2022/04/15 カエルげこげこ

文字数 1,380文字

毎年春になると、自宅の庭からカエルの鳴き声が聞こえて来る。
春の暖かさに誘われて、冬眠から目覚めて鳴きだすカエル。もう何十年もの昔から、必ず毎年ゲコゲコと陽気に鳴く。

でもこれが不思議なんだよな。自宅の周りには、田んぼはおろか畑すら無い。池や沼などの水が溜まっている場所も存在しない。
それでも毎年必ず最低一匹のカエルが自宅の庭で鳴いている。今年は二匹分の鳴き声が聞こえて来る。
カエルが鳴くのはメスへのアピールだと思うんだけど、この近所にメスって果たしているのだろうか。近くには卵を産めるような水場もないんだけれど、このカエルはずっと独身なのかな?
鳴くのは縄張りを主張しているのかも知れない。そうだとすると今年は二匹鳴いているから、そのうちに一匹追い出されるのかもね。

何十年もの昔から鳴いている一匹のカエル。同一個体だとは到底思えない。カエルの寿命ってそんなに長くはないだろう。
カエルの寿命が気になったので今調べてみた。庭にいるのはちっちゃなアマガエルだ。寿命は5年から7年だとの事。
確実に代替わりしていると思われるのだが、一体どこからやって来るのかな。
考えられるとすれば、道を挟んだ向こう側に流れている、コンクリートで固められた四角く狭い側溝だ。幅は50センチ有るか無いかで、水深は降雨時以外は多くて10センチ程度。小学生ならひょいっとまたげるほどの幅。実際は向こう側には民家の塀などがあって、またぐ事はできないけれど。
その側溝に沿ってどこかの遥か上流から、はるばる泳いで来ているんじゃないかな。

自宅にいるカエルの声しか聞こえて来ないけれど、近所の家にも住み着いているのだろうか?
ひょっとしてだけど、自分の部屋の明かりはけっこう夜遅くまで点けっぱなしになっている。ご近所さんはわりと早めな消灯時間。
カエルのエサは昆虫。昆虫は明かりに集まる。だからエサが豊富でこの家は居心地がいいのかもしれない。
玄関脇の石の上に、子ガエルを背負ったカエルの置物が置いてあるけど、その置物はそこそこ古いから、魂が宿ってつくも神と化している可能性も無くは無い? そのカエルの神に引き寄せられて来るなんて可能性は……ない……よね?
あ、それともその神様が実体化しているのか?

たまにだけど、自宅に住み着いた小さなそのカエルを見かける事がある。大体カエルの置物の周辺で見る。窓のガラスにべたっと貼り付いてお腹を見せてくれたりする。葉っぱの上に居る時は緑色だけど、コンクリートや石の上に居るとグレーになったり、壁に貼り付いている時はクリーム色になったりと、ちょっと見分けがつかなくなる。そんな光学迷彩的な擬態能力は凄いなといつも思う。

カエルが大っ嫌いって友人がいるけどなんでだろ。ウシガエルは実際に見た事はないし、トノサマガエルは理科の解剖実験くらいでしか見なかったけど、よく見るアマガエルはカワイイのに。大きなおめめがクリクリとしてピョコピョコ跳ねる姿も愛らしい。
その友人はトイレの和式の大に入っている時、そこに突然カエルが現れて長時間フリーズしたまま動けなくなり、やっとの事でトイレ内の引き出しか何かに追い込んで助かったと言っていた。その時にはすでにお尻の大はガビガビに固まっていたとか。
後日その引き出しを恐る恐るそっと開けてみたら、そこにはミイラと化したカエルの姿があったらしい。

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