第463話麗を心配する九条家

文字数 1,082文字

京都九条屋敷では、高輪の家でのパーティーが話題となっている。

五月
「何でも麗ちゃんが、発案したとか」

「おそらく可奈子さんと蘭ちゃん、桃香ちゃん、美里ちゃんと麗ちゃんは、幼なじみ」
「せっかく可奈子さんが都内に行くのだから、パーティーを」
「どうせなら、近くに住む人全員を集めて、そんな感じやと聞いとります」
大旦那
「ええことや、みな九条家に深い縁がある」
「集まって仲ようするが一番や」

五月
「麗ちゃんも、少しずつ表情がやわらかく」

「最初の頃は、ガチガチやった」
「身体も細くて」

大旦那が辛そうな顔。
「その原因を作ったのは、わしや、わしが守れなんだ」
「麗は、ひと言も恨み言を言わんが」
「両親を殺され、その後も恵理と結に酷く苛められ」
「里子に出した先でも、宗雄の酷いことをされ続け」
「それが今でも・・・麗が可哀想で」
「よう耐えてくれて・・・頭が上がらん」

五月が大旦那の身体を支える。
「大旦那様、自分をお責めにならず」
「皆、意気地がなくて、うちも反省しとります」
「麗ちゃんを、支えましょう、何があっても」
「必ず思いに応えてくれる、賢くて、強くて、やさしい子です」

茜は、涙ぐむ。
「うちも、高輪に行きたい」
「はよう、麗ちゃんに逢いたい」
「土日だけやと、辛いわ」

大旦那は、三条執事長と、麗の秘書の葉子を呼んだ。
「三条、この屋敷でのお披露目の話は、進んどるか?」

三条執事長は笑顔。
「はい、お任せください」
「関係筋にしろ、寺社衆、街衆が期待しております」

茜が、少し不安。
「麗ちゃんが、また人気者になる」
「忙しゅうなるかな、倒れんようにしないと」

五月
「とにかく、負担を掛け過ぎない程度に」

葉子は、面会希望者の一覧を全員に提示。
「今日時点の面会希望者様たちです」
「すでに、100人以上に」
「皆、名士と言われる方々」
「企業関係者、学者、寺社衆、政治家、街衆の方々」
「皆、面会を心待ちにしとります」

大旦那は腕を組む。
「これは、急がんとなあ」
五月
「それほど、人づてに、麗ちゃんの評判が高まっとるんです」
「石仏調査、時代和菓子、政治家への対応」
「麗様に言えば、何か期待できる、間違いを糾してくれる、そんな感じでしょうか」

「しかし・・・大変や・・・倒れんようにしないと」

葉子が、少し不安な顔。
「可奈子さんから連絡があって、少し顔色が悪い日があったとか」
「すぐに回復したとか、それはいいのですが」

大旦那は目を閉じた。
「麗は、決して自分から体調が悪いなんて言わん、そういう男や」
「だから、周りが、しっかり見てないと、万が一、危なくなることもあり得る」

大旦那の言葉で、集まった全員が、難しい顔になっている。
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