第7話麗はお食事の招待を、ようやく受ける。

文字数 653文字

ますます混乱の極みとなる沢田麗の肩を、高橋麻央がポンとたたく。
「まあ、麗君も社会勉強の一つとしてね」
「遠慮はいらない、予定もなければ」

三井芳香も、続く。
「ねえ、男の子でしょ?度胸決めなさい」
「それとも私たちが怖い?」

麗は、ここであきらめた。
三井嬢はともかく、源氏物語の権威、日向先生がわざわざ自分のために来る。
それと、受講している源氏物語講義の講師のメンツもある。
そして、再び頭を下げた。
「わかりました、ふつつかではありますが、ご相伴させていただきます」

高橋麻央が、ほっとした顔。
全員にソファに座るように促す。
そして、司会も高橋麻央がするようだ。

「今日は、改めて話を整理しますが、麗君の源氏物語夕顔の現代語訳とその解釈に、まず私が興味を持ったことが原点」
「そして、それを日向先生にお見せしたところ、ありがたいことに日向先生も、麗君に関心を持っていただいた」
「そのうえ、一旦ゆっくりお話をしたいとまでのこと」
「その先生のご意志もあるので、麗君には突然ではあったけれど、この古典研究室に出向いていただいた」

三井芳香は、麗に補足説明。
「うん、私も去年、そういうことがあったの、で、ずっと指導をいただいているの」

ようやく話が見えてきた麗は、「はぁ・・・」と頷く。

柔らかな笑顔のまま、三井芳香と麗を見ていた日向先生が口を開いた。

「とにかく、珍しく興味を持つのは、ご縁があるということ」
「そのご縁は、何かのお導きなのです」
「このご縁を活かそうではありませんか」

麗は、またしても、「はあ・・・」と頷くばかりになっている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み