第465話高輪の家でのパーティー(2)

文字数 1,188文字

麗の言葉通り、料理を楽しみ、再会を喜び、将来が楽しみとなるパーティーになった。
和食をメインにしながら、様々な料理が並ぶ。

「湯豆腐」
「湯葉のグラタン」
「ちらし寿司」
「鯛飯」
「シラスご飯」
「畳イワシのクリームチーズ和え」
「足柄牛のステーキ」
「麻婆豆腐」
「フカヒレのスープ」
「スペイン風パエリャ」
「スペインバスク風魚の煮込みはマグロとピーマン、オリーブの実が入る」
「サルマーレはルーマニア料理、ロールキャベツとサワークリームを一緒に煮込んだもの」
「トルコ風ケバブ」
他にも日本や中国、多国籍のデザートが並ぶ。

麗の隣には、葵と花園美幸が座り、桃香と美里、蘭が適当に持って来ては、麗の前に置く。
麗は苦笑い。
「食べきれないよ、そんなに置いても」
ただ、どれも美味なので、いつも以上に食が進む。

香苗が解説する。
「今日のメニューで珍しいのは、スペインバスク風魚の煮込みと、ルーマニアのサルマーレでしょうか」
「どれも、庶民料理ですが、日本人にも合います」

花園美幸は、納得。
「両方とも、滋養強壮系ですね」
「これは毎日でも食べられます」
葵も目を丸くして食べる。
「バスクの煮込みも、まさかマグロをこんな風に、ピーマンの辛みが効いています、本当に美味しい」

桃香が全員を見回して、少しホロリ気味。
「こういうパーティーをずっとやりたくて」
「みんなで和気あいあいで、美味しいものを食べたいなって」

麗は、やわらかな顔。
「時折、やればいいさ」
「テーマを決めて、美食研究会とか」
「和食は和食として、しっかり伝統や技術、心を守りながら」
「見知らぬ国の見知らぬ料理を食べてみるのも、世界が広がる」

香苗の亭主で料亭の花板の道夫が、うれしそうな顔。
「今日は、本当に料理をしていて楽しくて」
「麗様には感謝します」


「いえ、こちらこそ」
「素晴らしい料理技術感謝しています」
「本当に美味しくて、よく工夫されています」

料理会は、和気あいあいと終わり、余興の時間となった。
麗がピアノに向かうと蘭、桃香、美里が、三人並ぶ。
歌われた曲は、「星に願いを」「やさしく歌って」「カントリーロード」「君を乗せて」など。
結局、誰も知っている曲なので、全員が唱和する。

香苗は、ピアノを弾き続ける麗を見て思った。
「麗ちゃんが声をかけると、こうなる」
「人を集める天性の何かがある」
「あるいは人の心を刺激して、引き付ける」
「あの包丁を持って追いかけたような三井さんもいたけれど」

そんなことを思い出した時点で、不安を感じる。
「都内でも、どうしても護衛が必要、万が一・・・」
「麗ちゃんが嫌がっても、二度とあんなリスクは感じたくない」
「麗ちゃんに何かあれば、みんな、どれほど困るのか、計り知れないのだから」

香苗は、そこまで思い、瞳と奈々子を手招き。
ただ、瞳はすぐに気がついて香苗の前に来たけれど、奈々子は気がつかない。
娘のような年齢の女子とともに、歌い続けている。
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