第455話九条ビル大広間改装計画 麗の発想

文字数 1,192文字

昼食の後は、九条ビル7階の大広間改装計画の話し合いのため、麗と葵は高橋所長に案内され、現場の大広間に入る。

高橋所長が簡単に説明。
「今日は会議用に、テーブルと椅子を並べてあります」
「それから正面スクリーンには、リモートで参加される不動産の麻友さんが映ります」

麗は、役員席と札が置かれた席に座り、大広間全体を見回す。
「確かに、レトロで上品な感じ」
「テーブルと椅子を外せば、300人は入れるのかな」

葵が高橋所長に確認する。
「全般的な内装の変更と、リモート会議にも対応できるようにとのことですね」

高橋所長は頷く。
「やはり、時代の変化にも早く対応して」
「スピードアップできる部分は、採用しようかと」
「その資料をお手元の、タブレットにて」

麗がタブレットを手に取ると、確かにその資料が見られるようになっている。

高橋所長が、自分のタブレットをタップすると、正面スクリーンに、不動産の麻友が映り、話し出す。
「麗様、葵様、高橋所長、本日はよろしくお願いいたします」
「お手元の資料をご確認ください」
「主に、内装面で、4種類ほど」
「クラシックなバロック風内装、アールデコ調の内装、木目調の内装、シックな煉瓦調の内装を選びました」
「リモート会議システム、音響システムは最上のものを」

高橋所長は麗の顔を見る。
「午前中に、それぞれの案を検討して、まだ決まりません」
「どれも捨てがたくて」

麗も、さすがに悩む。
「今、見たばかりなので・・・」
「なるべく、明るい色のほうが、会議では資料が見やすいとは思うけれど」
「講演で使う場合・・・どれも雰囲気を壊さない」
「さすがに麻友さん、選び方も感心します」

麗の言葉を受けて、麻友は笑顔。
「ありがとうございます、この4種類を選ぶにも、悩みました」

葵も、悩んで選びきれない。
「どれになっても、問題ないですね」

麗は、少し考えて、自分の意見を言う。
「上品なアールデコ調で、そこに明るい木目を品よく配置」
「やはり上品な雰囲気で、野卑な発言も出ないと思うので」
「バロックは、少し重いかな」
「煉瓦調は、会議室には馴染まないような、もちろん今感じている範囲です」

高橋所長は、早めに方針が出たので、安心した顔。
不動産の麻友も「はい、早速、その線で検討案を作ります」と笑顔。

麗は、また少し考えた。
「主に、リモート会議・・・でしか使わないのかな」
「学園にも研究依頼をしようかと思うけれど」

麗の次の言葉に、注目が集まる中、麗は意外な言葉を口に出す。
「バーチャル会議で、画面分割も見にくいことがあって」
「ゲームで使うようなアバターを何とか・・・」
「SF映画で見たような記憶が」

高橋所長が驚いたような顔。
「アバターですか・・・それは最先端で・・・」
「でも、出来たら、面白いですね」

麗は言葉を選ぶ。
「すぐに、とは言えないけれど、やがて」

この麗の発想に、葵はキョトン、麻友は感心したような顔で、麗を見つめている。
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