第467話高輪の家直近に、九条家関係の宿舎マンションを

文字数 945文字

さて、麗自身も今夜のパーティーについて、全員が帰った後、大旦那に報告。
「近隣の人が全て来てくれて、楽しいパーティーになりました」
「様々な御心配、ありがとうございます」
おそらく、今夜のパーティー参加者全員に、都内の自分の活動に対して、京都九条家から協力すべしとの厳命がなされていると思うので、お礼を欠かすことはできない。

大旦那は、ほがらかな声。
「ああ、ようやった」
「わしらは何もしとらんよ、全て麗の人徳や」
「それだけ、麗を慕う人が多い、ってことや」
「香苗のところにも、麗を褒める話が、ひっきりなしや」
「ありがとな、麗、みんなを力づけてくれて」
「麗は京都でも大きな柱やけど、東京では大黒柱や」

麗は、あまり褒められても、実感がない。
「ただ、ありがとうございます」と返すのみ。

大旦那は、話を変えた。
「いろいろと考えての話や」
「高輪に、もう少し人を集めようと思うんや」

麗は意味不明なので「具体的には?」と聞き返す。

大旦那
「不動産の麻友に調べさせた」
「麗が今住んどる家のすぐ近くに、歩いて2,3分や、まだ新築のマンションがある」
「そこの空き室も多い、それを買い取る」
「久我山の小さなアパートに住んどる花園美幸、葵、奈々子と蘭を引っ越しさせる」

麗は、少し大きな話なので、どうにも判断ができない。
「わかりました」と、了承するのみ。

大旦那
「関係筋の集団宿舎みたいなもんや」
「不動産でも調べたけれど、今後の値上がり予測が強いので、今のうちにとな」

麗も、そこまで言われては仕方がない。
「いろいろ、お気遣い、ありがとうございます」と、電話を終えた。

その電話を終えると、今度は茜から麗に電話。
「麗ちゃん、パーティー大成功おめでとう」
「うちも参加したかったなあ」

そして、話題を変えた。
「大旦那からも話あったと思うけれど、高輪の家の近くのマンションの話」

麗は「うん」と返す。


「花園美幸さんと奈々子さんは、地下鉄で乗り換えなしで九段下に」
「蘭ちゃんは、南北線で四谷乗り換え、JRで中野かな」
「それで、葵さんは、麗ちゃんと登下校」

麗は、ようやく「あっ!」と気がついた。
そして、「これで唯一の一人だけの時間が失われた」と気がつく。
しかし、麗にはがっかりしている時間はない。

「それでな、麗ちゃん」
茜は、まだ何か話があるらしい。
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