2022/06/24 途切れた道路に行ってみたら、野生の子ウサギを見た話

文字数 1,425文字

むか~しむかしの事ですが、小っちゃくってかわいらし~い野生の子ウサギを見た事があります。
とある大きな河に沿って道路があるのですが、その対岸にも道路があります。でもその対岸の道路は所々途切れています。なぜかと言うとその河の下流に昔大きなダムが出来たために、対岸の道路は水没してしまったからです。
ダムを造る計画が持ち上がった時に道路が水没してしまうという事が発覚して、その対岸に新しい道路を作ったんだろうと思います。

その途切れてしまった道路って今はいったいどんな感じになっているのだろう、と興味が湧いたのでその当時バイクで走ってみる事にしました。人家が無いような場所に作られている大昔の道路は、とても狭くてうねうねとしています。その道を通る人はとても少ないと思われます。しかし、道路に穴が空いているとか亀裂が入っているとか、土砂が崩れているとかもなく、管理はちゃんとされているようです。道幅が狭いために、車同士の避け合いは大変でしょうけれど。

それで道路が途切れた部分は迂回しながらダム付近まで走ったら、そこに今では使われていない橋がありました。その橋はわりと幅があって大きな、と言ってもそれほどじゃないですけれど、幅が5メートルくらい、長さが10メートルほどぐらいだったと思います。
一応通行できないようにはなっていますが、歩いて近くまでは見に行けます。土台は鉄骨なんですが、その上に敷き詰められているのはぶ厚い木の板でした。その板が朽ちているのかなんなのか、所々に穴が空いていました。この上を渡ったら危なそうだなーとは思ったんですが、好奇心から足で板の強度を確かめてみました。わりとしっかりとしている感じ。となると渡ってみたくなります。

通行止めにはなっていましたけれど、別に通行したからといって機銃掃射を受けるわけでもなし、逮捕もされないだろうと(されるのか?)自己責任で一歩一歩足で強度を確かめながら渡って行きます。途中の何個かの大穴から下を覗くとかなりのスリル! まるでインディージョーンズなどのような秘境の冒険物みたい! ちょっと怖いけど、たーのしい~~!!
この橋は大きな河に架かっているいるわけではなく、その河に流れ込む支流に架かっている橋です。渡り切ってもその先の道路はすでにありません。

渡り切ってしまえばあとは何もする事はナシ。戻る時も慎重に、と思った瞬間に目の端の短めの草むらに何か動く物が! 見るとそれはとても小さな野生の子ウサギでした。黒味がかった薄茶色の体色で、耳はそんなに長くありません。
「きゃー、なんかおっきな生き物がきたー。わー、きゃー、こわいーっ、食べないでーっ」
って言ってるような感じでその子ウサギは逃げようとしているみたいなんですけれど、こっちを見ながらその場でぴょんぴょん跳ねているだけ。その子ウサギの前方はかなりの傾斜の崖になっているため、その崖の壁に阻まれて前進できないんですよね。
「あれ? あれ? 跳びはねても前ににげらんないー、どうしてー」
でも子ウサギは気が付きます。
「あ、崖だったー、のぼらなくっちゃー」

というわけで子ウサギは崖を登って行きました。なんかめちゃくちゃその仕草が可愛らしかったので、思わず触ってみたいなーって気持ちが溢れかえりましたけれど、やっぱり野生動物には干渉しないほうが良いだろうと諦めました。急斜面を登って行くので、そのスピードなら追い付いて捕まえられそうだったんですけどね。

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