第417話京都に戻り打ち合わせ 麗はお世話係の可奈子に既視感

文字数 1,287文字

麗と葉子は京都駅で葵と花園美幸と別れ、三条執事長の出迎えを受け、黒ベンツに乗り込む。
三条執事長
「麗様、お疲れ様でございます、毎週この時間が一番安心します」
「東京に送り出す時は寂しゅうて」
麗は、そんな感情論には付き合わない。
「その後、竹田議員はどうですか?浜村秘書の件は耳に入りました」
三条執事長
「はい、東京から戻って来ております」
「周囲の議員さんからも袖にされて」
「ただ、京都でも出歩けません、街衆の目が厳しゅうて」

「まるで蟄居閉門ですね、哀れに思うけれど」
三条執事長
「いや、京都にロクな貢献もせんと、国会に出ても目立たん」
「どれだけ当選させても、政務官にも副大臣にもなれん、あれは無能ですわ」

そんな話をしていると、九条屋敷に到着。
お世話係と使用人全員の出迎えを受けて、大旦那たちが待つリビングに入る。

「ただいま戻りました」
大旦那は本当にうれしそうな顔。
「ああ、待ちわびたわ、安心した」
五月
「ほんまです、この瞬間がホッとします」
麗がソファに座ると茜。
「お昼の後は、鈴村八重子さんの家に」
「今夜は鈴村さんの家に一泊」

葉子は秘書として、具体的な説明。
「午後三時に、鈴村様のお宅に」
「麗様と私、それから今日からのお世話係の可奈子さん」
「可奈子さんは、鈴村様の遠縁で、かつての生徒さんにもなります」
「それから明日朝8時、麗様のお母様のお墓参り」
「これには大旦那様、五月様、茜様もご一緒します」

麗は、葉子の手回しの良さに、また感心していると、今日からのお世話係の可奈子が珈琲を全員に配る。
可奈子は麗を見て、少し顔を赤らめる。
「ホンジュラス豆です、お口に合うかどうか」
麗は、そのまま口に含む。
「ドライフルーツのような香りが少しして、これも好きです」
可奈子は、胸をなでおろす。
「麗様に飲んでもらいたくて、大旦那様にお願いして、一週間練習しました」
大旦那
「豆それぞれに、挽き方、蒸らし方があってな」
「それを身につけて麗にも、八重子さんにもと」
麗は感謝。
「ありがたいことです、素晴らしいレベルかと」

珈琲の後は、政治家選定の話に移る。
大旦那
「候補者は四人ほど選んだ」
「全て関係筋からや、麗の意見も聞きたい」
五月
「今回は、話を聞くだけ、あまり緊張せんで構いません」
茜は麗に、四人の資料が入った封筒を渡す。
「誰が出ても、九条が支持するとならば、当選はするよ」
麗は、封筒を受け取り、少し考える。
「まずは資料を確認して・・・それから、疑問があれば教えてもらいます」
「今の時点では、そこまでに」

リビングでの打ち合わせなどが終わり、麗は今日からのお世話係可奈子と自分の部屋に入る。
可奈子は、少し華奢な体型で、まるでモデルのような美女。
また、顔を赤らめてお辞儀。
「麗様、緊張しとります」
「心込めて、お世話させていただきます」

麗は、やわらかな顔。
「いえいえ、無粋ですが、こちらこそ」
「鈴村様とはご関係があるようで安心します」
ただ、可奈子を見る麗の目に変化。
「あれ?もしかして・・・どこかで?」

麗の口から、思わず出た言葉に、可奈子が反応。
クスクスと笑うような、軽くにらんでくるような、不思議な顔になっている。
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