第214話次のお世話係が経理の佳子に決定

文字数 1,250文字

麗にとって、会計の本は、面白かった。
「文学とも歴史とも、全く別の世界だ」
「難しいけれど、わかってくると、スッキリする」
「税効果会計?はぁ・・・わからないけれど・・・」
「法人税も勉強しないと」
「細かい解説が助かる」
「誰か専門の先生に習おうか」

そこまで思った時点で、九条家のお世話係の中で、経理を担当している佳子を思い出した。
「そうか、とりあえず、あの人に教わればいいのか」
「もう少し勉強をしてからでないと、質問も出来ないけれど」
「ある程度、独学をして、問題も解けるようにしてから」

そんな麗を見ている直美は、実に面白く感じる。
「何かに興味を持つと、目が輝いて来る」
「頭の中が、ぐるぐると回転している感じ」
「でも、それだからと言って、私への配慮を欠かさない」
「お風呂でも、しっかり私に反応してくれたし」

それでも、不安がある。
「麗様が会計に興味が出て来た以上、次のお世話係は佳子さんかな」
「彼女も美人やし・・・頭が切れる」
「今のうち、しっかりお世話しとかんと、忘れられてしまう」
「でも・・・はぁ・・・待ちきれん・・・身体も」
と、勉強を終えた麗がベッドに入ると、待ちかねたかのように直美もベッドに入る。
結局、直美自身の身体が、麗の身体を忘れられない状態になってしまっている。


さて、麗からの連絡を受けた茜は、大旦那、五月と相談をしている。

「何やら、九段下の高橋所長の表情から、何かを感じたらしくて」
「自ら神保町で会計の本を買って、読み始めたとか」

五月
「うーん・・・確かに、ここ最近、まともな収益はない」
「もともと、文化事業中心で、それほどの収益は期待せんけど」

大旦那は、面白そうな顔。
「ああ、ええやろ、そういう知識も必要や」
「高橋も何かを隠しとるか、麗に見抜かれたら慌てるやろ」
「財務データか、たまには見るのも面白い」

茜も大旦那の反応に安心する。
「無駄金を省く、それを、より有効な対象に振り向ける」
「経営者としては、当然と思います」
五月
「人件費は京都本店と差別はしとらん」
「それなのに、九段下が収益があがらないのは、無駄金を使っとるということ」
「一つ一つ見直すのも、時期かもしれん」
大旦那
「何かあれば、乗り込むかな、それも面白い」
「宮内庁にも用事があるしな」

茜は、大旦那と五月に目配せ、内線で佳子を呼んだ。
リビングに入って来た佳子に、大旦那が声をかけた。
「佳子、次のお世話係を頼む」
「それから、麗が会計に興味を持ち始めた」
「教えてやってくれ」

佳子は、途端に赤面。
「あ・・・はい・・・承りました」
「誠心誠意、務めさせていただきます」

大旦那がリビングから姿を消すと、五月が、佳子を笑う。
「佳子、赤面している場合やない」
「直美は、トロトロみたいや」

答えのしようがない佳子に茜。
「毎日、テレビ電話するんやけど、直美が日々、色っぽくなっとる」
「まあ、お肌も、こっちにいる時より、しっとりお肌に映る」
「おそらく麗ちゃんのフェロモン効果や」
「たっぷり味わうとよろし」

佳子は、またしても答えようがない。
懸命に胸を押さえている。
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