第230話香苗は桃香を諭す 麗は直美の笑顔に応えたい。

文字数 1,230文字

香苗は桃香に厳しめの顔。
「麗様は、やはり相当なやり手や」
「九条家に入った途端、人が面白いように動き出した」
「今は東京におるけど、京都では待ち焦がれられている状態や」
桃香も、素直に頷く。
「それは、茜さんからも聞いた」
「悔しいけど、美里も急にやる気を出して」
香苗
「桃香も、料理の勉強、実務も文化も身につけんと、呆れられるよ」
「九条の名にふさわしくないとか、思われても困るやろ?」
桃香は、困った顔。
「うちは・・・勉強が苦手や、人あしらいは好きやけど」
「頭を使う前に、身体で動きたい」
香苗
「あほか、その頭を鍛えないと、見る世界も狭い」
「桃香のためや、このままやったら、無視されて終わりや」
桃香は、その顔を押さえた。
「嫌や・・・そんなん」
「麗ちゃんが好きやもの・・・何があっても、好きやもの」
香苗
「だったら、麗様のお役に立てるようにならんと・・・」
桃香は、しばらく泣いて、ようやく返事。
「やります、教えてください」と頭を下げる。
香苗は、そんな桃香を見て思った。
「まあ・・・瞬発力はあるけど・・・冷静さを欠くからなあ」
「麗ちゃんを長く射止めるのは無理や、せいぜい、たまのお遊び程度か」
「それさえ、桃香が押しかける程度やろ」


その麗を洗う直美は、いつもより増して、丁寧。
とにかく麗の肌に触れていたくて、仕方がない。
麗も、湯女を始めた頃とは違い、素直に直美に身体を洗わせている。
もはや、抵抗も何もない。

直美は、そんな麗が可愛らしく、愛おしい。
「もともと、きれいなお肌や」
「ますます、きれいに」
「少しだけ肉がついたかな、最初は呆れるほどやったけど」
麗を洗うほどに、直美は麗を欲しくなる。
「お役目果たせたかな、お役目なのが辛いけど」
「でも、来週は・・・また別の・・・それがまた辛い」
そう思うと、我慢が出来なかった。
全身を赤く染めて麗を求め、麗もしっかりと直美の求めに応えた。


風呂から出て、直美は、腰がふらつく。
なかなか、甘美な快感が消えない。
「麗様、はぁ・・・ほんま・・・」
自分で何を言っているのか、さっぱりわからないけれど、料理に取り掛かる。
「美味しいお肉が入りました、三田牛のステーキにします」
麗が、軽く頷くと、ますますうれしい。
そして、気合を入れて、ステーキを焼き始める。


麗は、ソファに座り、まだ脱力状態。
「こんな感じで、毎日風呂は、こうなるのだろうか」
「一人のほうが気楽でいいけれど」
「断るのも、難しい」
「それにしても・・・毎日激しくなるような気がする」

ステーキが焼ける香りが漂って来る。
麗は思った。
「こういう生活が続くと、一日一食では、持ちそうにない」
「最近は、三食食べているから、持っているのか」
「どれも美味しかった、すんなりと口に入った」
「相当に、技術も高い、さすが九条家」

「麗様、焼けました」
と、呼びに来た直美を見て、麗は考えた。
「この笑顔に応えたい」
「将来は、九条料理教室の先生に」
「直美さんが納得してくれたならば、になるけれど」
麗は直美の将来を、考え始めている。
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