第468話茜の諭し

文字数 1,006文字

「要するにね」
茜は、諭すような話し方。
麗は「うん」と聞くしかない。


「麗ちゃんの自由な時間を奪って可哀想やけど」

「うん・・・」

「麗ちゃんに、もしものことがある、それが不安なんや」
「それがみんなの思い」
麗は「また、これか」と思うけれど、反発しづらい雰囲気。
「心配してくれてありがとう」と無難に返す。


「つきまとわれるようで、面倒かもしれん」
「でもな、麗ちゃん、心して聞いて欲しい」
麗は「うん」と返すのみ。


「麗ちゃんの身体は、麗ちゃんだけの、もんやない」
「重いかもしれん、でも、それが、みんなの期待と希望や」
「それを、よう考えてな」

麗は、「わかった」と答える以外に、何の反応も起こせない。
茜との話は、それで終わった。

麗は、茜との会話中、気になっていたスマホの着信メッセージを見る。
「全員から?・・・お礼」
「付き合いを重要視する京都人らしい」
「全員ではないか・・・来ていないのは奈々子だけ」
「結局、花園美幸さんに連れられて来た程度か」
「来なければ、蘭に叱られるのか」
「結局は、自分では何も決められない」

麗がリビングに戻ると、可奈子。
「お疲れ様でした、麗様」
麗も、可奈子に感謝。
「可奈子さんのおかげで楽しくできました、ありがとう」
可奈子は笑顔。
「いやいや、やりたかったんです、こちらこそ楽しくて、今はスッキリ」


「幼なじみとの再会も」
可奈子は、ますますうれしそうな顔。
「はい!みんな元気になりました」

「確かに、いろいろ遊んだよね、小さな頃は一緒に」

可奈子
「麗様と隆さんと、うちと桃香ちゃん、美里ちゃん、蘭ちゃん」
「虫取りをしたり、お相撲したり、花摘みをしたり」
「泥だらけ、汗だらけになって、香料店に」
麗も珍しく、目を細める。
「そんなことばかりだった」
可奈子
「そこで、みんなでお風呂、あれも楽しかった」

かえって麗が顔を赤らめると、可奈子が麗の腕を引く。
「麗様、お風呂の用意ができております」
「しっかり洗いますよ、今日も健康チェックします」

結局は、いつもと変わらない、抱き合っての混浴となった。

風呂も終わり、麗は可奈子と一緒に寝室に入った。
可奈子は、上気した顔のままで、麗に報告。
「もう一つ九条家から大切な連絡があります」
「次のお世話係さんは、音楽の美幸さん」

麗は、「はい」と頷く。
それ以上は、言わない。
しっかりと可奈子を抱く。

「麗様・・・」
「もう・・・うちは・・・危のうて」
可奈子の身体の力が、ストンと抜けている。
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