第388話麗と葉子の一夜そして朝

文字数 1,156文字

なごやかな混浴の後、麗と葉子は部屋に戻った。
葉子は、年上とは思えないほどの童顔かつ美人。
麗は、「見ていたい」と思うけれど、その前にやるべき事がある。
「葉子さん、この間お話した明日の石仏会議の会議資料を」
と声をかけると、葉子は動きが速い。
机の引き出しを開けて、事務局用飼料と出席者用資料を麗に渡す。
そして、そのままパソコンを立ち上げ、その画面を出す。

葉子
「麗様の基本メモから、お世話係たち、使用人たちで検討」
「資料を作りまして、それから茜様、五月様、大旦那様にも確認、了承をいただいております」
「もし、修正があれば、ご指示ください、今早速処理します」

麗は、資料を見ながら、葉子の手際の良さ、機転、統率力の確かさに感心。
「素晴らしく使いやすい資料です」
「修正せず、このまま使います」
「本当に楽になります、いろいろとありがとうございます」

葉子もホッとした顔。
「皆で協力して作りました、おおよそはこれで、との線と」

麗が再び資料を読み終えると、葉子。
「麗様、明日のご予定の確認になりますが」
「午前中は隆様のお見舞い、午後はこの石仏の会議、夜は時代菓子の試食となります」

麗が頷くと葉子が、じっと見る。
「忙し過ぎのような、心配になります」
麗は、首を横に振る。
「いえ、自分が言い出したことばかりなので、当たり前です」
「それを全部手配していただいて・・・」

その麗の言葉は途中で止まった。
葉子は、麗の手を取り、自分の胸にあてる。
「それはそうと・・・恥ずかしいのですが」
「麗様、うち、もうドキドキが収まりません」
「ずっと待ちました」

蕩けるような甘美な時間の後、麗と葉子は、なかなか動けない。
葉子
「はぁ・・・あかんです、まだ目が回って」
「幸せです、麗様、ほんま・・・」
「うちから誘っておいて、天国に行って、まだふわふわと」

麗は、恥ずかしいので、答えない。
それと身体の芯が疲れたような感覚。
いろんな神経を使ってきたからだろうか。
眠さも増している。

そんな麗に、葉子はやさしい顔。
「ご心配なく、添い寝係にお任せを」
そして、そのまま麗に身体を寄せると、麗に眠さの限界が来た。
目を開けられなくなり、寝息を立ててしまう。

葉子は、眠ってしまった麗の顔を、胸で包む。
「愛おしい、麗様」
「いろんな苦労を背負われて来て」
「これからも重責を担って」
「まだ、18歳の男の子や」
「でも、期待を十分以上に果たされて」
その葉子も、いつの間にか眠ってしまった。


翌朝になった。
麗が目を開けると、葉子の胸が目の前。

葉子はうれしそうな顔。
「そんな赤い顔をなさらんと、見慣れたのでは?」
麗が顔を離そうとすると、押さえつけられる。

葉子
「うちも、これ、いい感じで」

そう言われると、麗も抵抗できない。
「喜んでくれるなら」と、そのままにする。
しかし、「そのまま」は、長く続かなかった。
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