第464話高輪の家でのパーティー(1)

文字数 1,236文字

パーティーの当日午後3時、麗と葵は、大学からそのまま高輪の家に直行。
玄関に入ると、可奈子がエプロン姿で出迎える。
「すでに吉祥寺から、料亭の香苗さん、旦那様で板前の道夫さん、桃香ちゃんも」
「お料理も、相当進んどります」

麗は、そのままキッチンに進み、声をかける。
「ありがとうございます、お休みのところ、急な話で」

香苗が料理の手を休めて麗の前に。
「いや、こちらこそ、楽しくて」
「使いやすいキッチンで、しかも最新式で」
「和洋中折衷でビュッフェ形式に」

確かに、いろんな料理を作っているらしく、様々な素材や香辛料が並んでいる。

香苗はうれしそうな顔。
「主人も和食ばかりでなくて、たまには違う種類を作りたがっていたので」
「珍しいところで、スペイン風、トルコ風、ルーマニア風も入れるとか」

桃香も、麗の前に来た。
「蘭ちゃんから電話が来ました」
「麗様がピアノを?」

麗は表情を崩す。
「下手は下手なりに弾くよ、パーティーの余興にと」

そんな話をしていると、鎌倉から香料店の瞳と美里が家に到着したらしい。
可奈子が玄関を開けると大きな荷物を持ち、そのままキッチンに入って来た。

瞳は、まず麗に頭を下げる。
「お招きいただきまして、本当にありがたく」
麗は、笑顔。
「いや、せっかくだから、遠い所、ありがとうございます」
瞳は荷物を開ける。
「鎌倉の海の幸も持って来ました、釜揚げシラスの冷凍、たたみイワシ、その他様々です」
「知り合いの漁師の車でここまで来たので、本当に新鮮です」
葵も、中身に興味津々。
「これは・・・この鮮度は・・・さすがですねえ」

美里は、麗を前に、顔が赤い。
「この前はいろいろ教えてくれて、目が覚めました」
「また、鎌倉にもいらしてください」

麗は、やさしい顔のまま。
「いつか、鈴村のばあ様と行くよ、その時は案内して」
「日向先生とか高橋先生も一緒かな」

午後4時には、蘭が到着。
緊張気味にキッチンに入って来た。

蘭も、まず麗の前に。
「ありがとうございます、お招きいただいて」
麗は、蘭の肩をポンと叩く。
「電車に迷わなかった?」
蘭は、思いっきり首を横に振る。
「スマホで何度も調べて、メモも書いて」
「久我山とも中野とも、吉祥寺とも全然雰囲気が違って」

「せっかく都内にいるんだから、あちこち歩けばいいさ」
「横浜だって、それほど遠くないよ」

蘭は、「案内して欲しい」と思うけれど、周りには葵、可奈子、桃香、美里までいる。
「とても無理」と思って言うことはできず、結局は引き気味。

午後4時半過ぎに、奈々子と花園美幸が到着。
奈々子
「本当にワクワクします、麗様、ありがとうございます」
花園美幸
「今日は暴飲暴食大会になりそう」
奈々子と花園美幸は、神田明神前の店から、佃煮やお菓子をお土産に持って来た。

麗は、笑顔。
「うん、江戸でやるパーティー、江戸の味が必要かな」
「というよりは、既に無国籍化している、とにかく料理を楽しもうよ」
「そして、再会を喜び、将来への希望となるパーティーにしようよ」

期せずして、全員が麗に拍手を送っている。
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