第454話九条ビルレストランでの昼食

文字数 1,294文字

翌日、麗と葵は、午前中の講義を受け、九段下の財団事務所に向かう。

都営新宿線の中で、葵が麗にスマホを見ながら報告。
「二点ほど連絡がありました」
「お昼は、九条ビル2階のレストランにて準備されています」
「それから、奈々子さんと花園美幸さんは、今日から正式に出勤、既に仕事に就いておられます」

麗は、安堵。
「食事はともかく、奈々子さんと美幸さんの件は安心しました」

葵から補足説明。
「尚、昼食は、奈々子さん、美幸さん、高橋所長も一緒とのことです」
麗は、これは仕方ないなと思うので、特に言葉を出さない。

さて、九段下で降り、九条ビルまで歩くと、その正面入口に奈々子、花園美幸、高橋所長が並んで立っている。
高橋所長は、深くお辞儀。
「お待ちしておりました、さっそくお食事に」

麗は高橋所長に会釈、奈々子と花園美幸には軽く目を合わせ、全員で2階のレストランに向かう。

さて、2階のレストランに入ると、高級ホテルのような上品な雰囲気。
高橋所長が説明。
「日比谷の老舗ホテルを参考に、内装、設備を整えてございます」
「シェフも、そのホテルからです」
「100席程度で、ほぼ予約で満席が続いております」
「料理は、基本的にフレンチとなります」

麗は質問。
「利用客は、どのような構成に?」
高橋所長は、即答。
「場所柄、サラリーマン、大学関係者、政治家も利用されます」
「お昼には、女性客のグループも多く」

確かに麗が見る限り、高橋所長が説明したような客層で、ほぼ満席。

尚、麗たちは、一般客とは異なり、特別室に入っての食事となった。

高橋所長は笑顔。
「麗様の京都での素晴らしいご活躍、本当に感心しております」
麗はシンプルに返す。
「いえ、京の人のため、思ったことを伝えただけ」
「それを受け入れてくれた京の人々に感謝しています」
そして高橋所長に、感謝。
「奈々子さんと花園美幸さんの件も、ご苦労をいただいて」
高橋所長は、笑って首を横に振る。
「いえいえ、奈々子様は香料の碩学、花園美幸様もご立派な医者」
「素晴らしいスタッフで、今後がますます楽しみになります」
その高橋所長の言葉に、奈々子と花園美幸が、頭を少し下げる。

料理が運ばれて来た。
「小海老と蟹を添えたグリーンアスパラガスのパバロワ」
「野菜コンソメスープ」
「サーロインビーフのステーキ」

麗が食べ始めると、高橋所長はうれしそうな顔。
「はじめてここで、食べていただいて」
麗は、またシンプルに返す。
「一介の大学生で、なかなか日々食べられるようなものでなく」
花園美幸が麗に質問。
「普段は学食とか、大学付近のレストランとかでしょうか」
麗は、素直に答える。
「だいたいそうかな、昼休みは1時間ほど」
「昨日は学食で、実際天気がよければいいけれど、雨降りの場合は学食になるかな」
葵がニコニコと笑って実態報告。
「昨日の麗様はチャーシュー麺、私はチャーハン」
「それ以外は大学近所の蕎麦屋さん、カレー屋さん、喫茶店でのパスタとか」
高橋所長が目を細める。
「いやーーー・・・懐かしいですわ・・・学生時代・・・」
「気取らず、食べたいものを食べたいだけ食べる」

奈々子は、麗の受け答えや食べる姿に安心、そしてうれしくて仕方がない。
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