第461話パーティーの計画は京都でも 麗の心は沈む

文字数 1,135文字

しばらく抱き合った後、夕食。
珍しく中華風だった。
青椒肉絲、肉団子、エビチリ、豚の角煮、搾菜スープなどがテーブルに並ぶ。
麗の口にも合うようで、食が進む。

可奈子は麗の食欲がうれしい。
「街中華みたいなメニューですが、食べてもらえて安心しました」
麗も笑顔。
「街中華。好きかな」
「上品な感じではなく、ガツガツ食べる感じ」
「赤いテーブルと、メニューを書いた黄色い紙が、壁にたくさん貼ってあって」
「少し脂で汚れたり、くすんでいたり」
可奈子
「女子高生の頃、親に隠れて友達と」
「それも結局見つかって叱られて」
「でも、親と行くと、高級中華になるので・・・それも嫌いではないけれど」

「定番が、ラーメン、中華丼、天津飯、麻婆豆腐丼、肉玉野菜炒めかなあ」
可奈子
「チャーハンもお忘れなく」

「京都に戻ると、なかなか入れないな」
可奈子
「うちが叱られるくらいやから、特に麗様は無理です」

「白いご飯のおかずとしては、よく合う」
可奈子
「甘辛で、少しとろみがあって」

麗は話題を変えた。
「明日は、全員来ると言うけれど、準備も全て任せてしまって」
可奈子は、また笑顔。
「香苗さん夫妻、桃香さんは、瞳さん、美里さんは午後から来られて」
「早速パーティー料理です」
「その他の人は夕方までには揃います」

「料理も形式もお任せします」
可奈子
「相当立派なキッチンですので、何でもできると思います」
「何か、ワクワクします」

麗は、考えた。
「今回は高輪で」
「いずれは京都九条家でやってみたい」
可奈子も頷く。
「大旦那様、五月様、茜様も、そんなことをお考えのようです」
「特に麗様をメインにして、本家にお戻りになられた記念の宴を開きたいとか」
麗は、少し引く。
「いや、そこまではいいかな、よくしてもらっているから」
可奈子
「大旦那様も、麗様が忙しいので、言い出せず」
「しかし、人気も高まっておられるし、お逢いしたい人も多くて」
「仕事関係と、内輪と分けてとか、そんなことまで考えとられるようです」

笑顔だった麗が、真顔に戻った。
「これも、お付き合いかな」
「やるべきとなれば、やるしかないけれど」
可奈子も、真顔に戻った。
「秘書の葉子さんのところにも、ひっきりなしに面談希望があって」
「ただ、麗様の予定が立て込んでいて、今は待ってもらっている状態」
麗も納得した。
「それがあって、一度ガス抜きかな」
「せめて顔だけでもと」
「後は、大学が休みになれば、対応がまた増えるかな」
可奈子
「それやから、しっかり食べて健康管理なんです」
「京都の暑い夏の中で、来られる人も、またお誘いも増えます」

麗は、ため息をつきたいけれど、やはり気を使うので、我慢。
周囲の期待には応えようと思う、それが使命と思う。
ただ「結局は、自由に生きられないのか」と思うと、心は沈んでいる。
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