第373話細かな実務はお世話係に

文字数 1,192文字

葵との和風喫茶店デートを終えた麗は、高輪の家に帰宅。
夕食には、まだ時間があるので、自室にて石仏保存調査について、考えている。

「調査開始は、七月後半から」
「特別の会員制投稿サイトで、投稿の受付と管理」
「写真、場所、由来はわかる範囲で、投稿者名は必須」
「担当地区は、日曜日の会議で詰める」
「協力者へのTシャツ、飴、謝礼も要検討」
「寺社関係、行政、自治会との折衝と記録」
「そうなると、取りまとめの補助が欲しい」
「やはり、関係筋のお嬢様たちには頼みづらい」
「お世話係かな、頼みやすいのは」

麗がそんなことを考え、メモしていると、涼香がお茶を持ち、入って来た。
そして、机の上に目を向ける。
涼香
「あら、石仏調査をお考えに?」

麗はメモを見られては仕方がない。
「ほぼ最初の正式会議なので、少し考えていました」

涼香は、麗に頭を下げ、机の上のメモを手に取り、少し考える。
「これ・・・お屋敷の葉子さんに任せたらいかがでしょうか」
「葉子さん、書記役ですし、事務仕事は完璧にこなされます」
「その補助は佳子さんも正確な仕事、パソコンも詳しくて」
「裁縫の可奈子さんも、テキパキと事務をこなすタイプ」

麗は、涼香の提案を聞き、楽なような申し訳ないような気持ち。
「それは、まとめておいていただくと楽にはなります」
「しかし、皆さん、お屋敷でのお仕事があります」

涼香は笑って首を横に振る。
「いや、そんな心配はいりません」
「皆、やりたくて仕方ないんです」
「麗様からのお声掛けを、待ち焦がれとります」
「麗様は、方向性を示していただいて、私たちの仕事をチェックしていただければ」
「それでどうでしょうか」

麗は、そう言われてしまうと、なかなか難しい顔ができない。
確かに京都に戻れば、様々な予定が当然のようにある。
細かな実務は、信頼のおける人に頼まないと、大きなミスにつながる場合がある。
「わかりました」
「ある程度の方向性は考えてあるので、それについて、後で葉子さんと話をします」

涼香は安心したような顔。
「麗様、私たちも、励みになります」
「是非、そのように」

その後は、夕食。
それを済ませて、麗は葉子にPC会議システムにて連絡を取る。


「大変、面倒とは思いますが、ある程度の考えがまとまりましたので」
「A4一枚で送ります、あくまでも方向性になります」
「それを会議資料にしていただけないでしょうか」

葉子は、落ちついた声。
「はい、確かに承りました」
「早速、取りかからせていただきます」
「お任せください」

麗が葉子との話を終えると、涼香。
「さて、お楽しみです」

麗は、まだ半信半疑。
葉子は事務に長けているとは聞いているけれど、どこまでのものか、よくわからない。
それに、個人秘書も頼もうかと思っているので、負担が増えすぎないかと、それも不安。

しかし、涼香は麗を風呂に誘う。
「ご心配なさらず、お疲れを癒しましょう」
その顔は明るく、何の不安も感じていない。
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