第284話大旦那と五月の麗の嫁談義

文字数 1,135文字

麗と茜が隆の見舞いに出かけている時間、大旦那と五月はリビングで話をしている。

大旦那
「麗が京に戻って来て、ほんま、変わったな」
「恵理と結が消えたのも大きいけど」
五月は大きく頷く。
「九条家が変われば、京も変わる」
「ようやく本来の九条家と京に」
「麗ちゃんは、ほんま、すごいです」
大旦那
「土性骨が座っとる」
「いきなり、どんな話を振っても、きちっと対応できる」
「あれほど話が上手とは知らんかった」
五月
「聴く人の心を打つ、そんな話ぶりで」
「よく考えられていて、感心です」
大旦那
「石仏の話も上手やった」
「あれなら誰も反対できん」
五月は、少々不安な顔。
「ただ、京の夏は暑い」
「麗ちゃんが頑張りすぎて、倒れるとか」
大旦那も、それには不安な顔。
「最初、連れてきた頃よりは、食べるようになった」
「でも、大して変わっとらんとも思う」
五月
「まだ、遠慮しているのでしょうか」
大旦那
「それはまだ・・・慎重な子やから」
「なかなか、さらけ出すまではいかん」

五月は、話題を変えた。
「大旦那様、関係筋の娘さんたちです」
「銀行の直美さん、学園の詩織さん、不動産の麻友さん、財団の葵さんですが」
大旦那は目を閉じた。
「ああ、麗の夏の調査に参加を申し出たとか」
五月
「その時の麗ちゃんとの様子をしっかり見定めようと思います」
「どの娘さんが、麗ちゃんにはいいのか、九条家にはいいのか」

大旦那は目を開いて、五月を見た。
「五月はどう感じた?今のところ」

五月は、少し考えて答えた。
「そうですねえ・・・銀行の直美さん」
「控え目ですが、しっかりとしていて、麗ちゃんを支えるには申し分ない」
「学園の詩織さんは、明るくて強くて積極的」
「麗ちゃんにはどうかなあ・・・あまり強引な人は好まないかも」
「不動産の麻友さんは、すごく頭が切れます」
「麗ちゃんだけではなく、奈々子と蘭ちゃんのことまで心配する気配りがある」
「私も好きなタイプです」
「財団の葵さんも、麗ちゃんを思う気持ちは強い」
「京都から麗ちゃんを東京までを追いかけて、同じ大学、同じ学部と言うのも、必死さの表れ、麗ちゃんが財団で仕事をするうえでもパートナーには最適」

大旦那は、また目を閉じた。
「まあ、どの子でも、麗を支えるとは思うけど」
「男が生まれるかどうかやな」

五月は顔を下に向けた。
「うちは・・・茜だけで・・・」
「ただ、うちも、そもそもお世話係で」

大旦那は、五月の手を握って慰める。
「すまんかったな、残念や、五月」
「これも・・・縁のようなもの」
「これからは、麗を息子にして」

五月は、顔をあげた。
少し涙ぐんでいる。
「ありがとうございます、麗ちゃんが息子なんて、ほんま、うれしいです」
「うちも、息子の麗ちゃんとデートしたくなりました」

大旦那は、その五月の肩を、しっかりと抱いている。
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