第101話佐保と房事の後で

文字数 1,062文字

「麗君、ごちそうさま・・・ありがとう、美味しかった」
佐保は、ベッドの上で、まだ余韻に浸っている。

麗は、佐保の耳たぶを、少しなめた。

「意地悪・・・気が遠くなる」
佐保の身体が、硬直する。


「お返しです、佐保さん」
佐保は、麗の胸に顔を乗せた。
「本当に助かった、何とか取材がこなせそう」
麗は佐保の髪をなでた。
「いえ、お礼は、取材が終わってからで」
麗としては、やはり京都の叔父の対応も気になる。
関連店を紹介してもらうのも、一時しのぎの策でしかないのだから。

佐保は、しばらく麗を愛撫していたけれど、ようやくベッドから出た。
そして恥ずかしそうな顔。
「胸は麻央より大きいけれど、お尻は最近・・・」
「だから、あまり見ないで」

麗は、今さらと思うので、目は閉じない。
「素敵です、佐保さん、見とれます」
佐保は顔を赤くする。
「もーー!お姉さんをからかわないの」
「今度は、無理やり襲うよ」

麗は、さっきも無理やりと思うけれど、口には出さない。

夕食は、佐保がペペロンチーノのパスタを作り、麗が珈琲を淹れた。
佐保
「少し辛い?」

「いえ、これくらいが、好きです」
佐保
「イタリア料理が多いかなあ」

「海の幸、山の幸で、日本料理にも通じるかと」
佐保は笑う。
「ナイスフォロー、定番だけど」
麗は、素直に答えた。
「ローマとかイタリアにも興味がありますので」
佐保は目を丸くした。
「へえ・・・麗君がローマねえ・・・イメージがない」
麗は困った。
「そう・・・ですか?」
佐保は、意味深な笑い。
「だって、麗君、光り輝くローマって感じがないもの」
「本当にしっとり系の和風の貴公子、業平様とか光源氏の雰囲気」
「一度触れると・・・抱かれると・・・女はコロリと」
麗は、下を向いた。
「実に、よくわかりません」
佐保は、続けた。
「それは、抱かれた女でしか、わからない」
「この人なら、抱かれ続けたいなあって」
「その時だけでも、天国を感じる」
麗は、答えようがないので、黙っている。

夕食を終え、夜の8時に、佐保は帰って行った。
何度もお礼を言って、最後に麗を強く抱きしめた。
「泊まりに来て・・・麻央はどうでもいい」
「一晩中、抱いて」
麗が再び耳をしゃぶると、「意地悪・・・」と泣いた。


佐保が帰った後、麗はしばらく放心状態。
それでも、これからのことを、考えなければならない。
「九条様のこと」
「もしかすると、従兄の隆さんの葬儀」
「そんな状態で取材も何もないだろう」
「麻央先生と佐保さん・・・どうしよう」
「万葉集も興味があるし・・・」
「似合わないと言われたローマも」

麗がそこまで考えていると、スマホが鳴り始めた。
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