第367話京都九条家では様々な計画が進む。

文字数 983文字

京都九条屋敷のリビングでは、大旦那、五月、茜、三条執事長が向かい合っている。
大旦那
「恵理と結の住んでおった家を取り壊す」
「その中の家財は、一旦別の倉庫に」
五月
「不動産に話して倉庫に入れます」
大旦那
「釈放後の結は、恵理の実家に」
「すでに話をつけた、きっちりとな」
「犯罪者とは住めんと」

「麗ちゃんには?」
大旦那
「あまり関わらんほうがええやろ」
「わしの決定で構わん」
三条執事長
「恵理がイタリアのフィレンツェで相当具合が悪いとか」
大旦那
「ああ、実家に任せる」
「九条では葬式は出さん、もともと籍を抜いたのは恵理や」
五月
「跡地は再利用を?」
大旦那
「その後は、何か建てても構わん」
「それは麗に任せる」
三条執事長
「麗様なら、よう考えてくださります」

「またさらに、麗ちゃんが忙しゅうなるなあ」
大旦那
「葉子を秘書にして、手助けさせんとなあ」
「今の状態では倒れる」
「あの食の細さでは、京の夏は乗り切れん」
五月
「皆で協力して、今後に役立つものを」

「麗ちゃんのことや、考えるやろな、懸命に」
大旦那
「それもあるけど、もう少しあちこちに顔見せをせんとなあ」
五月
「祇園のあちこちの店も、早ういらして欲しいとか」

「また、そこで、難しい顔とか、食が細いで、心配になります」
三条執事長
「時折、少しお笑いになることがありまして」
「そのお顔が、実に愛らしいと」
「お世話係たちが、それを狙って、懸命です」
大旦那が苦し気な顔。
「麗は、苦労して育って来て、どうしても自分を守る」
「だから、壁を作る」
「わしの責任や、元々は」
五月
「それを、何とかしましょう」
「麗ちゃんの笑顔は、九条の笑顔、そして京の笑顔につながります」

「でも、どう考えても、麗ちゃんはマジに忙しい」
「笑う余裕があるかどうか、目の前のことで、精一杯やと思います」
三条執事長
「それもこれも、麗様は真面目で几帳面」
「考えられていること、仕事もレベルが違います」
「あの賢さと文の美しさは、とても他人が手伝えるレベルを超えています」
大旦那
「いずれにせよ、一つ一つや」
「土曜に戻って着たら、わしから話す」
五月
「葉子にも、それとなく伝えておきます」
大旦那は、少し考えた、
「葉子が都内に行く時のサブは・・・」
「まあ、手堅さからすると、経理の佳子か」

「妥当と思います、うちからも麗ちゃんに伝えます」
九条屋敷では、麗がいない中、そんな話が、着々と進んでいる。
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