士道精神的にはどうなのか分からないが。

二刀流なら有利かもしれない。刀を片手で使うと斬れないという説もあるが、刀剣好きのふなっしーは、体の構造上片手でしか刀を振れないが、見事に対象物を切り裂いている。刀は叩きつけるのではなく、引いて斬る。片手でもやれば出来そうではある。
しかし、重い刀を片手で操作するには、相当な腕力が必要であると思われるし、微妙なコントロールも難しそうだ。
二刀流は剣道の試合でも使って良い事になっているらしいが、強い選手はいないらしい。

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