第286話佳子のマッサージで麗は眠る。

文字数 1,092文字

麗が風呂から出て、自分の部屋にいると、ドアにノック音。
ドアを開けると、「会計の勉強」の約束通り、佳子が入って来た。


「ありがとうございます、わざわざ」
佳子は、少し顔が赤い。
「はい、うちも呼ばれてうれしくて」

その後の勉強は真面目なもの。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の基本的な説明。
各企業の特性に応じた見方も説明される。

麗は、疑問点を一つ一つ質問しては、佳子の答えをノートに書きこむ。
また、その質問も、実は事前に相当勉強してあったのか、ほぼ確認程度のもの。
佳子は、本当に感心する。
「頭の中がキレキレや、理解力が半端なく強い」
ただ、こうも思う。
「一定程度の知識は持っていて欲しい、九条家の当主になる人やから」
「でも、あまり細かな指標を気にするのも」
「頑張り過ぎや、麗様は」

麗は、勉強をしながら、時計を見た。
夜の9時を少し過ぎている。
麗は、少し恥ずかしそうな顔。
「佳子さん、今夜はありがとうございました」
「勉強になりました、お部屋にお戻りください」

佳子は、麗の手を握る。
「いえ、まだ仕事は終わっておりません」

麗が意味不明になっていると、佳子は真面目な顔。
「麗様のマッサージをします」
とそのまま、麗の手のひらを揉み始める。

麗は、驚いて手を引こうとするけれど、佳子は離さない。
「いけません、茜様の厳命です」
「素直に揉まれてください」
「これで、麗様の健康状態もわかるのですから」

麗は、そこまで言われては、どうにもならないと思った。
それに、佳子の手のひらマッサージは、本当に気持ちがよかった。
強くなく、弱くもなく、麗の手のひらを、ほぐしていく。

佳子は、麗の手のひらを揉みながら、いろいろ話しかけてくる。
「麗様、肩も首も、肩甲骨の周りも」
「腕も、凝り過ぎです」
「どうしてここまで?」

麗は、身体の力が抜けてきている。
「うーん・・・そう言われても」
「佳子さん、上手ですね」
「助かります」

佳子は、麗のトロンとした顔が実に面白く、可愛く感じる。
「麗様って、こんな顔をするんや」
「もっともっと、とろけさせたい」
「手が温かくなってきた」
「ようやく血行が良くなったのかな」

麗は、眠くなってきた。
葵祭や、その後の会議などの疲れが、ここに来て出てきたようだ。
しかし、身体をふらつかせながら、それを必死に耐える。

佳子は、黙って麗の身体を抱きかかえた。
そして、ベッドに寝かせる。

麗は懸命に目を開ける。
「ごめんなさい、佳子さん」

佳子
「いえ、今度は直接、身体を揉みます」
「まずはうつ伏せに」
「麗様は、眠ってもらって構いません」

そして、顔を赤らめる。
麗をあっという間に下着一枚にすると、自分も服を脱ぎ始めている。
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